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リエルネールの二人旅  作者: せきち
第4章 魔族の思惑編
53/63

49、なるほどね

旅が始まって、一週間が経つ。

リエルネールの三人は現在、レンテを超えた先、レノフの故郷のライレにたどり着いた。


道の途中、リーラは木が不揃いに並んでいるのを見て、指を刺す。


「ここだよ、ここ私たちが水の魔族討伐したの」

「へぇ、強かったか?」


うーん、と少し考えるリーラ。


「そうだね、カルネルにいた火の魔族よりかは強いんじゃないかな」

「じゃあ、強いな」


この火の魔族は、ヴィアルムのことである。

ヴィアルムよりヴァーテの方が強いと今証明されました。


「レノフは魔族とか倒した?」

「あぁ、魔族を三体」

「おぉ、すげえじゃん」


リエルネールはこの三年間で五体なので、1人のみのレノフの凄さが窺える。


それから少し歩くと、ラレア村が見えてきた。


「おぉ、復興している」

「すげぇ」


水の魔族ヴァーテに完膚なきまでに破壊されたその村は、3年後の今再生しているようだった。


今日はこの村に泊まることにした。


三人は住宅の並ぶ道を歩く。

2人の後ろで歩くレノフが2人に問う。


「これ、どこに向かってるんだ?」

「顔見知りがいてね」


そう言って、前に振り向くベル。

その目の前には村長の家があった。


村長。

ベルとリーラによくしてくれたその人は魔族の攻撃で3年前行方不明だった。


「すみませーん」


扉をコンコン叩き、ベルは少し響く声で尋ねる。


数秒の間、そして、


「はいはーい」


という返事が聞こえた。

耳馴染みのある声だ。


ガチャリと音を立てて開かれた扉の先には1人の男がいた。


村長。

村長の男は久々に再開した来客に狼狽えている。

こやつらは誰かと少し考えているみたいだ。

そして、思い出したように口を開く。


「おぉ、あんたらは、確か数年前の」

「はい、お久しぶりです」


すぐに朗らかな顔を見せる村長。

扉の横にそれ、入ってくださいと言わんばかりに手招きをする。


「さぁ、入った入った。感謝を伝えたくてね」

「感謝?」


三人は流れるように綺麗な手引きに釣られ、いつのまにか村長の家のリビングにあるテーブルに座らされていた。


三人の反対側に、村長が座っている。

そして、村長はレノフに指を刺す。


「誰かなこの少年は」

「うちの新しいメンバーです」

「こんちわ」


レノフは状況が読み込めずに、こくりとうなずく、


村長は言葉を続ける。


「あんたらは、リエルネールだろう?パーティ」

「まぁ、はい」

「おぉ、やっぱりだ!」


なぜか急にはしゃぐ村長に、三人は顔を見合わせて首を傾げる。


村長は何故か誇らしげに言葉を続けた。


「いや、この村を一度ぶっ壊した魔族をあんたら討伐してくれたろう?」

「あぁ!それですか!」

「すごいねぇ、あん時はまだ二人組だろう?」

「はい」


レノフはリーラに、ヴァーテのこと?と目配せをして、リーラはレノフを見て、軽く頷く。


ベルと会話をしているおじさんがテーブルに身を乗り出す。


「んじゃあね、しばらくこの村にいるのかい?」

「いや、明日に出ようかと」

「…あぁ、そうか。じゃあ、しょうがないな。また機会があったら来ておくれ」

「ありがとうございます」


三人は家の玄関の扉を開いて、礼をして出ていった。


しばらくして、レノフがベルを見つめながらいった。


「なんかベルって、他所行きの顔あるよな」

「あ、それわかる!なんかキモいよね」

「まぁ、失礼な」


と言いながらもあまり傷ついていない様子のベル。


ため息をついて、今度はベルもレノフに言い返す。


「それじゃ、お前はもっと愛想を良くしろ」

「…悪くしてるつもりはないぞ」


こちらは露骨にしょんぼりしている。

リーラがヨシヨシと頭を撫でて宥める。


レノフには頭を撫でるのが1番好きなのだ。

お前は動物か。動物か。


そんな事を言っているとすっかり改築された宿に着いた。

とは言っても、見た目はあまり変わらずレンガ構造の二階建てだった。


ベルは2人を見て言った。


「よし、レノフは俺と同じ部屋で、リーラは1人部屋」

「えやだよ、私レノフと寝たいよ」

「ベルに賛成」


その、レノフの一言で決まった。

レノフも女子と一緒に寝る事を躊躇する年頃になったのだ。

思春期とも言う。


「じゃあ、行くよ2人とも」

「うーい」


宿の扉を開き、宿の受付に話しかけるベル。


「一部屋、いくらしますか?」

「えーと、300ヘルトですね」

「じゃあ、二部屋お願いしまーす」

「わかりましたー」


やる気のなさそうな受付嬢も軽く頷き、リフォームの時についでに追加した鍵を二つ渡す。


鍵といっても、現代で言えば銭湯とかで使われる木の札だ。


「なんかいい感じに差し込んでくださーい」

「はーい」


ーー


そして、リレーシャでは。


2人の魔族がリーラの故郷、アリラの前にいた。


水剣の魔族、キラクトが土の魔族ディレンに話しかける。


「ねぇ、ディレン。どうするつもり?まさか、ここを攻め落とすわけ?」

「まさか、ネルフェスじゃあるまいし」


ディレンは鼻で笑い、キラクトが頬を膨らませる。


「鼻で笑うな」

「笑ってねぇよ」


この2人、一週間の旅の中で仲良くなったようだ。


切り替えが早いキラクトは話を戻してディレンに問う。


「んで、どうすんの?」

「まぁ、とりあえず見とけ。何もしないで」

「りょうかーい」


キラクトが右手を頭の前に掲げ緩く敬礼する。

それを見ずにディレンは門番のいる正門への道を進んでいった。


二人は無言で石造りのレンガで舗道された道を歩く。

そして何を思ったのか、ディレンは衛兵の一人に話しかけた。


「すまない、ちょっと話をいいか?」

「ん?いいぞ…ぇあ、ま、あ魔族!?」


ディレンの顔を視認してわかりやすく狼狽える衛兵。

その反応を待たずにディレンは言葉を続ける。


「この街の領主と話したいのだが、ここを通してくれるか?」

「…は?えぁ、な何を、言ってる?」


衛兵は自分と数人の他の衛兵にも槍を構えられても無反応なディレンを不気味げに見つめる。


ディレンの後ろにつくキラクトはそれを見てニヤリと笑う。


「なるほど、そういう感じね」


英雄歴717年、5月2日。


リレーシャにて再び、歴史が動こうとしていた。


〈裏話〉

・表現へた

何が、歴史が動こうとしていただよ。


・魔族キラクト

銀髪で白の、明らかにオーバーサイズの白ワイシャツを着ている。

生きてる年月は約300年。

子供っぽい性格。

しらすとマヨネーズ合わせたやつの正式名称を知りたい。しらマヨ?

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