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リエルネールの二人旅  作者: せきち
第二章 黒のローブと賢者編
27/63

25、海観光

海だ。

目の前には、海が広がっていた。

王都カルネルの中心地を抜けてから1日とちょっと。

ベル、リーラ、レノフの3人は、海にやってきた。


「でっかぁ…」

「これ、全部水なんだなぁ…」


3人の中で海を見たものはだれもいなかったので、ひたすら、呆然としていた。

砂浜にも行くが、格好が汚れるので海の中には入らない。


「ちょっと、水に触れるだけでもいい?」


リーラはベルに同意を求める顔をする。


「…いいよ」

「ぃやっはーぁっ!」


リーラは剣士の速度で、レノフを回収し、共に海に飛び込んだ。


何が、ちょっと水に触れるだ。

もうびしょびしょだ。


「ベル、これしょっぺぇ!」


リーラが子供のように、はしゃいでいる。

まあ、まだ子供だが。


「師匠…やめてよ…」


リーラと共に海に漬け込まれたレノフは重たい服をたくし上げ、ベルのいる砂浜へと戻っていった。


「ベル!こいよ!」

「やだよ」


リーラの、なんかぐるぐる回転している変な泳ぎ方を見て、ベルは泳ぐ気が失せた。

どちらかというと、アーリエと行きたい。


そして、その後。


「あんた、服着て海に入ったのか?バカだなぁ」

「いや、ほんとすんません」


宿主の嘲けりに、リーラが低い声で、返事をする。

ここは、海の近くの宿。

リーラが水の魔術で塩を抜いた服を、泊まるついでに乾かしてもらった。

風魔術で乾かせばいいのでは、と思ったが、リーラ曰く。

そよ風レベルの風を出すことは、台風を作り出すより難しいと逆に説教されてしまった。


リーラは肌着の上にベルのローブをかけただけの、割と目に毒な服装をしていたので、宿主の娘に、青のワンピースを貸してもらった。


「本当に、ごめんなさい…」

「いやいや、そういう観光客多いんで!」


そう言う、服を貸してもらった宿主の娘さんは、今のリーラと同じ、青いワンピースをつけていた。


「…何か、恩を返せる依頼はありませんか?」

「依頼?…あ、じゃあ、私にいろんな魔術を見せてくれませんか?」

「…そう言うことなら、あそこに賢者候補だった私の弟子がいるんで」


と、リーラはあっさり責任を放棄し、レノフに指を刺す。が、


「パス」


あっさり断られた。


「…じゃあ、外に出てください。何か、お見せしますよ」

「やった!ありがとうございます」


遠巻きに、ベルとレノフが眺める中、二人は魔術を披露していた。


「私の適性は二つと、割と少なめなんだけど、割とこれ応用が効いてね」

「ふんふん」


リーラが右手の人差し指を宙へ浮ばせる。


風の渦リ・ラーム、と言ってね。これはただの竜巻なんだけど、これに炎を混ぜると、」

「おぉ!」


下から順に、竜巻に赤が色がついたように炎が広がっていく。

宿の娘の歓声。


「水とか土の属性が、応用が効くと言われているけど、風にもそれがあってね」


いつの間にか、タメ口になるリーラ。


「出している風の性質も変えることができて、たとえば通常は酸素だけど、二酸化炭素にすると…」

「わ、消えた」


炎が消えた。

娘の反応を見て、リーラは無詠唱でもう一度炎の渦を作り出す。


「はたまた、水素を出すこともできる、ちょっと、離れて!」

「え、ちょっと…」


バン!


娘が耳を抑える。

轟音と共に炎は爆発して、消えていった。


「大丈夫?ごめん」

「いや、大丈夫だよ」


二人はいつの間にか仲良くなっていた。不可思議。


リーラの説明を遠目で見ていたベルとレノフの二人は話していた。


「レノフ、お前あれ教えてもらったことある?」

「ないな」

「…あいつなんかそういうとこあるよな」

「さすが師匠だ」


レノフも、皮肉がいえる年頃になってきたようだ。


この、魔術の講習は結局夕方ごろまで続き、宿の娘とリーラはすごく仲良くなっていた。

そして翌日。リーラの服を回収したら、この宿をさって、王都の中心部に戻ることにした。


「じゃあ、またどこかで!」

「バイバイ!リーラ!」


二人はブンブン手を振り合いながら、別れた。

少ししたら、それをやめてベルとレノフと話していた。


「いやー!海が見れて、よかったよかった!」

「なら、よかったよ」


上機嫌なリーラにローテンションなベルが相槌する。


3人はその日の夕方、カルネルの南門に辿り着いた。

そこでは出る時よりも厳しい検問があった。


「どうしたんですか?」


ベルが治安警備隊の一人に尋ねる。


「あぁ、一昨日、ここら辺に魔族が現れたんだ」

「魔族?」


魔族という言葉に敏感なレノフが警備員に尋ねる。


「そいつ、炎使ってた?」

「…いや、魔族は複数体いたそうだから、わかんないけど現場には燃えた跡があったよ」


すみませんでした、とレノフの代わりに警備員に謝るリーラ。


「…もしかして、そいつレノフの孤児院燃やしたやつかな」

「…多分、違うと思う。孤児院があったのは、王都から遠い場所だから…」


確かに、魔族は自分のテリトリーからは絶対に動かないと聞いたことがある。


「なんだか、不穏だなぁ…」


ベルが、ポツリとつぶやいた。


〈裏話〉

•治安警備隊

治安警備隊には長い歴史があり、およそ300年前から存在するとされている。

魔術科と騎士科に分かれていて、レンテやカルネルといった主要都市に常駐している。

治安維持隊とよく間違う。


•この話のベルの最後の言葉

これは、フラグだぁ!!!!

電気ケトルよりもヤカン派。

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