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10.うちの子の魔法の練習

次の日、さわやかな鶏の鳴き声とともに目覚めた。起き上がると、寝ていたベルも目覚めたようだ。

「おはよう。今日もいい天気になりそうだよ」

カーテンを引くと、夜明け寸前の明け方の空が綺麗に見えた。まだ、星が残っている。


ベルの着替えを手伝いながら、自分も着替え、下に下りていく。食事の前に朝の瞑想をする。最初は冗談でやっていたが、最近では、マジに魔力と言うものを信じられてきて、やらずにはいられない感じになってきている。・・・・・実感はないが。

ベルも一緒にやっている。敷地外に出るのは怖いので縁側の板の間で2人で座禅を組みながら丹田に魔力を溜め、体中に巡らせる。ベルも最初は全くできなかったが、可奈の補助が入り可奈よりも大量の魔力をすばやくスムーズに動かせるようになっている。可奈の補助と言うのは、ベルを抱きしめる機会が頻繁になってきたときベルの中にある魔力と呼ぶのにふさわしい気の固まりのようなものを感じることができるようになったためだ。それを座禅のとき後ろからベルを抱え込んで、動かし方を試行錯誤しながら教えたら、ベルも自力でできるようになったということだ。


・・・うちの子超天才!!


自分は、全くできないし、自分の魔力はあまり感じられないが、ベルの魔力っぽいものは不思議なことになんとなく感じられた。


魔力をスムーズに動かせるようになったので(ベルが)、放出の練習をそろそろしたいと思うようになってきた。

実は、ベルにやってもらいたいことがある。この魔力量なら高出力が期待できる。

それには、場所が必要だ。砂漠がいくらでもあるのだが、魔獣がどこかの池の鯉のように砂の海を泳いで、なにかあったら集まってくる。池の鯉と違うのは、かち合うと縄張り争い?をし始めて怪獣大戦争になることである。怖くて敷地外には出られない。


ではということで、敷地内から外に魔力を放出する訓練をすることになった。ここへ来るまでほとんど魔力らしい魔力と縁がなかったベルは当然その使い方もわからなかったので、可奈開発の魔力講座で訓練開始になった。


イメージして、打つっ!!!


イメージして、打つっ!!!


可奈の手持ち花火程度のファイアーボールが、ひょろひょろと打ち出される。


やりきった感丸出しの可奈は、得意そうにベルに説明しながら、練習させる。

「さて、ベル、まず、熱い炎を想像して、それをぎゅっと固めるイメージで。そして、手から飛ばすって感じで」


・・・説明になっていない。


それでも、ベルは、素直に言われたとおりのことをする。


突き出した手のひらに炎の固まりができたと思ったら、ものすごい勢いで前に飛び出す。

可奈のひょろひょろ玉のようではない。20mほど向こうの砂地に着弾するとドカンと大きな音と共に砂煙が立った。


可奈たちが唖然としているうちに砂煙が納まると、深さ1m半径3mほどの穴がえぐれていた。

かすかに振動が伝わってきた。だんだん近くなってくる。えぐれた穴の砂があり地獄に吸い込まれるように落ちていくと、魔獣が顔を飛び出させた。

ぎょっとしてベルを抱え込み後ろに下がる。もともと敷地内から訓練していたので、問題はないのだがあまり接近しすぎて怖い。


今日の練習は終了である。


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