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1話  遭遇

俺は夜神 和人、絶賛逃走中の18歳さ!

え、何があったって?


 しばらく呆然と立ち尽くした後、まず、俺はこの世界で自分がどれぐらい戦えるのか試そうと思ったのだ。で、その辺にちょうどいいRPGで雑魚としておなじみのスライムがうじゃうじゃいたわけだ。

ここで突撃しない方がおかしいよね?

と言う本能に従い、近くに落ちていた枝を拾って脳天(?)に突き刺してみたわけだ。


ブスッ。


なんか自転車のタイヤに釘を突き刺したような感触。やったことないけどもっ!


「・・・」


俺とスライムの間に沈黙が訪れた。

 しかし、沈黙のまま時間だけが過ぎていくということはなくスライムが思わぬ反撃に出た。

なんと噛みついてきたのだ。肉食獣並のとがった犬歯の生えそろった口で!


『スライムの攻撃手段?どうせ移動阻害か、せいぜい体当たりぐらいしかないっしょ(笑)』


とか思っていた俺はスライムに尻を噛まれ無様に森の中に逃げ込み、今に至る。

向こうから攻撃を仕掛けられなくて本当によかった、と思いながらただただ走ったのだった。


そもそもスライムに牙があったなんて反則だろ!

 

余談だがスライムに生えていた牙は体を覆っていたジェル状の奴を硬化させたものなので厳密には牙ではないのだが噛まれた方にとってはあまり関係ない。


 10分ぐらい走ったところで俺のスタミナが限界に達した。ここに来てからなんだか少し体が重い気がするんだよなー。


地球(むこう)での最後の半月ほどの生活が原因じゃないのかというツッコミは受け付けないからな!


そんなことを考えているうちに何とか森を抜けたようだ。ちょっと遠いが小さな村も見える。

 ただ問題が3つある。 

 1つ目は服だ。ジャージ姿なだけでも十分目立ちそうなのにスライムに尻を噛まれて尻のあたりがボロボロになってる。

てかなんか溶けたみたいになってる!?

 2つ目は…うん。目の前にさっきみたいな光景が広がっていることだ。前には草原、後ろには鬱蒼と茂る森、そして前の草原のところどころに転がっているジェル状の物体…、しかもなんか色のレパートリー増えてるし!さっきは紺色しかいなかったけど今度はなんか赤とか黄色とか……それに加えてイノシシみたいなやつとかいるし…あ、木に食われた。


…よく森の中でモンスターに遭遇しなかったな。


 そして問題は3つ目、無事村にたどり着けても言葉が通じるかどうかわからないことだな。これが一番重要だ。無事たどり着けても村人に話が通じないんだったら行っても仕方がない。


さてどうするか…


 冒険者パーティ発見。しばらく観察してみるか。集団は男3人、女2人のパーティのようだ。相手は…なんだか見るからに毒々しい紫色の毛に覆われた猪だ。盾を持った男(男1)がひきつけている隙に刀のような武器を持った男(男2)とフード付きのマントを羽織っていてレイピアを構えている(フードで顔は見えないがたぶん女)奴(女1)が攻撃を加えている。他に魔法使いのようなローブを着て、立派な杖を持っている奴が1人(男3)とあともう一人マントを羽織っていて小さめの杖を構えている女が一人(女2)。男3と女2は今のところ何もしてない。


やっぱりファンタジーの世界だから魔法なんかもあるんだろうか、あるんだったら習得したいなぁ。


あ、紫猪が見るからに毒々しい紫の吐息を吐いた。

やっぱりあいつは毒を吐くのか。


 それを攻撃中の男2がもろにくらった。男2はかろうじで後ろに下がっり、そこで力尽きたように片膝をつく。すると女2が男2に向かって何かを唱え始めた。女2の杖から光の粒が放たれて男2に吸い込まれていく。すると顔を真っ青にして倒れていた男2の顔に活力が戻っていき、やがて立ち上がってまた猪に攻撃を加える。どうやら女2はあのパーティの回復担当だったようだ。


しばらくすると壁役だった男1が押され始めた。

男2が攻撃を受けて倒れたのを見て怖気づいたらしい。


っておいおい、まだそんなにたってねーぞ!


壁役だった男1が押され始めたことで攻撃陣系が崩れ始める。

そして、標的が男1から、見るからに防御力がなさそうな男3に変わったようで、ほかの連中を完全無視して男3に突っ込んでいく。

男3はやれやれって感じで顔を抑えている。


そういえばあいつは見てるだけで何もしてないよな…

ん?ローブの中に手を突っ込んだ。何を出すんだ?


猪の突進が男3に炸裂する直前に一瞬手元がぶれた。


次の瞬間には猪は見後に両断されていた。見ると男3の手には一振りの片手剣が握られていた。



ってか他の4人が苦戦してた相手を一撃で屠るとか…


男3は猪を屠った後他の4人に何やら怒鳴りだした。

俺は彼らに見つからないようになるべく近くの岩陰に移動した。


『…お前らは何やってるんだ…あんなのに負けるようじゃ一人で村から出れねえぞ…』


男3の声が聞こえてきた。


よしっ!日本語だ!言葉は通じそうだ!


俺はとりあえず男3の説教(?)が終わったら、彼らに話しかけようと思い岩陰でそっと説教が終わるのを待った。


―――10分後―――


うーん、説教長いなー。いい加減待つの飽きてきたぞ。


『…とにかくお前らは修業が足りん!…ところでさっきから岩陰に隠れてるお前!誰だ!さっきから気付いてないとでも思ってたのか!』


なんだ、ばれてたのか。まあほかの4人は気付いたなかったみたいだが。


俺は岩陰から出る。

俺が岩陰から出たとたんに男3以外の顔色が驚愕の色に染まる。



「…やっぱり転送者まよいご、か」


男3が楽しそうにつぶやいた。


「は?」

「ああ、日本かっら来たんだろ?ジャージ姿だし…、とりあえず村に案内してやるよ、」

「ちょ、ちょっと待て!あんた誰だよ!なんでそこまで俺の状況がわかるんだよ!なんで…」

「あー、待て待て!いっぺんに聞くな!とりあえず村に行ってからいろいろ話してやるから、なっ!」


というわけで村に移動…

途中でピンポイントで俺だけイノシシみたいなやつが突進して来たり、動く木 (たぶんトレント)に足をすくわれそうになったりしたけど大体のモンスターは男3が魔法やら居合とかで一撃で倒していった。

なんで俺だけ狙われるのかはまあ、気にしたら負けだな。

ちなみに他の4人は襲ってきたモンスターにことごとく返り討ちにあって村に着いた時には男3以外ボロボロだった。


俺が言うのもなんだけど本当に弱いんだな…

助けてもらってなんだけど、狙われてるの俺だけだったんだから自分から前に出なければいいのに…


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