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ファンタジア・ホライゾン  作者: 日暮 十四(ヒグラシ)
第二章 バルナ小国群 クルディス王国編①
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16話 作戦会議と一足早い旅立ち

この章もあと数話で終わる....はずです。

「とにかく、あんなのに勝てるわけないんだから、ハーゲル(あのおっさん)をいかに素早く説得して、退散できるかが勝敗のカギね!」


波瑠が自分の考えた大まかな作戦の方向を説明し、そう締めくくる。 


「逃げてる時点で、負けを認めてるから勝敗も何もないと思うんだけどなぁ…」


「そこっ!細かいことは気にしない!」


和人が苦笑しながら入れた横やりを言いわけもせず、ビシッと効果音を付けたいほどの切れと語気で開き直って言い返す波瑠。


「まあ、カマベルと真正面から戦わないことに関しては賛成だね。」


それを聞いた波瑠は、ふん、どうよ?と言わんばかりの誇らしげな顔だ。


「問題は、俺たちが玄関のところであった、現隊長、ファーベルなんだが…」


和人はここでようやく、自分が見たものを他のみんなは見ていないことに気付いて説明を始める。

自分がカマベルがガラスのようなものでできた黒い球を投げようとしたのを見てとっさに奪い、ファーベルに投げつけた結果パワーアップしたこと、そして、パワーアップした直後、自分の主たるカマベルの首をはね、殺したこと、そして、その結果死体が動き出してカマベルが怪物化したこと。そしてもっとも重要なことはカマベルが怪物化した後、ファーベルは再びカマベルに服従の意思を示したことだ。


それを聞いた一同を代表した波瑠が一言。


「はっはーん。つまり今この状況を作った原因はす・べ・て!あんたにあるってことね!!」


「え、ちょま!?なんでそう…」


そこまで言って自分でもう一度頭の中で言ったことを整理してみる。

黒い球を投げつけた結果(ファーベル)がパワーアップして、その力に酔った(と思われる)(ファーベル)が反逆し、主が怪物化する原因を作った。


―あ、元凶俺だ…―


「すいませんでした!!!」


そこまで悟った和人の行動はいたって単純。DO・GE・ZAだ。


「でも、俺が奪わなからカマベルが使ってたから…」


「言い訳しない!!」


「は、はい!!」


自分が悪いと土下座しながらも言い訳する和人に波瑠が一喝ビシッと入れる。

それでも本気で空気が悪くならず、和人にやらかしたな、という視線はむけても、本気の冷ややかな非難の目が向けられないところを見ると皆、和人が行動を起こさずとも似たり寄ったりな結果を招いていたことにうすうす気づいているからかもしれない。


責められつつも、話の軌道修正を図るためにびくびくしながら頭を上げながら言う。


「で、具体的にどう行動するつもりなんだ?」


さっきの波瑠の提案は方向性はいいのだが、具体的に誰がどう行動するのかは語られなかった。


「あんたがそれを言うの?あ、じゃあ、和人!突っ込みなさい!そして、ハーゲルを担いで撤収!私たちはいつでも逃げれるように準備しておくから、街の外で落ち合いましょう!和人は敵を引き連れてこないこと、ってのはどう?」


という提案を真顔でする波瑠。


「んなむちゃな…」


「…冗談よ。」


「にしては、真顔だったぞ?」


「あんたみたいに、笑いをこらえるの下手じゃないからね。」


「お、おそれいりました…」


本当にすべてが冗談なのかわかりかねて、とりあえずそう言っておく和人。


「ってか和人、じゃあ文句ばかり言わずに、案を出しなさいよ!」


「え、うーん…」


和人はしばらくうねった後。


「よしッ!ララ!」


ララは、突然少し張った声でよばれ、ビクッッとなるが、視線を和人によこす。

その時他のメンバーの視線も集まる。


「泣くのと、連れ去られるのとどっちがいい?」



☆☆☆☆



一行が、救出作戦を開始して少し経った頃、街の外周より少し中に入ったあたりだろうか。このあたりからは屋敷は見えず、道端にへたり込んでいる者も少なくない。

屋敷のそばで聞こえていた破壊音や振動はこの辺りまで来ると、聞こえない。

そのこともあり、安堵のあまり力が抜けてしまったのだろうか。みな、さっきに比べると幾分か緩んだ顔つきになっている。

そんな中を不機嫌そうな顔つきで一人、ひたすら、街の外へと焦る様子もなくただずんずん進んでいく男の姿があった。もちろん浩司だ。


「俺だって、恩義は感じてるんだ…でも俺がいても足手まといになる。それに…勇気もない。俺はあいつらにはついていけないんだ。それに…」


―目の前であいつらの死にざまをただ見ているだけなんて耐えられない。―


浩司は自分の仲間が負けることを想像している自分に嫌気がさした。それでもぶつぶつと独り言をつぶやいく。


「せめて、義人さんみたいに圧倒的な力があるか楽観主義者なら…」


―行動は変わっていたかもしれない―


浩司はその言葉だけは唐牛での見込む。

過去の過程は本人のモットーとしてなるべく使わないようにしている。

声に出しても暗い空気が余計に淀むだけだからだ。


牢屋の中ではつい言ってしまったかもしれないが、今回は理性が勝った。


そんなことを考えながら、浩司はこの町(ベルク)にだとりついたとき初めに目にした門の前にたどり着いた。

門に近づけば近づくほどへたり込んでいる人の数は増えていく。


最低限の装備と自分のギルドカード、それに元々館の兵士の物だったであろうアイテムポーチの中には数日分の水、保存食、それにちょっとした小物がいくつかが入っていた。


浩司はそれを確認し、一足先にベルクを旅立つのだった。





最近発見したのですが自分がやってるスマホゲームにファーベル姫というのがいました。

ファーベル、お前、女だったのか.....。

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