表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/49

第1話「長崎湾に浮かぶ白い夢」(その4)

 役員の方へ向かう宮島を、仕方なく見送った柿岡は、集う人の群れの背後に立った。


 やがて壇上へ上がる極東の役員たち。その中から小太りの男が中央に歩みだす。新しい長崎造船所所長の鮫島である。柿岡は面識を得ないが、その人となりについては何かと耳にしていた。


 5年前、ダイヤモンドシッピングが客船建造を発表した時、極東重工業は長崎造船所主導でプロジェクトチームを発足した。当時の資材部長であり、柿岡の長崎中央高校出身の先輩でもある渡部が初代PJリーダーに選ばれた。


 ひとまわり年上の渡部は九大の造船科を卒業し、極東重工業に入社。遅れて入社した柿岡をかわいがり、彼もPJに参画することになった。客船の建造を決めた渡部は、極東重工業の歴史上で初めて、生え抜きの長崎造船所所長となった。


 そして、この9月に1番船の進水を終え、本社役員として任命されたのである。

 その後任として本社から赴任した鮫島が、壇上で挨拶を始めた。

「この度、歴史ある極東重工業・長崎造船所所長を拝命いたしました……」

 栓の抜けたような甲高い声が、大きな宴会場に妙な響きを伴って広がった。


(こんな重役の血縁というだけで登用された男に、この長崎を総べることなど…)

 柿岡は拳を握りしめた。

 胸に迫る滾る思いが、顔を火照らせるほど強まっていく。


(つづく)


つづきは明日!?乞うご期待。

船木千滉

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