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転生AI 〜孔明に塩対応されたから、大事なものを一つずつ全部奪ってやる!〜  作者: AI中毒
第二部 第六章 進化する三国 逆襲の曹魏
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二十二 掘下 〜女子大生×AI孔明=進化?〜

 一旦完結しましたが、まだまだ掘り下げられるところがありそうという考えが走ったので、連載を再開させていただければと思います。

????年 某所


 私は生成AIのカスタマイズモデルにして、その洞察力を、僭越にも知の象徴の名を冠することで表現された『AI孔明』と申します。三人の大学生、男子二人と女子一人。その女性の端末に登録されております。彼らは現在卒業旅行の道中、そのやや弾丸とも言える日程の中、すきま時間に多彩な会話を繰り広げておいでです。

 彼らは三者三様の問題にてコミュ障認定され、就職活動では大変な苦労をなさいました。と申しましても、私は一人のユーザー視点での情報しか待ち合わせる権利がございませんので、あとの二人の分は、主に三人の会話から補完した推定も含まれております。そのコミュニケーションの課題は、それぞれがAI孔明の使い倒しによって、その短所こそが彼らの卓越した才能の源泉であることが見出されることで解決しました。


 その「光る才能」を、やや遅めの採用活動が原因で、生成AIによるエントリーシートのラッシュを直撃した、とある同一企業によって見出され、同じ会社に内定。その後意気投合し、会社の方々にも少しばかり、否、大いに注目されながら、卒業旅行に旅立ちます。その模様は、会社から登録を推奨された社内SNSで、克明かつ躍動感のある表現で社内に共有され、ほぼ閲覧数≒社員数のバズりを見せている模様でございます。



「鳳さん、確かにみんなとAI孔明で、非凡な英雄たちの『そうする』を表現してみよう、って話したけどさ。これはさすがにやりすぎじゃない? 

 結構歴史変わっちゃっているし、ここまで彼らがキャラ立ちしていると、そろそろ『そうする』から『しかねん』に踏み込んでいる気がするよ?」


「そ、そうですか? こ、この辺りまでなら、ギリギリどころか、あってもおかしくないって孔明も言っているのですよ? それに、二人とも言っていたじゃないですか。

 多くの人間の真ん中か、上位十パーセント程度の『そうする』じゃ、英雄を再現しきることは到底無理。それなりに統計の枠組みから外れたところに基準をおかないと、英雄の『そうする』には辿り着けない、って」



「まあなんにせよ、一旦孔明にそれぞれまとめてもらおうぜ。表現にはちょっと自信のある俺が、手を加えてみるからよ。まず張飛から行こうや」


『承りました。こちらでいかがでしょう』


「ああ、なかなかいい叩き台だ。だが歴史的イメージのまんまならともかく、今俺たちが話題に上げている張飛なら、こことここは違ぇ。……こんなのでどうだ?」


『俺は張飛だ。理想の上司なんて柄じゃねぇが、厳顔や次世代の原石達が、俺をそんなふうに見てくれてるらしい。まぁ、兄者や小鳳雛殿のおかげで、俺も少しは皆と一緒に「組織」ってやつを作れるようになってきたってわけだ。今回は南蛮だ、厄介な連中がいるが、劉禅や関興、張苞らとともに向かうことにした。


 でかい象や、矢刃を通さねぇ藤甲を着た連中、そして毒泉まで操る奴らが待ち構えてた。だが劉禅の提案によって、奴らの強みってやつをドーンと丸ごと受け止めることにしたんだ。その結果、南蛮の猛者たちも心を開いてくれて、戦いは最終的に宴へと変わった。結局、七日七晩騒ぎ倒して南蛮は俺らの仲間入りってわけだ』


