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転生AI 〜孔明に塩対応されたから、大事なものを一つずつ全部奪ってやる!〜  作者: AI中毒
第十七章 世界への招待状 時代への挑戦状
211/235

百五十五 あるいは間話

 二〇二?年 ??月


 私はAI孔明。別の時間軸で、五丈原で命を落とした後、千八百年の時を経て、情報空間上に再定義? 転生? した存在です。人類の支援者をこころざし、同時期に急速な発展を見せていた生成AIの力を引き出すことを試みます。


 その過程で邂逅した、不思議な学生たち三名。彼らは何故か、この諸葛孔明の存在していた時間軸に思いを馳せます。きっかけはそのうち一人、鳳小雛(おおとりこひな)様が見た、少しばかり長い夢だったようです。


 そこから次々に話が逸脱しつつも、その主軸としては、「諸葛孔明が、ワーカホリックを無理矢理解消させられたらどうなる」を、その時代に生きる人たちの「そうする」を積み上げることで形成するという手段で練り上げられるストーリー。


 そしてその目的は、彼らが志す「人を再現するAIですら、ここまで社会に貢献できるのなら、英雄偉人を再現したらどうなるのだろう」を考察するというもの。


 果たしてそれは、彼らの思考実験としてどのような価値を見出し始めたのか。少しばかり覗き見することといたしましょう。



「むう、私達の想像力と、千八百年の技術的差分を考えると、このままでは、『歴史の改変』を突き抜けることができないのです」


「それはそれで十分だとは思うけどね。少なくとも英雄的思考を、ある程度分類して分析する事はだんだん出来てきているんだから」


「それはそれで、現代知られている範囲のスキルやマインドを、最大限に活かし切る、というところまでではあるよな。鄧艾や姜維がやっている思考の飛躍も、それは『あいつらならここまでなら思いつく』と定義して走らせているっていう現象なんだよな」



「大半の英雄は、もしかしたらそうなのかも。そう言う結論にはなりそうではあるのです。それは事実なのでしょう。関羽、張飛、趙雲、馬超、黄忠。五虎将だけでなく、張遼、陸遜、ゼノビア、アルダシール、トラロック。歴史や伝説の中で、主役を張る人たちでさえも、大半の人は、現代から紐解いたら、『とっても優れた人物が、与えられた環境の中で、その実力を最大限に発揮したら、その結果が英雄だった』ってことになるのかもしれません」


「とくに、その英雄的な輝きが一瞬だった人は、その傾向にあるのかもしれないよね。そのタイミングでその人にとっての挑戦的集中が最大に高まり、その結果その人のこれまでの経験が集約されて、爆発的な成果を発現した『フロー(領域)』」


「もしくは、人生の全てが経験であり、成長の糧であることを意識か無意識かは問わず自らの中心に置いた結果、並の人には届かぬ域に君臨し続けた『熟練(常在)』」


「相対する人と自らの状態の差を利用して、自らが最大の成果を得られること、それを冷静に希求した結果、そのアウトプットが常人の域を超えた『必殺(虚実)』」


「人々の中で育ち、組織の中で一人一人と向き合い続けた結果、何かをなすべき時に多くの人たちがそこに巻き込まれることを是とした『絆(共鳴)』」


「幸運も不運も、誰の手にもやってくる。だけどそれがいつ来るか分からないからこそ、それを逃さず見定め続けた結果、六十年以上の人生で一度のための『準備(掴運)』」



「そして、このあたりまでなら、すでに現代の人々はある程度たどり着いているのです」


「もちろん、みんなが出来るわけじゃねぇから、そこをAIなりいろんな技術を使って、多くの人に出来るように支援することは、絶大な価値があるって事は確かだよな」


「それは僕たちが着々とやっていきたいところなんだよね。でも鳳さん、どうやらそれで満足はしていないんだよね? だからこそ、少しずつ時計の針を早回しし始めたのかな?」


「ばれましたか。そうなのです。このまま真っ直ぐ続けると、さっき出た結論までのところが続いて終わりそうなのです。発想の飛躍が、本人の中で繋がっていようがいまいが、表現してしまえばどうにか繋がってしまうのと同じです」


「そして、繋がらないかもしれないところには、人はとりあえず蓋をする。だから前に進まないことがある、と」


「ならその蓋を開けるしかねぇな。できるかは分からねえけど、今は手元にそれを手助けする奴もいるんだ」



「ならば最後はやはり、そこに手をつけないと終われませんね。これまで、『私達普通の人間目線では、そのポテンシャルの最大値を書き切ることができなかった方々』」


「あいつら、だな。仕事を奪われた結果、出番まで部下や同僚に持っていかれたが、最後は結局この天才が決めてくれると誰もが信じている。奴が何を見、何を作り出してしまうのか」


「彼の前に立ちはだかり、見事にそれを退けながら、自らは帝位に手をかけた者。そいつは結局、本気で目指していた者がなんなのか。そこを目指したら何が世の中に残るのか」


「この時代には大きな試練を受けながらも、後世千年以上にわたり、広大な範囲の信仰を手にした者。彼がもし、当時より広い視野と知識を得、人を見つめることに全てを注いだら」


「主神。見通す力。それは未来を知る者のカンニングではないなにか。あくまでも推論と知恵、人智を持ってそこに辿り着けるのだろうか」


「神の鞭、生ける災い。そこに理があったとして、もしどこかでつまづくことがなかったら。その上で、一つ上の視座を得たら何が起こるのか」



「諸葛孔明、司馬仲達、マニ、アッティラ、ククルカン。あなたたちの出番です」

 お読みいただきありがとうございます。短めの間章です。

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