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4話

「ここがダンジョン…?」


私は昨日配信をしたあと、今日のダンジョン配信のために色々と用意をした。

うん、何が起きてもいいように頑張ってモンスターを召喚して倒して錬金術して、って頑張った。


アダマンタイトゴーレムと同じくらいかそれ以上のモンスターを沢山亜空間で狩って、頑張って集めたから何が起きても大丈夫。


…他の人からしたら召喚は少しずるいよね。

欲しい素材のモンスターをピンポイントに倒せるなんて…


少なくとも私ならずるいって思うかな。

うん、召喚魔法で倒したいモンスターを召喚するのは禁止にしよう。


…禁止にしなくてももうしばらくはレベル900台と戦いたくは無いけど…


閑話休題。


「これがダンジョン、か。

なんか…"星屑の迷宮"に似てる…気がする。」


星屑の迷宮…それはリアルワールド・アナザーにおけるラストダンジョンのこと。

いや、あくまで私が見た中でいちばん深くて、一番モンスターのレベルの上下が激しいダンジョン。


最低レベルはまさかの1。

そして最高レベルは最低レベルからは予想もつかない、1000だ。

ちなみに私の戦った中で一番強かった邪神も星屑の迷宮の最深部に居たモンスター。


星屑の迷宮はあの世界唯一で、それでいて最大の迷宮だから知らない人は居ないと思う。

でも、名前まで知ってる人は稀、かな。


「とりあえず、入ってみよう。」


入口で考え事をしていても仕方が無いので、とりあえず入ることにした。

他の人にずっと見つめられていて落ち着かなかったからってのもある。


多分転生済みの人が珍しいからだと思う。

さすがに昨日の今日でそんなに有名になるとは思わないしね。


そして入ってみると、ほとんど星屑の迷宮と変わらない。

少し変わってるのは、【ライト】を使わなくても周りが仄暗い程度で、きちんと周りが見えるところくらい。


ゲームだと光魔法を使うか、明かりを用意しないと周りが全く見えないレベルで暗いのだ。

なので正直なところ明るいのは助かる。


一応スキル【夜目】は猫獣人を選んだ時に手に入ったが、少しの光がないと意味が無いので困ってた。


この位明かりがあるなら余裕で周りが見えるので、ようやく死にスキルだった【夜目】が活躍する。


「…コボルト…だね。」


私の目の前にいたのは、背が低く、犬の頭を持つ弱い人型の魔物、コボルト。

リアルワールド・アナザーでもレベルが1から10くらいまでの間はよく戦う。


星屑の迷宮だと、コボルトは基本1から5層の間は出てくるかな。

多分コボルトで戦闘に慣れろっていうことだと思う。


コボルトは、魔法なんか使ってこないし、使う武器もダガーだけ。

稀に大剣とか持ってるやつも居るけど、そいつは剣に振り回されてるだけだから、気をつけさえすれば問題ない。


コボルトの身体能力は、小学生レベルなので正直、本当に弱い。


「うん、配信そろそろ始めようか。」


私は大鎌を振り抜き、コボルトを真っ二つにすると、配信の用意を始める。

1階層だと1匹ずつしか出てこないから、つまんない。


「…うん、用意できたけど、反応してる?」


とりあえず顔を近付けて軽く手を振ってみる。

:妖猫焰姫と聞いてきました!初見です!ってガチ恋距離!?

:開幕から飛ばしてるねぇ!!好き!

:猫耳ピコピコ可愛いのうw

:このしっぽゆらゆらしてるのを見ると…こう、何かがおかしくなるような気がしてならないんだ…

:↑重症では??

:とりま開幕ガチ恋距離が挨拶って事でおk?


「おkじゃないよ。

ダンジョンでの配信は初めてだから、少し確認してただけ。

いけてそうだし離れる。」


:あぁ!いけてないから離れないで!

:あれ、ちょっと調子悪いかも?

:いやー、これはまた近付いて確認しないとねぇ?w

:気になってたけど、ここって星屑の迷宮?


「…ん?

ここ、本当に星屑の迷宮なの?」


もしかして本物?

それなら色々とありがたいな。

星屑って名前の通り、この迷宮には時折、星のカケラっていうアイテムがどんなモンスターからもドロップする可能性があるんだよね。


この星のカケラは、錬金術ならありとあらゆるものに使えるから、たくさん欲しいんだよね。

私のストックにあるカケラはせいぜい二桁程度だし、直ぐに無くなる。


「そっか、本物の星屑の迷宮なら星のカケラが手に入るんだ。

それは、嬉しいな。」


:ん?星のカケラ?

:星のカケラって、あのハズレアドロップの?

:あのどんなモンスターからも落ちる可能性があるけど使い道のないゴミ?

:あんなものが嬉しいの?

:あんなものならコボルトの魔石の方が価値あるけど…

:実際、鍛冶に使ってみた人もいたけど、特に何も変わらないどころかもろくなったらしいし、ゴミだよね。

:【妖猫焰姫】が喜ぶ…確か【妖猫焰姫】は【錬金術】だった気がする!

:【錬金術】…そうか!たしかに錬金術はそもそも適正ある人がほぼ居ないし、作れるものが多いとはいえ必要素材が多くなる器用貧乏なだけだと思ってた!

