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リエルネールの二人旅  作者: せきち
第二章 黒のローブと賢者編
21/63

19、ドラゴン・スレイヤー

防護ラ・クト!」


ドラゴンの炎を防護で守る。

杖を両手で握りしめ、必死に抵抗する。

暑い。とにかくあっつい。

しかし防護に魔力を込めることが第一優先だ。

少しでも気が抜けると、防護が破れてしまう。


その時、リエルネールは動いていた。


ベルがドラゴンの背後へと回り込む。

レノフが、光線を放ち、ドラゴンの片目を潰す。


ドラゴンが炎を吐くのを止めるのと同時に、ベルはドラゴンの左の前足と後ろ足を断ち切る。


「ガゴォォォァァッ!!」


ドラゴンが悲鳴か雄叫びかもわからない声を上げる。


リーラは走る。


治癒ラ・レイ


もう一人の冒険者も遠隔で治し、少し距離を取り、ドラゴンに杖を向ける。


「ベル、今からドラゴンの隙を作るから、首を掻き切って」

「わかった。無理すんなよ」


リーラは一歩後ろにいるレノフに言う。


「レノフ、私が合図出したら、光線を打って」

「わかった、何するんだ?」


ニッとリーラは笑う。


「魔術ってのはね」


杖を横に持って、いつでも走れる体勢になる。

姿勢を低くする。


「物理なんだよ」


走った。リーラは風魔術で速さを上げて走った。


「グォルル!」


迫り来るリーラにドラゴンの右手が出る。

赤くでかい爪がリーラと残り2メートルまで近づいてきた時、


風の渦リ・ラーム!」


真下に竜巻をだし、リーラの体は大きく浮き上がる。ざっと、10メートル。

リーラは空中でバク転をして、ドラゴンの右手を避けた。


リーラの頭は真下を向いていた。

杖を持っていない方の腕を180度逆のレノフへ突き出す。

レノフは杖を構え直す。


「今!」

光線ラ・ルーシャ


ドラゴンの頭の前の部分に光線が当たる。

リーラはドラゴンの頭目掛けて杖を向ける。


土の壁シ・ラクテム


ドラゴンの顔の真下の地面から土壁が飛び出し、顎に勢いよく衝突した。

土に適性がないリーラでもこの程度の魔術ならできる。


「グガラァッ!」


最初の時より弱々しい悲鳴を上げるドラゴン。


「ベル!」

「わかった!」


リーラの叫ぶ声はベルに聞こえていた。

ベルはドラゴンの下へ掻い潜り、無防備ですでに傷ついている首を掻き切った。

ベルはドラゴンの血を顔に浴びる。

ドラゴンは声を立てずに倒れた。

ギリギリでベルは下敷きにならずに済んだ。


「ナイス!」


リーラは空中で飛行を使って綺麗に着地した。

レノフも駆け寄る。


「師匠も、すごかったぞ」

「そりゃそうよ」

「最初から飛行使えばよかったんじゃない?」

「…そういうもんじゃないよ」


ベルの無粋な言葉をリーラは躱し、他の冒険者を置いていって、村長の家に帰った。


「よくやってくれた。報酬は10000ヘルトだよ」

「ありがとうございます」


報酬の割には強い敵だったが、旅であまり大金を持ち歩くわけには行かないのでちょうどいい値段だった。


「ここら辺に宿ってありますか?」

「あー、ここら辺は大体冒険者様が止まっていますからねぇ…」

「あ、だったら大丈夫で…」

「じゃあうちに泊まっていきませんか?」

「結構です、ありがとうございます、失礼します」


意地でも他人の家に泊まりたくないベルは、一瞬で謝って、家から飛び出た。


「いいのか、泊まらなくて」

「ベルはね、他人の家に泊まるのが嫌なんだよ」

「そうか、変なやつなんだな」

「そう言うこと言うなよ」


ベルがぼやく。


「今夜は、野宿かぁ…」

「変なやつだな」

「だな」


結局、赤眼竜ラードル・ドラゴンを討伐した報酬金で旅の路銀を全て賄えたので、これからは村で依頼をしなくてもよくなった。


そして、6月21日。事件が起きた。


その日は道の途中で出会った魔獣と対峙していた。

Cランク魔獣、ハーディスである。見た目が爬虫類のやつ。今回は15体が相手なので、だいぶ厳しい戦いになった。


「レノフ!一体ずつ足元に風の渦リ・ラームを!」

「無理だ師匠、こいつら魔力感じるとすぐ避ける!」


硬い鱗は剣を通さず、魔術も弾く。

ハーディスは腹の方から潰すしかない。


「どうする?一旦逃げるか!?」


ベルが二人に呼びかける。

最前線にいるベルがいつでも逃げられるように一歩下がる。


「じゃあ、私が火の渦ル・ワームしたら一斉に逃げろ!」

「了解」


レノフも杖をしまい、すぐに逃げられる準備をする。

ベルがそれを見て、合図を出す。


「今だ!」

火の渦ル・ワーム!」


リーラの生み出した炎はハーディスを巻き込み、悲鳴をあげさせた。


「走れ走れ!」


リーラとベルが走るのは早いが、レノフは少し、遅い。

ベルはレノフを担ぐために戻ろうとした、

その時


雄叫びと共に、ハーディスは炎の中から出てきた。

そうだ、そうだそうだ!

なんで気づかなかったんだ。

あんな魔術たくさん防いでんだ。


ハーディスの鱗は熱に強い!


「くそっ」


ベルがレノフに駆け寄る。だが、ハーディスがレノフに近づく方が早かった。

レノフは咄嗟に、後ろを向いた。

ベルとリーラは何を血迷ったのかと思う。

その時、

リーラの額には、冷や汗が出てきた。

魔力だ。この魔力。悍ましい。恐ろしい。

レノフから溢れているようだ。

魔族の魔術みたいだ。

なんだこれは、


レノフとハーディスの距離が残り1メートルにも満たなくなった時、レノフは手を突き出す。


見えない魔術シャ・ラーム


それは一瞬だった。

その魔術は目の前のハーディスの全身を抉り、その奥にいたハーディスの群れまで巻き込み、木々まで巻き込んだ。

見えない魔術が通った跡には、草も禿げ、草木も潰れ、ハーディスの死体と思われるものが転がっていた。


ハーディスの群れは全滅したのだった。


呆然とする二人を尻目に、レノフは振り向いた。


「じゃあ、行こう」


〈裏話〉

•一応ネタバレ

もうバレてると思うので、言っておく。

十話の、人を二人殺した男とレノフは同一人物。


•ハーディスの鱗

ハーディスの鱗は魔術をほぼ無効化する。

これを使った防具が王都では人気で、とてつもなく高い。

この前久しぶりにエナドリ飲んだ。

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