サンタになった彼女
僕のアーティスト活動ラーメン皇帝VOXマイケルで
リリースしたオリジナル曲 サンタになった彼女の
ショートストーリーを書きました。
# サンタクロースの胡桃と特別なプレゼント
雪が静かに降り続ける聖なる夜。胡桃は真っ赤なサンタ衣装に身を包み、最後のプレゼントを配り終えた。
「ふう……やっと終わった」
彼女の頬は寒さで薔薇色に染まり、息は白く霞んでいた。大きな袋は空っぽになり、街の灯りが優しく彼女を照らしている。
みんなの笑顔を見られて嬉しかった。子供たちの目が輝いた瞬間、お年寄りが驚いて喜んだ姿。でも、胡桃の心の中には、まだ一つだけ渡していないプレゼントがあった。
「あ……」
雪の中に、見慣れた姿があった。彼だ。コートの襟を立てて、ずっと待っていてくれたのだろう。彼の目が胡桃を捉えると、ほっとしたような笑みを浮かべた。
「お疲れ様、胡桃サンタ」
「もう……寒かったでしょ?」
胡桃は駆け寄った。心臓が高鳴る。プレゼントを配っている間、ずっと彼のことを考えていた。
「うん。でも、君を待つのは全然苦じゃないよ」
その優しい言葉に、胡桃の胸がきゅっと締め付けられた。
「ねえ……」胡桃は少し恥ずかしそうに視線を逸らす。「あなたにも、プレゼント……用意してるの」
「え? 本当?」彼が驚いたように目を丸くする。
胡桃はゆっくりと彼に近づいた。雪が二人の周りを舞い、世界が静寂に包まれる。心臓の音だけが、やけに大きく響いていた。
「目、閉じて」
彼は素直に目を閉じた。胡桃はそっと背伸びをして、震える指先で彼の頬に触れる。温かい。この温もりが、今夜一番のプレゼントだと気づいた。
そして――。
胡桃は目を閉じて、そっと彼の唇に自分の唇を重ねた。
柔らかくて、温かくて、甘い。雪の冷たさが一瞬で消え去り、二人だけの温もりが生まれた。時間が止まったように感じられた。
唇を離すと、胡桃の顔は真っ赤に染まっていた。
「メリー……クリスマス」
小さく囁いた声は震えていた。彼は目をゆっくりと開けて、驚いたような、でも幸せそうな笑顔を浮かべた。
「……これが、一番嬉しいプレゼントだよ」
彼は優しく胡桃を抱きしめた。温かい腕の中で、胡桃は幸せで涙が出そうになった。
「サンタさんって、こんなに素敵なプレゼントもくれるんだね」
「特別な人にだけ、だよ」
胡桃は彼の胸に顔を埋めた。彼の心臓の音が聞こえる。自分の心臓と同じリズムで鳴っていた。
雪は降り続けていたけれど、二人の心は誰よりも温かかった。
この夜、胡桃は最高のサンタクロースになれた気がした。
読んで頂きありがとうございました。




