2話
平穏な日々。なにも変わらない。授業中、ボーっと窓を眺めているとトンビが飛び交っていた。鳥は自由でいいよ。勉強しなくたっていいし、縛られることもないんだから
「…………」
小さくため息をつくと、黒板をみてノートを取った。何気ない、こんな時間が大好きだった。ただ、それだけだった。教えてよ、俺がなにをしたっていうんだ
「先生、そこ間違ってると思います」
クラスには優等生がいる。よくある、おさげでメガネで地味な女の子。そんなんじゃなくて、普通にどこにでもいそうな女子生徒だ。誰が優等生がこういう子だと決めつけたんだろう。マンガの世界じゃあるまいし
「……遠野、ここ解る?」
「どこ」
「これ、どうしてもこれだけ解んなくてさ」
「使う公式は同じじゃん。これ使えば、解けると思うけど……」
勉強なんて大して役に立たないって思ってた。将来のためだとか、勉強は学生のうちだとか、そんなの大人たちの勝手なことじゃないかって思ってた。どうせやったとこで何年後にはそんなことすら忘れているんだから
「え? 解き方も教えて?」
「…………」
「怒ってる? いや、あの……」
みんなが個々にプリントをやる中、内海に声をかけられる。文芸部に所属するバカまっしぐら……口が滑った……。勉強嫌いなやつだ
「変わんないでよね、バカ海くん」
「ええー、貶されてるー?」