8、飛行と旅立ち
それは村に滞在して5日目の時だった。
「ベル!ベル!」
リーラは朝早くで眠そうなベルを叩き起こした。
ベルが起き上がる。
「勝手に入ってくんな…」
「飛行だ!飛行だ!飛行だー!」
そういうと、ドタバタと、リーラは部屋を飛び出して行った。
「なんだあいつ……飛行!?」
二度寝しようとしていたベルはもう一度、ベッドから力強く起き上がった。
急いでベルが一階に降りると、リーラはテーブルの周りをスキップしながら歌を歌っていた。
「ラルラーリーラルラー、ルラルーラーラリラー」
「…なんの歌?」
「故郷の歌だよ!フォウ!」
リーラはもう一回歌い出した。
リーラは過去一でテンションが高かった。
なんかもう、異常者って感じだった。
引き気味に、ベルが尋ねた。
「飛行、できたんだって?」
「そうだよ!そうだ!ウヒヒヒ!」
「見せてくれないか?」
杖とってくる、と急に冷静になって自分の部屋に戻るリーラだった。
「…行きます!」
宿の外、杖を持ったリーラが軽く飛び上がりながら詠唱した。
「飛行」
下から小さな竜巻が現れ、ベルの前髪が揺れる。
「おおお…」
上へ向かう速度はだんだん速くなり、宿の天井あたりで止まった。
と思ったら、リーラの体は宿の周りを何周も繰り返して回った。
「どうだい!どうだい!どうだい!」
再びテンションが上がったリーラは竜巻の中で笑いながら、回転していた。
こんな激しく動いても速度と高度を維持できるとは、すごい安定力だ。
「ちょっと、飛行でみんなにおはよう言ってくる!」
そのままリーラは村の中心部に向かって、飛んでいった。
そして10分後、さっきとは打って変わって、ヨレヨレのリーラが帰ってきた。
「どしたん」
「魔力切れ…」
どうやら飛行は使いすぎるとすぐに魔力切れになるらしい。
みんなも飛行を使う時は気をつけよう!
こんな感じで、二人が村に来てから一週間が経った。
最初に二人を迎えてくれた農夫は、実は村長だったということを知って、最後にお礼の挨拶にしに行った。
「お世話になりました」
「食事を頂きありがとうございました」
お辞儀する二人に、村長は、
「いいってことよ!お二人さん。お嬢ちゃんも、最近朝の挨拶周りをしてくれてありがとうな!あれ、子供達に人気なんだよ」
リーラの飛行練習だろう。
こうして二人は村の子供達ともバイバイして、この村を去った。
村を離れてからしばらくして、
「飛行とベル、どっちが早いか勝負しようぜ」
「おお?いいとも。何賭ける?」
「私は、ベルの剣を研磨してやるよ」
「俺は肩揉み」
明らかに不平等な賭けだが、乗ったリーラ。
数分後。
「ずるくないすか」
「ずるくないから、はやく研いで」
リーラは剣士の全速力を舐めていたそうで、開始早々遅れをとって、結果、リーラは敗北を喫した。
土魔術で作り出した砥石で研ぐと、刀の状態が良くなるらしい。
ジャコジャコ研いでいるリーラにベルは言った。
「リーラの故郷の街って、リレーシャのどこらへん?」
「アリラという街でね、結構国境から近いから、ライレを超えたらすぐだよ」
「いいところ?」
「そりゃ、自然豊かでいいところですよ?」
「いいねぇ」
そんなことを話しているうちに、剣の研磨が終わった。
「ほい、できたよ」
「ありがと」
光り輝いている剣を見つめるベル。満足げだ。
「んじゃ、行きますか」
それから1か月ぐらいは、ひたすら国境目指して、歩いていた。
道中は飛行を使うことが基本的になくて、リーラはしょんぼりしていた。
そして途中で馬車を拾い、関所まで送ってもらった。
結果として意外と魔獣と戦わなかった。
あ、一回だけ、Cランクの魔獣と戦った。
全長5メートルぐらいのでっかい鳥だった。名前は知らん。
光線も、翼で遮られたが、隙を作ってベルが両方とも叩き切ると、おとなしく光線で倒された。
馬車の中で揺れながら二人は話し合いをしていた。
「アリラって、冒険者ギルドある?」
「あるよ。クエストそこで受けよう」
二人はレンテから旅立ってから大体1ヶ月半ぐらいでリレーシャの国境を超えた。
〈裏話〉
•魔術の詠唱
魔術の詠唱はカタカナでできていてそれらには法則性がある。
また人と魔族によって詠唱は異なる。この設定めんどい
水属性
人は最初、ス 魔族は最初、ラ
火属性
人は最初、ル 魔族は最初、フ
風属性
人は最初、リ 魔族は最初、ア
土属性
人は最初、シ 魔族は最初、エ
光属性
人は最初、ラ 魔族は使えん
•アーリエ・フラム
ベルの後輩彼女。下級騎士フラム家の一人娘。
最近は、ベル先輩ロスでやつれている。
リーラのことをベルを騙している悪い女だと信じて疑わない。
あと、普通に剣術も強い。
最近サメのぬいぐるみ買った。
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