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リエルネールの二人旅  作者: せきち
第一章 二人旅編
15/63

14、濃いめのキャラ

一方その頃、宿では。

リーラが宿の受付のおばちゃんと世間話をしていた。


「でね、そん時わたしゃねぇ」

「ふむふむ」


その時、

宿の扉が開く音がする。

二人の会話が止まる。

黒いローブをした、男か女かわからない人が中に入ってきた。

先ほどまで追い回されていたリーラは反射的に身構えた。

足音と共にカウンターへ近づいてきた。


黒のローブの人はリーラよりも低い身長だった。

その裾とフードには血がべっとりとついていた。


「二日ほど、一部屋を借りたい」

「借りるって…どうしたんだいあんた、その血は」


声からして、男だ。

おばちゃんの問いかけに頷くリーラ。


「ちょっと、ね。一昨日あたりから追いかけ回されてるんだ。気にしないでくれ」


深く被ったフードがうつむく。

そんな理由で、気にしないことができるわけない。


「あのねぇ、うちは怪しいもんは入れないって主義なんだよ」


初耳である。

めんどくさそうに男はカバンに手を伸ばす。


「んー、金なら、あるから。とりあえず寝させてくれ」


そう言って、男は金貨をカウンターの上に差し出した。

50,000ヘルトだった。


驚きで声も上げれない二人を尻目に、フードの男はおばちゃんに問いかけた。


「どこの部屋でもいいのかな」

「…あぁ、手前のニ部屋意外なら、ね」

「ん」


そのまま男は足音を立て、貸し部屋のある2階へと上がっていった。

その時、リーラは悪寒を感じた。

呆然としている二人は、少ししたのち、口を開いた。


「なんだぁ、あいつ?」

「さぁ…」


リーラがつぶやいた。

悪寒を感じた。さっきすれ違った時、すごい魔力を感じた。

人の魔力っぽいが、適性がとにかく多かった。


「…なんだ、あいつ?」

「さぁ…」



ーー



そしてオール家では、

裏庭で稽古が始まっていた。


カンカンと木刀が当たり合う高い音が響く。

目にも止まらぬ剣技を二人は繰り広げていた。

ベルが弟子で、アネルが師匠という感じの掛かり稽古であった。


「もっと攻めてこい、ベル」

「だって兄貴、攻めたら頭に打つじゃん」

「打たれ強くなるのも、修行だ」

「えぇ」


と言いながらベルは一歩踏み込み、アネルの剣線をずらす。


「甘い」


次の瞬間、アネルの剣先がぶれたかと思ったら、ベルの剣を抑え、ベルのつむじに剣が振り落とされた。

鈍い音がする。


「あだっ!」


数分後、ベルの頭には大きなたんこぶができていた。

稽古も終わり、ベルは自分の父に会うために、書斎へ向かっていた。今は廊下。

たんこぶをさすりながらベルは言った。


「俺、アーリエに会いにきただけなんだけどなぁ」

「そんなん、俺は知らん。レネルに聞け」

「レネルの兄貴はどうせアネルの兄貴のせいにするよ」

「だろうな」


基本的に、レネルは信用がない。


「そういえば、お前パーティー組んでんだって?」

「うん、二人のね」

「二人か…あまり聞いたことないな」

「俺もだよ」


英雄暦八世紀初である。


「どうだ、Bランクの魔獣が倒せないと一人前とはいえないぞ」

「Bランクの魔獣はまだだけど、魔族を倒したんだよ、昨日」

「……魔族?」

「そう、あの、目が黒いやつ」

「…まじで?」

「おん」


二人は歩みを止め、見つめ合っていた。

アネルは顎に手を当てて、少し考えていた。


「…確か、このオール家ではお祖父様が討伐した時以来の快挙だ」

「ほとんど魔術師の仕事だったけどね」

「三男のお前が魔族を討伐してるのに…、俺は後継ぎとしていいのだろうか…」

「俺に言われても…」


がっと、ベルの顔を寄せるアネル。


「ベル、お前が」

「結構です」


アネルの言葉を遮り、先に一人で進んでくベル。


「…お前もレネルに似てるよなぁ」

「兄貴と一緒にしないでくれよ」


書斎の前へたどり着いた。

こんこん、と書斎を叩く音が響く。


「誰だ」


奥の方からこもった声が聞こえる。


「アネルです。ベルが帰省してまいりました」

「お久しぶりです、父上」


途端に、ベルパパの声色が高くなった。


「おぉ、入ってくれ入ってくれ」


扉が開く音がする。

そこには、少し堅苦しい服を着て口元に髭を蓄えている40代ぐらいの男がいた。

ベルより先にベルパパは一歩踏み出した。


「ベル、久しぶりだなぁ!父さん、ずっと心配で心配で…」

「俺もだよ、父上」

「あぁ、そんな重苦しい言い方しないで、昔みたいにお父さんって…」


二人の会話にアネルが割り入った。


「私が、呼び方を改めよといったのです、父上」

「だからお前も、そんな重苦しい…」


ここまででお気づきかもしれないが、ベルの父、アラエル・オールは親バカなのである。

ついでにもう一つ。この家族は全員キャラが濃いのである。

それを承知して、これからの話を聞いていただきたい。


「おおそうだ、夕食を食べていかないか?なんなら、一週間ぐらいここにいても!」

「あぁごめん、俺明日あたりにここ出るから」

「えぇ、どうしてだ?」


再び、アネルが二人の間に割り入った。


「父上、夕食のために、早くお仕事を終わらせたらいいのでは」

「…おぉ、そうだな。あぁすぐに終わらせる!」


踵を返し、アラエルは書斎の扉を閉める。


「…じゃあ、薪を破るの手伝ってくれ」

「…わかった兄貴」


二人は何もなかったようにさっき通った道を再び進んでった。


〈裏話〉

•オール家

今一度、オール家の人物紹介をしようと思う。


父、アラエル・オール

母、レーネル・オール

長男、アネル・オール

次男、レネル・オール

三男、ベル・オール


覚えやすいように全員名前を「ル」で終わらせることにした。

ベル以外に名前に特に意味はない。


•アラエル・オール

現在43歳。

長男は24歳で、次男は19歳。

ベルは、前も言ったけど16歳。

戦闘シーン書いてる時が1番楽しい。

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