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リエルネールの二人旅  作者: せきち
第一章 二人旅編
13/63

12、決着

「げほっ!げはっ!」


風魔術で体外に水を吐き出す。

口の端から顎にかけて水が流れる。


魔術による窒息は、魔術においての外道だ。

まぁ、こいつら魔族に人間のプライドが通用するとは思えないが。


「窒息死は無理かぁ」


ヴァーテがニヤリと笑う。いつの間にか、腕も完治していた。

まるで悪役令嬢の顔。

リーラはヴァーテを睨みながら、ゆっくりと立ち上がる。

その間にヴァーテは四つの氷柱を生み出していた。


リーラは考えていた。


どうする?

残りの魔力だってそんなに多くもない。

あの反射しない光線って意外と魔力使うからなぁ。

何かが欲しい、この前とは違う何か、新しい何か、


新しい、


…これだ。


氷柱ラ・フロル


氷柱が飛んでくる。


防護ラ・クト!」


リーラは走る。

防護魔術を展開し、四つの氷柱を受け止める。

いや、一つだけ逃した。


「い゛っ!」


この氷柱は追跡型のようでリーラの後ろを付いて回る。

速い。追いつかれる。


「ベル!」


ヴァーテの方向に顔を向けながら、叫ぶ。


「了解!」


ベルが近づく足音が聞こえる。


高い金属音。


ベルの剣が氷柱を一刀両断する。

魔力を無くした氷柱は蒸発するように消え失せた。

それを見届け、リーラは立ち止まり、杖を掲げる。


飛行リ・ラクト


足元の草がなびく。

結界の中の魔族は、笑う。


「へぇ、飛べるんだ」

風の渦リ・ラーム


杖をさらに大きく掲げる。小さい竜巻がだんだん大きくなっていく。

結界を巻き込んでいく。

大きい。ヴァーテの結界を丸々覆えるほどには。

いやそれ以上だ。


「…なんのつもり?」


ヴァーテが不敵な笑みを少し緩める。


「さ、なんでございましょ」


飛行で、さらに上へと浮かぶ。

竜巻の頂点に達した時、竜巻の内部へ杖を向ける。


光線ラ・ルーシャ


反射する光線だ。しかもこれは、風魔術にだけ反射する魔術だ。

魔力がみるみる減っているのがわかる。

早めに終わらせなければ。

最大速度で放つ。

竜巻に、光線が反射する。


「…あっ」


ヴァーテが呟く。

あまりの速さに屈折させるのが遅れた。


光線が水の結界を通過し、ヴァーテの体を貫く。

魔族の口から声が出る前に奥の竜巻へ反射する。

それが、またヴァーテの体を貫く。

その繰り返しだ。


3秒もすれば、ヴァーテの上半身はほとんど消えていた。


「あぐっ…」


飛ぶ気力を無くしたヴァーテは結界を失い、真下へ落下していった。


それを見逃すベルではない。

神速の速さで落下地点の真下に向かう。


「てりぁっ!」


掛け声と共にヴァーテの首に一閃が走る。

草の音と共に、ヴァーテは落下した。


ヴァーテの両目は真っ黒から白に染まっていった。

魔族は死亡のさいに目が黒から白になる。


「ふぅー…」


リーラは一息ついて、すぐさま火の渦で焼き尽くす。

完全に死んだことを確認したリーラは、魔力切れで地面に突っ伏した。


ベルもリーラの近くで座り込む。

最後の一撃が決められて、ベルはご満悦だ。


「勝ったなぁ…」

「勝ったねぇ…」


英雄暦713年。六月二日。

リエルネール初の魔族討伐である。


〈裏話〉

•英雄暦の話

もうちょいマシな名前つけようと思ってたけど、思いつかなかった


•ヴァーテの話

炎はオランダ語でヴューユみたいな感じだったので日本語っぽく改変した。

あと、ヴァーテを含む魔族は全員魔力切れという概念がない。Bランク以上の魔獣も同じ。


•魔力の原理

魔力は魔術を使用していくうちにどんどん、大きくなっていく。

現にリーラは、この二ヶ月で今までの4分の1の魔力量が増えた。あと、成長期に魔力は伸びやすい。

柔道が苦手。

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