16、三人旅
ハイウォルフを討伐したのち、リーラとベルは腹を括り冒険者ギルドへ赴くことにした。
「ほら、行くぞ」
「いーやーだー」
ベルはリーラの首元の裾を握って、ずるずる引きずりながら連れて行く。
ギルドに行けば、どんなことをされるかわからない、そうリーラが言っていた。
「死ぬよ?いいの、死ぬよ?」
「死なん死なん」
リーラが言うに、拷問される勢いだったとのこと。
ベルはその場に居合わせていないので、相槌を打つことしかできない。
ギルドの前についた。
扉を開く。
トコトコと、受付の前について、受付嬢に冒険者カードを見せるベル。
「ハイウォルフを討伐しました。更新お願いします」
「はーい、パーティー名を…」
「リエルネールです」
空気が止まった。
「え」
その後は早かった。
流れるようなスピードで男に担がれ、二人は面会室に連れて行かれた。
「私がギルドの代表、ギラートだ。よろしく」
「はぁ、よろしく」
ソファの上でリーラは固まっている。
おそらくこの男がリーラが追いかけ回された人なのだろう。
確かに、大男だ。
後このソファ、すごいふかふかだ。
「お二人さん、魔族殺したんだって?」
「ほとんど、こいつですけどね」
ベルが指を刺したのは石のように固まっているリーラだった。
「それでもだ、ここら辺で魔族が出たのは本当に久しぶりだ」
「ライレで殺しましたね」
ベルは早くここを去りたいので、水を刺す発言を繰り返す。
しかし代表は折れない。
「…まぁ、お二人さんはまた旅に出るようだから、あまり大ごとにする気はない」
「ありがとうございます」
この代表、ギラートもいい人だった。
リーラの石化も溶けかけている。
「どうせ、またここに来ることもあろう、どうだここらに家を買わないか?」
「 …結構です」
アーリエにこの前お説教されたばかりなのだ。
リーラと二人で暮らす気はない。
大体、二人とも料理できないのだ。
「あぁ、そうかだったら金を出そう」
「…いくらですか?」
「んー、魔族の情報量含めて…15万ヘルトでどうだ?」
ヘルト金貨150枚。それが二人が魔族討伐の報酬でもらった金額である。
こんな大金を持ち歩くわけには行かないので、140枚はギルドに預けることにした。
宿への道を二人は歩いていた。
リーラはすでに復活していて、思わぬところで金を手に入れ、意気揚々と歩いて行った。
「ただいまー」
二人は宿の中に入り、おばちゃんに挨拶する。
「俺ら、明日出るから。二日間お世話になったね」
と千ヘルト、金貨一枚を置いた。
一眼金貨を見て、おばちゃんはカウンターからベルの方向へ振り向く。
「おーい、ベルや。ちょっと金多いよ。700でいい」
「あー、さっきたくさん金が入ったから大丈夫、よくしてくれたお礼ってことで」
そう目配せをすると、おばちゃんは金貨を握りしめ、言った。
「ありがとうね!いつでもここん宿使っておくれ!」
「おう、ありがと」
金持ちみたいなことをして気持ちよくなっているベルにリーラは、
「こんなことしてると、また金無くすぞ」
と脅す。ベルは少々震えながら大丈夫だよ、と相槌した。
それぞれの部屋で持ち物を準備し、扉を出た。
その時、二つの部屋の隣の部屋の扉が開く。
黒のローブの男だった。血はいつの間にかなくなっていた。
リーラは知っているが、ベルは何も知らないので、誰だこいつと言う表情をしている。
「…お前ら、もう出てくのか?」
「うん、元々旅をするパーティーだしね」
リーラは何回か、宿を出入りしているこの男と少し会話をしていたので、多少の面識はあるのだ。
「折いって、頼みがある」
「ん、何?」
嫌な予感。
ベルはそれを察知していた。
制止するその前に、黒のローブの男が口を開く。
「すまないが、金がないんだ。そのパーティー、入らせてくれないか?」
その言葉に二人は顔を見合わせた。
「えぇ?」
リエルネールの二人旅。いや、三人旅。第二章が幕を開く。
〈裏話〉
•物語の展開が速い話
物語の展開が速いのは、筆者に文才がないのと、早く終わらせたいから。
•第二章の題名
第二章の題名は「黒のローブと賢者」
ギルドの設定、実は後悔してる。
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