18、厨二な名前の竜
その朝、いつもの宿に泊まっていたレノフは起きた。
「お、起きたか」
声のした方向を向くと、そこには寝巻き姿のベルがいた。
周りを見渡してもリーラがいないところを見ると、リーラだけ別の部屋だそう。
「…なんで俺がこいつと同じ部屋なんだ」
「あいつがショタコンじゃないからだよ、いいからどけ。布団を敷き直す」
「ん」
ベットから跳ね起きたレノフ。
最初会った頃とは打って変わって素直な子供になっていた。
「お前昨日、割と早めに寝たからな、全くそういうとこだけ子供なんだから…」
「何か手伝うよ」
「お、じゃあ、リーラを起こしてこい。多分お前なら何かあっても捕まらない」
「…わかった」
扉を開けて、隣の部屋に潜り込む。
ベッドの中ではリーラが幸せそうな顔をしながら寝ていた。
「師匠、起きろ」
「んー、あぁレノフか」
「起こしに行けって、ベルが」
「あーわかった。すぐに準備する。着替えたいから、出てってくれ」
「了解、師匠」
再び、ベルの部屋へ戻るレノフ。
「おー、起こしてきたか?」
「おう、着替えるから出てけって」
「んじゃ、お前も準備しろ。今日はお前の杖を買いに行く」
「…そうか」
ベルとリーラはレノフに謎の庇護欲を感じていた。
これが、子供の魔力なのだろうか。
末恐ろしい。またベルが高い杖を買わないように注意しなければ。
と、リーラは着替えながら考えていた。
こうして、レノフは新しい杖を手に入れた。
流石にリーラみたいな高い杖ではなく、見習い魔術師が使う、小さめの杖だった。
なんだかレノフは少し嬉しそうだった。感情を表に出さないが。
ベルは二人に向かって話し始めた。
「じゃあ、今日から旅に出る。目的地は、王都カルネルだ」
王都カルネル。
そこはレンテを含む国、リロフのちょうど真下に位置する国で、この大陸で一番栄えていると言っても過言ではない。
「旅の目的の一つ。海を見たい」
リエルネールはメンバー全員、海を見たことがないのだ。
王都カルネルは、この大陸最大の貿易国でもあったのだ。
そして二つ目、
「あと一ヶ月ちょっとで新国王によるパレードが行われるからな。それを見てみたい」
前国王がついこの前亡くなり、新しい国王が誕生した。
そのためのパレードが挙げられるのは、いつもの合例だ。
正直、こっちが本命である。
「では、旅に出よう」
「おー!」
「わかった」
空気の読めないレノフが相槌をうち、いつも通っている西門とは違い、南門を通って、外へ出た。
道を通っていくうちに、王都への道は、代替が整備されていることに気づいた。今回は、割と楽な旅になりそうだ。
「気をつけろよレノフ。森の中で道を尋ねてくるやつは、全員魔族だからな?」
「例えが抽象的だな」
実体験をもとにリーラはレノフは注意喚起をする。
まぁ、王都への人通りの多いこの道付近に魔族が生息するとは思えないが。
旅の一週間目は、特にアクシデントも面白みもない旅立ったので内容を飛ばす。
6月13日。リエルネール一行は村にたどり着いた。
村の名前はエーレル村。
そこでは、三人と同じパレードに行きたいという冒険者で溢れかえっていた。
二日間ぐらい、ここで居座るつもりだったが、あまりに人が多いので、一日したら出ることにした。
「んじゃ、依頼を受けに行きますか」
「ん」
「わかった」
場面は、村の中の一つの家。
「今回討伐して欲しいのは、赤眼竜だ」
今回の依頼は難しい。
Bランク魔獣の討伐だった。
Bランク魔獣はただ強いだけではなく、魔術を使えるやつだ。
今回はドラゴンだった。
依頼主は村の村長。
「君たち、魔族を倒したって噂のパーティーだろう?ここらでも有名だよ」
「あ、え、そうなんですか?」
「そうなのか!?」
ベルよりも、レノフが驚いていた。
そういや、こいつに魔族を倒したこと言ってなかった。
「この依頼は、他の冒険者にも頼んでいてね、早い者勝ちだよ」
「へぇ、そうなんですか」
「でも、君たちなら安心して依頼できるよ。頑張ってくれ、報酬は高くしとくよ」
というか、あのギルドの代表。
公にしないとか言っときながら、あっさり広めやがった。
許すまじ。
依頼へ向かうまでの道。
「魔族を倒したって、本当か?」
「うん、主にリーラがね」
「さすが師匠だ」
「ふっ…、だろう?」
リーラは有頂天になっていた。
なんか顔がニヤニヤしている。
そんなリーラを置いて、ベルはレノフに倒した経緯と、どうやって勝ったかを詳しく話した。
「…で、リーラの光線がヴァーテを何度も撃ち抜いたんだよ」
「それはすごい、さすが師匠だ」
「まぁな!はっはっはっはぁっ!」
もはや別の人格である。
そして、目的地の草原へ辿り着いた。
巨大な、5メートル級の赤眼竜がそこにいた。
「おい、他にもいるぞ」
そこでは、村長が言っていた通り、他の冒険者も戦っていた。
状況は良くない。
冒険者は六人いた。多分、三人ずつのパーティーだろう。
そのうち二人が怪我を負っている。
「レノフ!光線であいつの注意引きつけろ!」
「了解」
レノフは杖を構える。
「ベル、私他のパーティーの治癒に行ってくる!」
「わかった!こっち任せろ!」
「光線」
レノフの放った光線はドラゴンの頭に命中する。
しかし、傷は浅い。
なんなら、ほとんど傷がない。
あの赤い鱗のせいだ。
「ゴゴオォアァァァァッ!!」
ドラゴンの咆哮。
どうやら注意がこっちに向いたらしい。
リーラは他の冒険者の元へ駆け寄る。
倒れている男は首あたりから血が出ていた。
「大丈夫!?」
「あ、いや、うちのメンバー回復いなくて…」
オドオドしている魔術師。リーラは倒れている男に魔力を込める。
「治癒」
みるみると、顔色が良くなっていく男。
「じゃ、うちのパーティーの援護して!」
「は、はい!」
返事を待たずに、リーラは駆け出した。
リーラはもう一人の男へ近づこうとした。
次の瞬間、
「師匠!危ない!」
「リーラ!」
二人の声がする。後ろを向くと、ちょうど目の前には、赤眼竜。
ドラゴンは、リーラを前にして口を開く。
魔力を感じる。この感じ、火の魔術だ。
赤眼竜の属性は火。
このドラゴンは、炎を吐いてくる。
「まじか」
「ゴゥアァァァッ!!」
リーラの呟きもかき消す、ドラゴンの咆哮と共に口から大きい炎が吐かれた。
〈裏話〉
•Bランク魔獣
Bランクの中でドラゴンは割と少ない。
どちらかというと、でっかいモンスターで固まっている感じ。
ドラゴンはAランクに多い。
•カタカナの言葉探すのめんどくさい
他の話ぱくっちゃいけないし、魔術の詠唱も、国の名前も、人の名前も、全部カタカナで疲れる。
この竜の名前考えんの時間かかった。
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