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リエルネールの二人旅  作者: せきち
第4章 魔族の思惑編
49/63

45、カルネル襲撃 前編

「遅い遅い遅い!」


光の魔人、フラルは走る。

7体の魔族の魔術をかわしながら、曲がったり反射する光線を辺りに乱射する。


フラルの後ろにある建物たちが次々と破壊されていく。


「やっひゃっひゃっひゃぁっ!」


魔女みたいな笑い方をしながら走るフラル。


急に飛び上がったと思ったら、防護を足場にし、階段みたいに空中に駆け上がり大ジャンプをする。


「いやっはぁぁぉっ!!」


奇声を発し、バク転をしながら四方八方へ光線を放っていく。


飛行をしている1人の魔族がモロに着弾し、地面に派手な音を立てて落下。


魔族を死亡させる方法は、即死か魔力を循環させる心臓を潰すかの二択だ。


この魔族は頭を潰されて死んだ。


「弱い弱い!」


フラルがひゃひゃひゃと豪快に笑う。


一方、魔人の死亡させる方法は心臓を潰すだけである。

何故なら、魔族の心臓を移植しているから。


心臓以外だったら、どんなひどい傷だとしても死なないし、フラルなら治癒で一瞬で回復する。


魔族より魔人の方が生物としての格が高いのである。

フラルがくるくる周り、一つの家の屋根に着地する。

骨折した足を無詠唱の治癒で治す。


その様を見て、魔族の1人が他の魔族に警告する。


「全員、近距離で殺しに行け!あいつの攻撃は遠距離向きだ!」


もっともだ。

フラルは少し感心し、右手を突き出した。


「頭、いいですね」

「初めて言われたよ、それ」


無詠唱で放たれた光線をかわし、両手から魔術を繰り出す。


その魔族は土属性らしく、複数の土の壁がフラルに襲いかかった。

しかもかなり複雑な動きをしながらフラルを追う。


流石、魔族だ。

制御の洗練度が人間の比じゃない。


光の魔人は屋根の上でバックステップをしながらそれらを避ける。

そして他の魔族が援護をする。


多種多様な魔術を防護で守りながら、フラルは考えていた。


んーどうしよ。何かいい攻撃方法ないかな。


光魔術の欠点は、3種類しか魔術の種類がないことである。

光線と、防護と、治癒。


つまり、どれだけ奇想天外な事をするかで勝敗が決まる。


1番自由度が高い魔術は光線である。

防護を攻撃に使うのも面白いかもしれない。


しかし、防護はそれを展開した場所から動けない。

では、どうするべきか。


その時、フラルが良いことを思いついたと言わんばかりの顔をした。


「じゃあ、こんなのはどうですか?」

「え?」


魔族の目の前に、防護で出来た正方形の平面が現れる。


ただの、防護だ。


「なんだ?これは…」


次の瞬間、その防護の真ん中から、光線が放たれた。


「あ」


悲鳴を上げる間もなく、至近距離で頭を撃たれた土の魔族が落下する。


その様子を最後まで見守るフラル。


「これ、いいですねぇ!」


フラルが興奮した表情で微笑んだ。


遠隔での光線。

これはフラルの攻撃の幅をさらに膨らますものだった。


両手を広げ、辺りに防護を展開してするフラル。

光線反射と遠隔の光線が仕組まれているやつだ。


息を大きく吸って、屋根の先から大ジャンプをする。


「じゃあ、さっさと殺して行きますかぁ」


次の瞬間、フラルの周りには光線のやや黄色がかった色に辺りが満たされた。


ーー


一方、カルネル城では。


焔の球(フ・ラエム)

竜巻(ア・カルフル)


来賓のための部屋が魔術で満たされる。


ヴィアルムとフェリオンの魔術の相乗効果で辺りが火の海となった。


土の壁から、それぞれの魔術で抜け出した2人はお互いの魔力を高める。


「何のつもりだ!ディレン!」


ヴィアルムは自分たちを殺そうとした土の魔族、ディレンに叫ぶ。


「なぜ、|ネルフェス(あの人)に敵対する!」

「そうだな。特に、意味はないな」


ディレンはそう言いながら、岩壁を生成し続けあっという間に戦場は、岩壁によって形成された障害物で覆われた。


と思ったら、ヴィアルムとフェリオンの身体を四方八方から岩壁によって構成された棘が刺しまくる。


「ゔあっ!」


2人はどうにか数本のみ回避して、棘を抜く。

あまりの強さに身体が血まみれのヴィアルムは悲鳴を上げる。


「バケモンかぁ、こいつ?」

「早く、ネルフェスを出せ」


ディレンはそう言いながら片手を2人に向ける。

その手のひらに覆われた魔力の濃さを感知し、2人は一歩下がる。


辺りはまだ火の海だ。


それを見て、フェリオンは何かを思いついた。

ヴィアルムに叫ぶ。


「ヴィア!水素!逃げて!」


その言葉だけで、ヴィアルムは全てを理解した。

ちなみにヴィアとは、フェリオンなりのヴィアルムの略称である。


ヴィアルムは廊下に飛び下がり、遠隔で火力を強める。


それを見たディレンが語感を強くして、フェリオンに問う。


「何をする?」

竜巻(ア・カルフル)


次の瞬間、爆発が起きた。


轟音、轟音、轟音。


元々部屋だったものが跡形もなく散り、ちょうど昼頃だった空に照らされる。


また、壁の破片が大通りに墜落していく。


この爆発の中、壁の破片の一つが腹に刺さったディレンは苦笑をする。


「…なるほどな」


水素だ。

フェリオンは火の海に水素を放ち、爆発を引き起こしたのだった。


そして、リーラに一回それをやられていたヴィアルムはそれを理解していた。


フェリオンは多少の防御をしたが、腕が出血をしている。

まぁ、自然回復をしたため全治するのだが。


ディレンは口から血を吐き出し、破片を抜いて、自然回復をする。

ふっと笑い、すでにボロボロの2人に話しかける。


「なるほどな、次はこちらだ」

「…うるさいぞ」


その時、とてつもない魔力を感じた。


不意に、ディレンの膝は崩れ落ちかける。

とんでもなく重い。何だこれは。


辺りを見渡す。

ヴィアルムとフェリオンからではない。


魔力というか、殺気だ。

これは殺気だ。


その魔力の先には空中に浮かぶ1人の魔族がいた。

斜め上を見上げるディレンにその男は言う。


「人が寝ている時に、大きな音を立てるな」

「ネルフェス…」


ディレンは冷や汗を流しながら、返答する。


魔王ネルフェス、寝室より降臨。


〈裏話〉

・ネルフェス

魔族は基本的に寝ると言う習慣がないが、日頃のストレス解消のためにたまに寝ているのだ。

その眠りを遮られたと言うことは、今めっちゃ怒っていると言うわけだ。


・ハイテンション

フラルは戦うのが大好きなのでテンションが高い。

チンチロのルール、最近まで一二三が1番強いと思ってた。

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