:でも使えるのは錬金術かぁ…どちらにせよ価値は上がらんだろ

:まぁ、圧倒的に需要側が不足してるな


「ふむ…持ってる人を見かけたら交換してもらえないか交渉してみる。

まぁ、レアドロだから交換アイテムは…これにしよ。」


私はもし交換してくれるひとが現れた時用に、頑丈なホルダーにピンクの液体が入ってる試験管を入れ、とりあえず進み始める。


:まてぇ!!

:その液体、ポーションでは?!

:あれ、でも、普通のは青色のやつだったような…

:我、リアルワールド・アナザーでレベル500達成してるエルフだが、そのポーション、もしやエクスポーションでは?

:なんだそれ

:生まれつきでなければ欠損すら完全に治癒するやばいポーション

:はぁ!?

:なんでそんなの星のカケラなんかの交換に使おうとしてんの!?

:もしやそれほどまでに価値のあるアイテムだとでも…?


「ん、ハイポーションくらいにしてた方がいいかな。

私的にはこのくらいのものなら出してもいいんだけど。」


:エクスポーションを…このくらい…?

:価値観バグってね?

:てかマジで星のカケラ何に使えるんだよ!

:相当な価値あるものに使えると見た


何に…か。

色々とあるし、何に使っても効果激増するからそれだけで神アイテムなんだけど、つくりたいのはあれかな。


「魔導書」


:魔導書…魔法書のことかな?

:魔法書か、でもあんなのの為にわざわざエクスポーション出す?

:いや、ふつうに売ってから、買ったらお釣りも来ると思うが…

:まてまてまて!魔導書!?

:↑お?なんか知ってそうな反応

:ルナちゃん!本当に、魔法書ではなく、"魔導書"なのか!?


「ん、そうだよ。

魔法書じゃなくて、魔"導"書。」


:そりゃあエクスポーション出すわな…

:↑いや勝手に納得されても!?

:わいら一般人にも納得できる説明を!!

:こんな雑談してる間にも着々と階層を進んで、敵を一刀両断にしているの草なんだ


「魔導書と魔法書の違いは、覚える魔法の種類の差。

そもそも魔法にもランクがあるのは、皆知ってる?」


:あー、一応、使える人からしたら有名だわな

:待って、わい知らなかったんだが?

:わいも…

:まぁあくまで使える人からしたら有名ってだけだから、世間一般的にはマイナー知識だと思うぞ

:簡単に説明すると、"初級"と"中級"と"上級"のミッツがあるはず


「その三つだと足りてないよ?

初級、中級、上級、超級、神級の五つ。」


:待て、上級魔法が最大って思ってたんだが?

:その上の二つ…超級も、神級も覚えてる人居ねぇよな…

:なんならリアルワールド・アナザーでも知られてないし!

白獣 ノノ:あ、わたし知ってましたよ!

:うーん、知ってそうなのはガチ最上位の勇者とか、刀聖くらいだよなぁ…

:魔聖とか居ねぇの?

:待て!なんかノノちゃんいなかったか!?

:ふぁっ?!ノノちゃん知ってたの!?


「ん?ノノ…白獣ノノさん…?」


コメントが急に騒がしくなって、ノノちゃん、という言葉を発する人が増えてきたので、少し考えると、すぐに出てきた。


「なるほど、私が配信しようと思ったきっかけの人だ。」


:ん?

白獣 ノノ:…え?

:おっとぉ?これはぁ?w

:もしやこれは、くんくん、てぇてぇのかほり!

:↑かほりやめろw

:配信しようと思ったきっかけ聞きたいな!あ、コボルト四体同時に出てきたけど大丈夫?


「ん、配信しようと思ったきっかけは、リアルワールド・アナザーではソロだったし、一人は寂しかったから。

白獣ノノさんの配信をお母さんが見てて、それを見てこれならひとりじゃないと思ったから。

それと、コボルト四体くらい余裕。」


:さっきからおもってたんだけどさ、早すぎね?

:だよな、何も見えねぇもんw

:気が付いたら敵全部消えてんだもんw

:危なっかしさは全くないが

:割と配信してる中で動きが見えないのは致命的なのでは

:配信しようと思ったきっかけ、可愛いなあ

:ひとりが寂しいから配信しようと思った、か、いいな

白獣 ノノ:ルナちゃんに見てもらえてるの嬉しい…!!


「あ、ボス部屋に着いた。」


なんだかんだ皆と話しながら進んでいると、第五層のボス部屋の前に着いた。


:早くね!?

:一時間くらいでボス部屋とか、おかしいだろ!

:いやでも一度も止まってないし…

:それがおかしいんだよなぁ…

:まぁ余裕だろ!とつげきー!!!

:↑おいバカやめろ!

:まぁ死んでも死なないしへーきへーき

:↑痛みはあるからそれで引退したやつも多いが??


「ん、とつげきー」


:おいバカ躊躇しろ!

:ゆるゆる過ぎて草

:ほんまに行くやつがあるか!?

:ソロはホントに危ないって!

白獣 ノノ:わ、わたし手伝うよ!?


「ん、ここのボスは確か…

あ、そう、"コボルトジェネラル"」


ボス部屋にとりあえず突撃して、ど真ん中に仁王立ちしているとても大きな、わんこの顔の人型生物がいた。

第五層のボス、コボルトジェネラルだ。


どういうふうに倒そうかな



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