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3話 初仕事に闖入者

俺達は昨日いた草原とは村の反対側に位置する草原に行った。

そこにはやはりこの世界で最初に見た光景が広がっていた。

いや、ちょっと違うか。後ろは村だし、こ、今回はの装備は木の棒とジャージじゃないからなっ!

ただし、やはりあちらこちらにジェル状の物体がぼよんぼよんという効果音を付けたくなるような動きで動き回っている。変わったことといえば、はじめに見たスライムより体の色が薄いってことぐらいだろうか。

補足だがスライムの色は濃くなるほど強くなる、って義人から聞いた。

ついでに言うと普通のスライムは牙なんて使って攻撃してこない。というかそもそもそんなもの持ってない。


俺が最初に腕試ししようと木の枝を突き刺した奴の体の色は限りなく黒に近いグレーだった気がする。

ということは俺が最初に出会ったスライムって…


 俺は頭を振り、そのことを思考の外に追いやりながら一番近くにいたスライムにさっきギルドでもらったばかりの片手剣を鞘から抜きながら歩み寄る。

今回の依頼内容はスライムの外皮の回収だ。

准次によるとスライムは中威力以上の火属性魔法をつかえないと倒せないらしい。

で、なんでそんな魔物の素材回収クエストがEランクなんていう最底辺に位置づけられているかというと、


ザシュッ。


俺が振るった片手剣はスライムに命中し、いともたやすく半分に切り裂いた。

大きいほうの欠片はすでに再生し始めている。

ただし、小さいほうは一向に再生する気配を見せない。

…そう。その小さいほうの欠片こそがスライムの外皮(素材名)なのだ。

さらに言うと、この辺にいるスライムは討伐こそ難しいものの比較的色は薄い種しかいないため大した攻撃手段を持ってない。

つまり、初心者が練習用に狩るにはちょうどいいわけだ。


それにしても最初に木の棒で突き刺した奴と同じ種とは思えんぐらい弱いな。


ザシュッ。ザシュッ。

…やばい、楽しくなってきた。


ザシュッザシュッザシュッ。


「おい、もうそろそろいいんじゃないか?」


おっと、楽しくなってきてついつい必要以上に狩ってしまった。反省反省。

と俺が反省して切りまくって辺りに散らばっているジェル状の物体を回収していると、


ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!


向こうからなんかものすごい轟音が聞こえてきた。


「お、この辺のボスが出てきたぞ。じゃあ、俺は帰るから、お前らで駆除してくるよーに!」


…なんか義人にものすごいことを言われた気がするんだが。


そんなことを考えているうちに義人は村の門番の人に何か言ってさっさと酒場がある方に消えて行ってしまった。

どうやら浩司が朝から酒を飲んでいたことをまだ根に持っていたらしい。それに気が付いた俺たちは静かにに浩司へと怒気を燃やす。

 ちなみにここまでスライムを狩り出してからまだ30分ぐらいしかたってない。


義人と何を話していたのか気になり門番のほうを見ると、その視線に気付いた門番の一人が、


「いや~お前らあのめんどくさいボスを倒してくれるんだってな~。がんばれよ~」


と言って心底嬉しそうにさっさと門の中に入ってしまう。

取り残された俺達4人は今にも突進してきそうな大型猪ボスを見て固まる。

 明らかに昨日浩司たちが悪戦苦闘していたやつよりでかい。唯一救いなのは、昨日見たやつのように毛皮が紫の毒々しくなく、遠くから見てるから普通の猪の見えることぐらいか。まあ、明らかに遠近感覚がおかしいから、救いになってない気がするが。

 俺以外の3人は即座に戦闘態勢に入っているが波瑠だけ戦闘態勢はとりつつも顔が引きつっている。

あとで聞いた話によると、義人がこのぐらいの無茶ぶりをするのは日常茶飯事なのだそうだ。波瑠の顔が引きつっているのは、義人と行動しだしてからまだ日が浅く、俺ほどではないにしても、まだこういう無茶ぶりに慣れてないからだ。

逆に残りの二人はいつものことだとでも言うように澄ました顔で武器を構えている。

俺はものすごく冷静に動く2人を見て冷静になり、とりあえず状況を確認する。

今の装備は…

俺が盾と片手剣、フィーリアがレイピア、ジュンジが太刀、波瑠が杖だ。

ただ、フィーリアは昨日武器を短剣からレイピアに変えた直後だから、あまり火力に期待できないな、で盾と剣を装備してる俺は…やっぱ壁役か。

ということはジュンジが主力だな。

それから波瑠は確か主に回復魔法を覚えてるって言ってたからみんなを補助しつつ簡単な攻撃魔法で攻撃ってところだな。

俺がそんなことを考えているうちに他の3人は当然とばかりに自分たちの配置につく。


ところで、俺が壁役ってことは……


3人ともなんかかわいそうなものを見る視線でこっちを見てくる。

猪のほうを見ると……

あ、目が合った。


「ヴゥォォォォオオオ!!!!!」

「うわぁぁぁぁあああ!!!」


やべ、なんかものすごい危険な感じの雄叫びを上げながら突進してくるんですけど!!

しかもなんか雄叫びに悲鳴が重なっていたような……


なんかもう波瑠とジュンジなんか俺に向かって手を合わせて目をつぶってる…


「おい!!まだ死んでねぇよおおおああああ!!」


このセリフと猪が俺のところにものすごいスピードで突進をかましたのがほぼ同時だった。

俺はよけようとして一歩下がり後ろに村があることを思い出す。

が、そこで何か異様な感触が足の裏に……ってスライムじゃねーか!!!

そう、俺気付かぬうちにジェル状の奴を踏んづけていたのだ。当然態勢を崩さないわけはなく…


「おわっ!」


幸か不幸か転んだことで猪の足の間を間一髪ですり抜ける。

しかし、転ぶ瞬間に見てしまった。

猪の背中に振り落とされまいと必死にしがみついている小柄な少女の姿を……












誤字脱字報告してもらえるとありがたいです。

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