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8話 とある1日

え…今こいつ何て言った?


辺りに数秒の静寂が訪れる。


「……マジ?」


最初に口を開いたのは浩司だった。


「何度も言わせないでよ。私も好きで何回も地球から飛び出してるんじゃないんだから。」


「おう……すまん。」


「なるほど、だからああだったのか。」


そんななかで唯一ジュンジだけが納得したように呟く。

フィーリアは無反応だ。


「ジュンジ、何に納得したんだ?」


「え、ああ、彼女の魔法だよ。この世界では普通の魔法に長い詠唱は使わないんだ。」


「そうなの!?」


なんでもないことのように告げられた事実を前に、一番驚いてるのは波瑠のようだ。


「技名を発動条件にするぐらいだよ。」


「そういうことは早く言ってよね……あの呪文唱えるの結構恥ずかしかったんだから……」


と言って顔を赤くする。


「とりあえず、波瑠の話はおいておくとして、ジュンジ、誰か魔法を教えてくれるあてでもあるのか?」


「うーん、この辺りで魔法が使えそうなのは門番の人たちと……後は魔法書店のおばあちゃんが使えるかも知れないね。まあ、適当に当たってみるよ。」


「ちょっと待って、それ、私も付いていくわ。無詠唱で魔法が使えるなら、そっちの方がいい!……噛まないしね!!」


どうやら、大猪戦の序盤で詠唱中に噛んだことを気にしていたらしい。


みんなの今日の予定が決まる頃にはすっかり食堂は人気がなくなり、宿屋の女将さんが大皿を片付け始めていた。

これ以上居座っていたら女将さんに迷惑がかかりそうなので、食堂を出ることにする。

優希がなおも大皿に少し残っているソーセージやベーコンなどの食材を名残惜しそうに見ているが、見なかったことにする。


それから俺は手頃な依頼を探すため冒険者ギルドに向かう。


やっぱり、装備新調したから戦闘系がいいな。


そんなことを考えているうちにギルドに着いた。

フィーリアと優希、それから浩司も一緒だ。

ちなみにフィーリア達はワイルドボアを狩りにいくそうだ。ワイルドボアは小型の猪のようなというか猪が魔力を帯びて魔物かしたものだが、放っておくとこの前の大猪のようになる。

小型のうちは毛皮がそこまで固くなく、火の玉を放ったりしないので比較的倒しやすい魔物だ。

そして、近づかない限り襲ってこないので、弓を装備している優希には相性もいい。

弓は基本的に矢で貫く武器なので、スライムは倒せないどころか、矢では剣のように切り裂けないので素材を回収しようにも、弓だけでは無理なのだ。

まあ、上級者になれば矢に魔力を纏わせて相手を切り裂く何てこともできるみたいだが。



優希達はさっさと以来を決めて早々と出て行ってしまった。

一方浩司は……


ん?見てるのは戦闘系じゃないな。


「浩司、何を見てるんだ?」


「ん?いや……これだよこれ」


そういって、指を指した先にあったのは……



料理がうまい人募集中!

ーー店の料理長が新しい料理を一緒に考えてくれる人を募集しています。

報酬は、できた料理次第です。


というものだった。


……依頼って何でもあるんだな。なんかギルドの依頼板が普通の掲示板に見えてきた…


「てか、お前、料理できたのか?」


「一応向こうでは得意な方だったぞ?それに、この町、転送者まよいごの村って言うわりにはあっちの料理が少なすぎるんだよ、てなわけでカレーとかつくって見せたら言いかなと思ってな。まあ、食材があるかどうかと、こっちの人の口に合うかどうかわからないけどな。」


「なるほど。」


と、浩司は、早速その依頼を受け、店の場所をカウンターで聞いてから、ギルドを出ていってしまった。


余談だがこっちの世界で日本食が広まらなかったのは、村を作った当初は周りとの領土争いや、何も知らない余所者の集団と思われて人さらいが横行していたりと、日本食の再現どころではなかったからだ。そんなことをしているうちに、転生者まよいごが二世になり、味を知らないため、日本食などそもそも思い付かなかったり、たまに新しい転生者まよいごが来て日本食を広めても現地の人で作れず、その人の死亡と共に失伝してしまったりとさまざまな理由で日本食が広まっていなかったのだか、ことあと浩司が意外な料理の才能を発揮し、とある日本の国民食を広めてしまうのだが未来のことなど誰も知っているはずもなかった。


俺はしばらく悩んだ末、時間指定の無い討伐依頼をいくつか受けておくことにした。討伐依頼は討伐証明部位さえあれば、場所していなどが無い限り事後報告で構わないのだ。

俺はさっさとギルドを出て、村近くの草原に飛び出す。

まず、最初に遭遇したのは……やはりスライムだった。

だが、初仕事の時より色が少し濃い気がする。

とりあえず迷わず一太刀。


ザシュッ


スライムは見事に半分に割れた。真っ二つだ。


あれ……真っ二つって確か……


ぴったり二等分されたスライムは両方の破片が再生を初めて、無傷のスライムが二匹になった。


あー、やっぱり。


俺はそのあと、あまり真ん中を狙わないように注意しながらスライムから30分ほど素材を狩り続けた。

30分ほどの作業でスライムの外皮が52個ほど集まった。確か、4つで1セドンで買い取ってくれるはずだから、わずかこれで13セドン稼いだことになる。


スライム狩り効率はいいんだけど手応えがまったくないんだよなー


とりあえず、この作業に飽きてきたので、もう少し森の方へいってみることにする。


森の方へ行けばトレントとか、ゴブリンとかもいるかもしれないしな。

それから昼まで狩りを続け、ギルドに戻り、報酬を受けとると、100セドンほどなった。


今回の討伐の成果は以下の通りである。


スライムの外皮×52個

トレント×2体

ゴブリン×8体

フォレストベア×1体


トレントは植物型の魔物でD級冒険者3人で安全に倒せるレベル、フォレストベアに至っては、フィールドボスではないが魔法が使えないことを除けばこの前の大猪と同じレベルだ。

自分でもよく倒せたと思う。


よし、さっさと波瑠に金を返そう……てか今思ったけど今日これだけ稼げれば借りなくてもよかったんじゃないか!?




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