石鹸工場の竣工式
それから3ヶ月程があっという間に経ち、石鹸工場の竣工式が今日執り行われることになった。
「長いようで短かったような感じですね」
遠巻きに工場の入口い建てた記念碑の横に立って挨拶を行う領主様夫妻を見ながらラフォンさんにそう語りかける。
「そうですね、しかし今回は運良く名工のドワーフ殿い来て頂く事が出来ましたからね。そうでなければ後三ヶ月は掛かっていた事でしょう」
「そうなんですね、それは良かったです。しかし、竣工式というのはやはりワラ教が取り仕切るものなのですか?」
よく見ると領主様夫妻の横に司祭らしき方が立っており、葉の付いた枝に液体を振りかけて記念碑にふりかけている。
「そうですね通常このような竣工式ではその土地を管轄する司祭様に取り仕切ってもらうのが一般的ですね。とは言いましても私もこの土地以上に他の土地の事を知りませんので、もしかしますと他所では違うのかもしれませんね」
「なるほど、そしてついでに祝宴が行われるわけですね」
「ええ、ただ祝宴自体はいつでも行われる訳ではないですね。少なくともドミニケ様が祝宴を領民の参加も許可されたのは御自身のご結婚以来かと。つまりはそれだけ今回の工場はドミニケ様にともっても重要なのでしょう」
「そうなんですね、確かに初の試みなのは間違いなさそうですね」
周りを見渡すと、領民のみなはちょっと初めての体験過ぎてオドオドしている。
「それでは我々が手本としてテーブルの上のものを食べましょう」
「そうですね、私みたいなガキがテーブルの食べ物を食べてもラフォンさんが叱らなければみんな安心するでしょうねw」
「はは、お茶目ですなエロワ殿は」
そういってテーブルの上にあるブレッドを手に取りかぶり付く。
それを見た領民たちも恐る恐るテーブルのものを食べ始めた。
「あ、あの」
「ん?」
どこかで聞いたことある声に掛けられたので振り向くと、そこにはリディさんがいた。
「おおっ、リディさん!元気してました?」
「はい!エロワくん、ありがとう!ごめなさいね。せっかくこうやってお館様のもとで働く事ができて、それも全部エロワくんのお陰だっていうのに、全然お礼が言えなくて」
「ええ、全然そんなの気にしなくて良いですよ。僕はただ手助けをしただけで最終的にそのチャンスを掴み取ったのはリディさん自身なのだから」
「ううん、違うわ。やっぱりエロワくんが助けてくれなければ今の私はいなかったわ。本当にありがとう。」
「ははは、そんなに喜んでくれたら助けた甲斐があったよ。でもお礼はこれくらいで良いよ。またいつものように気軽に声を掛けてくださいね」
「ありがとう。あっ、ごめんなさい。給仕をしている途中だったわ。もう仕事に戻るね。また、、、お話しても良いかしら?」
「そんなのもちろんですよ、お仕事頑張ってくださいね!」
そういってリディさんはまた仕事に戻っていった。
「エロワ殿も隅に置けませんな」
「いやいやそんなものではないですよ、家が横だったのでちょっと手助けしただけです」
「そのちょっとが既に常識外なのですがね。。。そもそも領民が領主に交渉を持ちかけるなど」
「それを言えばそうですね、、、まあ今回は運が良かっただけですよ」
「まあ、そういう事に致しましょう。さて私も給仕に戻りますかな」
「ありがとうございます、お話にお付き合い頂きまして」
「いえいえ貴方との会話はいつも刺激的で楽しいですからね。それではまた」
「はい」
「おいエロワ」
「はい」
また再び声を掛けられ振り向いた瞬間に、ドミニケ様だったことが分かったので片膝を着く。
「ほお」
「だろ、おかしな奴であろう」
なにやらドミニケ様の横にはもうひとり立っているようだが、アルバっぽいので宗教関連の人だろう。
「ほほ、少なくともただの領民のはなたれ小僧とは思いませんね」
「エロワ、面を上げて普通にせよ」
「はっ、ありがとうございます」
領主様からお許しが出たので普通に立って顔を見る。
「トマス司祭、こやつが今回この石鹸工場の発案者のエロワだ」
「エロワ、この方は我が領地を管轄されておるトマス司祭だ。挨拶せよ」
「はじめましてトマス司祭、私奴は農民の子エロワと申します。」
「ほっ、ほっ。トマスです。貴方がエロワ君ですね。シャルロット様から面白い少年がいると伺っておりましたが、ようやく会えましたね」
「はっ、司祭様にお声を掛けて頂き至極光栄です。」
「なかなか勤勉なようですね。神のご加護があらんことを」
「ありがとうございます。」
「ドミニケ様からいろいろとお話を聞かせて貰いました。私も大変興味が出てきました。我々はいつでも貴方を歓迎します。いつでも教会に起こしください」
「はは、ありがとうございます」
もう目的は達したのか、二人はその場を去ろうとしたが、そっとそのきにドミニケ様が耳もとでこう言ってきた。
「教会とはできるかぎり関わり合いになるな、少なくとも訪問するなら俺に前もって相談しろ。お前自身のためにもな」
「はっ、ありがとうございます」
う~ん、やはり宗教は怖いのか
そうおもいながらしばらく飲み食いして祝宴を後にした。