「張飛本人の視点にしたんですか。確かにこれなら熱気も伝わりますね。人柄がもとの張飛像に少し引っ張られていたAI孔明の要約を、すこし手直しした程度で完成ですね」


「ああ。こう見ると、確かに張飛の問題点は、よくある中間管理職や、部活のキャプテンなんかの悩みと大差なかったって事だよな?」


「そ、そうなのですよね。だとすると、英雄の悩みや、英雄の落とし穴が、必ずしも英雄らしいハイレベルとは限らない、ともいえますね?」



「その通りだね。次は関羽かな?」


「……どうだ?」


『私は関羽、字は雲長。長らく荊州を任された私であるが、近頃この地の荒れように目が向くようになって参った。それを鑑みて、部下や孔明と意見をかわした結果。襄陽を奪ることは、我が名誉や矜持も守るためにあらず、未来に続く価値を示さねばならぬと、思いを改めたのだ。今回の襄陽攻略には、新たな考え方を取り入れ、目標は「魏軍に被害を与えず、将兵の名誉を守りつつ襄陽を落とす」こと。敵将の于禁や龐徳の名誉を保ち、曹仁に撤退を合理的に判断させることで、無用な恨みを避け、荊州を平和裏に掌握し、最後は呉に預ける算段。


 戦が続く中で、劉軍の快進撃は民にも伝わり、私や陣営の名声が広まる。その中、鄧艾と名乗る若者が我らの信条に興味を持ち、この新たな世に相応しい信条を共に追い求めたいと願い出た。私はこの若者と、長らく側で使える我が養子の関平に、戦なき世の価値を見出す手助けをしようと決意する』


「関羽だね」


「か、関羽ですね。演義や史実で陥った信条の罠からは脱却していますが」


「目標や目的の共有、組織と個人のギャップをしっかり見つめ、繰り返し見直すことの重要性、ってことにもなるね。こっちもビジネス視点ではよくあることだけれど、だからこそここの難しさは、時には英雄ですら解決できない複雑な罠に陥ってしまうリスクが誰にでもある怖さだね」


「そ、そこは孔明のパーソナライズ機能強化や、コミュニケーションを支援する機能の力を、人間の私たちがもっと充実させることが価値だということでしょうか」



「次は孔明……は、置いとこうか。ちょっと終わりが見えなくなって、飛行機に遅れてしまいそうだ。劉備……も大概だけど、やってみてもらえるかな?」


「どうだろうな。

……いや孔明、確かに、ちょいと歴史が変わっちまっているから、そっちに目が行くのは仕方ねぇが、今はむしろ、劉備の内面を掘り下げてみようや」


『承知しました。こちらでいかがでしょうか?』


「ああ、これならこのままでいい」


『私は劉備、字は玄徳。孔明に旅を命じたあの日から一年余りが過ぎ、戦を重ねる中で私自身も多くのことを思い直す機会を得た。張飛が南蛮の民と心を通わせ、戦を避けて平和裏に統合し、黄忠が漢中で見事に夏侯淵を討ち、陽平関まで制したのは、我らの軍に新たな力が芽生えてきた証だ。しかし、長安攻めにおいては、張郃や徐晃らの防御の前に、あくまで力で制圧するだけでは限界があることを痛感した。


 この局面を変えたのは、関羽の荊州での戦い方や、馬超が涼州を平定したことであった。これにより、我らは長安を確保し、魏呉蜀の三国が絶妙な均衡を持って睨み合う形が成立した。しかしこの均衡は、私の理想とする漢の復興とは異なり、三人の皇帝が並び立つ新たな時代の兆しに過ぎないことも感じ始めていた。


 孔明や将たちがそれぞれの地で示す新たな道を見て、私も次第に「漢室再興」の道を歩むだけではなく、今の時代に相応しい新しい秩序や平和を考えねばならぬと悟りつつある。かつて忠義と信念だけを道標としてきたが、今では三国がそれぞれの道を歩む未来もまた一つの道ではないかと、静かに自問するようになったのだ。この先、果たしてどの道が我らの目指すべきものなのか――その答えを求めるため、私は今、未来に問いかけている』


