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リエルネールの二人旅  作者: せきち
第一章 二人旅編
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1、剣士と魔術師

冬が過ぎ、春がやってきた。


ここ数日の間ずっと続いている曇天とした空には似合わない、暖かい風が街の大通りを潜り抜けてゆく。

その道の先にあるのは、とても大きな学校であった。


ここはレンテ騎士学校。


名前の通り剣士や騎士を育成する学校である。この街の名前がレンテなのでそこからこの名がついている。

世界中からの入学希望者も多く、ちょうどこの時期は卒業シーズンだった。


校門前に将来について語り合う卒業生らがたむろっている中、大通りの方面にある、少し外れにある服屋からその男は出てきた。


「ふふふ…」


男の名は、ベル・オール


下級騎士のオール家に生まれた三男である。

騎士は剣士とは違い、主に貴族などの主人を守る衛兵や用心棒として活躍するのだが、オール家にはすでに跡継ぎがいるので、三男のベルは剣士として冒険者になるのである。

下級とはいえど騎士の家排出ということもあってか実力は高く、学年内で4番目の成績を誇る。赤い耳飾りがトレードマーク


服屋から出てきたベルは、念願の冒険者用の緑の丈の長いローブを購入し、ホクホク顔だ。

ついでにブーツと鞄と鞘を縛るベルトも購入していた。この男、意外と浪費家なのである。


冒険者になるためには、冒険者ギルドに行き、登録をしなくてはいけない。


パーティーを組むためには仲間がいるが、多分、冒険者ギルドにいるだろう。多分。


「冒険者ぁ〜ギルド〜」


ベルはまるで音程がない即興の歌を口ずさみながら、騎士学校とは真反対方向の大通りへ歩んでいった。


ーー


冒険者ギルドでは。


ベルのような冒険者志望が、次々と仲間を引き連れて登録をするための受付に向かっており、すでにカウンター前には長蛇の列がいくつか並んでいる。

その離れで、木製のテーブルに頬杖をつきながらその長蛇の列を見つめる女がいた。


女の名は、リーラ。


レンテ騎士学校の近くにある、レンテ魔法学校の卒業生である。

ベルとは違い、平民出身で、生まれた街の領主の推薦によって入学した、貴族だらけの魔法大学では割と異例な存在であった。

しかし、推薦されるだけあってセンスがあり、学年内で5番目の成績を持っていた。口の左下のほくろがチャームポイント



リーラは魔法学校に入学したはいいものの貴族しかいないクラス内で明らかに浮いていて、かろうじて数名いた友達も全員他の仲間と共にパーティーを作ってしまった。

同じ役職だけではパーティーを組めないというルールがあるゆえ、リーラはただぼーっと眺めることしかできないのだ。


30分が経過。


人々がさっきと比べて明らかに減ってきた頃。

リーラは死んだ目をしながら、ギルドの入り口をじーっと見ていた。

駆け出しの冒険者たちが蔓延るこの場所で、なぜ彼女はこんなにも誘われないのか。それは、リーラが魔術師の杖を持っていないからである。


ほとんどの魔術師は杖がないと魔術の操作が困難であり、杖を持っていると杖に嵌め込まれた魔石を中心に展開すればいいので魔術を制御しやすいという利点があるのだ。

魔法学校では一人前にならないと杖を所持することは許されないので、杖を持っていないリーラは、周りからは未熟者扱い扱いされているのだ。

しかし、学年内で上位の成績を誇るリーラは素手だけでも自由に魔術を制御することができるので無駄に大きく荷物になる杖は持っていなかったのである。


長々と解説したが、これは建前。本当の理由は彼女がただ単に金がないだけだ。

もちろん、一週間ぐらいは食っていけるが、それ以降は本当に厳しくなってくる。


なので一刻も早く冒険者になって金を稼ぎたいのだ。

なんせ、この時代にはソロ冒険者が禁止されているのである。


そんなことを考えていた時、ギルドの扉が開いた。

思わずリーラは立ち上がった。


「すいませーん」


小声でそう言い、大荷物を抱えて現れた男は、ベルであった。


その荷物の中にはブーツなど以外にも、たくさんのもので溢れかえっていた。

このギルドにくる間にも、いろいろなところから購入をしていたそう。

ベルの襲来に唖然とした表情のリーラを横目に、ベルは顔を荷物の横から出して、トコトコ歩いた。


リーラから近くのテーブルに荷物を置いて、一息つこうと言わんばかりにベルは席に座った。


その時、リーラが動いた。


「すみません」


丸いテーブルの、腰かけたベルの反対側から腰を曲げて、にじり寄る。


「ん、はい?」


顔を上げかけたベルの返事を待たずにリーラは言葉を続けた。


「パーティー、組もう」


妙に静まり返ったギルドの中、二人の目が合う。


英雄伝の第二章が、今始まった。


〈裏話〉

•剣士の流派

剣士には、主に二つ流派があって、オース流とザウト流。主流なのは、オース流である。下級騎士のオール家もオース流。


•魔術の属性

魔術は五つの属性があり、火、水、風、土、光がある。一番希少なのは光で、光の属性は回復の他にも、バリアみたいなのと、ビームみたいなのを打つことができるよ。

B型とよく言われるA型だよ。

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