武装
夜が明けると、ヤマトたちは敵の襲撃に備え、生存のために即席の武器を作ることにした。
武器に詳しい者を募ると、カジャが名乗りを上げた。
「武器作りなら、俺に任せろ」
カジャは武器に詳しく、以前から鍛冶や戦闘の経験があった。彼の指導により槍と弓を作ることにした。
力の強いものには槍を持たせて前線へ、力の弱いものには弓を持たせて後方支援をする計画のようだ。
彼はまず、森の中からしっかりとした枝を選ぶ方法を仲間に説いた。
「槍の柄は手に馴染み、なおかつ折れにくい棒状の枝を選ぶことが肝心だ。細すぎたり曲がっていたら、使いものにならない」
次に、槍の先端に使う石選びの重要性を語る。
「先端は石を岩にぶつけて鋭く割れたものを使う。硬い岩で叩いて尖らせることで、貫通力を持った石の先端を作るんだ」
さらに、槍の柄の一端を削り、そこに加工した石をしっかりはめ込む方法を教え、植物の蔓や繊維を使って何重にも巻きつけて石が外れないよう堅固に固定する工程も細かく指導した。
「矢は二種類作る。石の矢じりと木製の矢じりだ。石の矢じりは鋭利で貫通力が高いが時間がかかるため、まずはナイフで枝を削って木製の矢じりを十本ほど作るんだ。その後で石矢を仕上げていこう」
さらに弓の作り方も説明した。
「弓は丸い一本の枝から作る。両端を削って弦を掛けられるようにし、なるべく弾力のある素材を選ぶこと。たとえば梓や檀、槻の木は弾力に優れている。枝を適度な長さに整え、強度を保つために枝の曲がりや大きさをよく見極めるんだ。弦は草の繊維や蔓を編んで作る。弓と矢が揃えば、遠距離攻撃が可能になる」
カジャの的確な指導のもと、リオンや仲間たちは素早く武器作りに取り掛かった。新たな武器を携え、一行は少しだけ心強さを取り戻し、迫り来る敵に向けて鋭い覚悟を新たにしたのだった。
ヤマト:日高国の一族の末裔で火星移住計画を立案した
キーザ:宇宙船の操縦士でヤマトの補佐役
トリア:ヤマトが信頼している人物の一人。冷静な判断ができる
ギガン:屈強な体躯を誇る大男。ユーモアで場を和ませようとする
リオン:先行隊の中では比較的若い。
カジャ:武器作りに詳しく、鍛冶や戦闘の経験がある。
サマル:中炎国の王子で従者を従えている。物資の分配をめぐりヤマトと対立し去っていった。
フリザ:英霊国の党首で従者を従えている。見張り中に忽然と姿を消した。
カラン:泥棒に間違われ追放される。その後死亡。
ザルツ:カランの死は自分のせいだと考えて失踪。