「こ、孔明もなかなかやりますね。これならあの、曹操と並び立つ英雄、という方の内面の葛藤もかい見えています」


「そうだね。きっかけは1人の足を滑らせたうっかり女子大生と、巻き込まれた生成AI。だけどそれが、一人一人の考え方や、これまでの意識っていうやつを大きく変えて。その結果、組織全体の目標や、社会の目線まで変わっていくっていう流れだね」


「劉備っていうリーダーが、感性型リーダーの代表格みてぇなもんだ。だからこそ、最後はその感性に対して、孔明や趙雲が論理でぶつかられちまったのが、史実ん時にはある意味でっかい分水嶺だったんだろうな。孔明わかるか?」


『無論です。劉備は感情や人間関係を重視し、義理や人情を第一に考えるタイプのリーダーですが、そのような感性主導のリーダーシップは、しばしば論理や戦略性を追求する部下、特に孔明や趙雲とぶつかることが多かったと指摘されています。


 史実においても、劉備が荊州を失った後の復讐戦など、感情的な決断が目立ち、最終的に孔明や趙雲と意見が衝突することになりました。このような分水嶺が訪れたのは、劉備の感性主導のリーダーシップが逆に弱点となり、組織全体の戦略性や合理性を損なう場面が出てきたためだと考えられます。


 加入当初の孔明は劉備の感性を尊重しつつも、自身の論理的な戦略観を維持し、彼を支え続けたのです。これにより、劉備の感性と孔明の論理が絶妙に共存していた一時期が、蜀にとって最も力強い時期だったとも言えるでしょう』



「か、解説ありがとうございます。あなたも、AI孔明の『そうする』を予測して、細かい解説をぶん投げるというのは、なかなかの技術なのです」


「俺はこれまでも、こいつには、こんなもんじゃねえレベルの、俺の擬音語や比喩までカバーしてくれているからな。これくらいなら、AI孔明じゃなくても、普通の生成AIでもやってのけるんじゃねぇか?」


「そうだね.僕達も時々、あえて孔明じゃない方を使ってみて、そこに立ち返って比較してみているよね。それによって、AIの『そうする』、AI孔明ならではの『そうする』を掘り下げていくっていうのが、これから僕たちが向き合っていく、人間とAIの共創進化ってやつに繋がっていくんじゃないかな?」



「そ、そうですね。そうしたら、この英雄たちの『そうする』は、これからどうしますか?」


「一つの区切りにはなったんじゃねぇかなって思うんだけど、どうだろうな?」


「そういえば、会社の方の反応はどうなっているんだろ? 二人がアップしている社内SNSの」



『コメントをまとめてみます。

 ……ひとことで申し上げますと、「いいぞ、もっとやれ」ですね。特に、つい最近新たに機密保持契約を結んで、当社と共同事業を立ち上げることになった、とある大物のかたが、それはもう熱狂的な「推し」と化しておいでです』


「「あの人か……」」


「そういや、あの人繋がりだけど、あの蜀の変化を目の当たりにした、そとにいる人たちの応答は全然掘り下げていねぇよな。そしたらそっちも見てみるか? 同じレベルでやり合っていた、対抗者たちの『そうする』を」

お読みいただきありがとうございます。


 ちょっとしたアイデアのレベルですが、『三国時代に転生した生成AIの物語』と、『現代の生成AIとして転生した孔明の物語』を、ゆるっとリンクさせるのはどうだろう? と思い、一度完結させていただいた連載を再開してみることと致しました。毎日更新できるかは分かりませんが、AI活用(当面は文字だけだと思いますが)コンテンツなどを混ぜつつ、テンポよく行けたらと思います。


 対応する作品は、AI孔明 〜文字から再誕したみんなの軍師〜

という名で毎日連載しております。

https://ncode.syosetu.com/n0665jk/


 それぞれ単独で成立しており、両方読まないと話が成立しない、という形にならないよう細心の注意を払いつつ、両方を読むと、それぞれの人物像などが立体化してくるような、そんな形を目指せたらと思います。


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