一方シャルロットは、、、
少しだけ先の話ではあるが、、、
「お嬢様おかえりなさいませ」
「お嬢様おかえりなさいませ」
「久しぶりだなゴーチェ、相変わらず元気そうで何よりだ。ニナもただいま」
「はい、お嬢様。ご無事で何よりです。」
「勿論でございます。お嬢様が無事結構された後、お子様を拝顔しないうちはくたばる訳にはいきません」
「であればあと50年は生きてもらわないとな」
「笑える冗談でございます」
「そこは笑うところであろう」
そんな軽い冗談を交わした後、馬から降りる。
「お嬢様、お風呂の準備はできております」
「おお、何時もありがとう。長旅から帰った後の最初の風呂の格別なことよ。馬を頼む」
「かしこまりました」
そう言ってゴーチェは手綱を握り馬を誘導しながら厩に向かった。
我が屋敷は大きくは無いが、作りがしっかりして丈夫にできている。代々騎士の家庭で、質実剛健な家柄になったのか総じてあまりゴチャゴチャしたものを置かない。
と言ってもそれぞれのプライベートでは別だが。
「で、ニナは私が外にでている間に良い相手は見つかったのか?」
「またその話ですか?何度も申し上げておりますが、何よりもまずお嬢様のお相手を見つけるのが先でございます」
「おおっと藪蛇だったかなこの話題は」
「その様ですね。ただ本当に早くお相手を見つけて下さい。旦那様からも何人かまた紹介がきているようです」
「またか、父上には何度も今のところは考えていない旨申し上げているのに」
「そういえば、お嬢様、お嬢様が不在の際に、パケ家のドミニケ様の使いの者が訪れまして”例のモノをお届けに上がりました”と」
「パケ家?、、、ああ、トマス司祭がいる領の領主だな。なんだろう」
「安全の為、中を確認させて頂きましたが良い香りのする塊でした」
「良い匂い、、、おお、石鹸だな!石鹸が届いたのか!?」
「はい、お嬢様のお部屋のテーブルの上に置かさせて頂いております」
「おお、そうか」
それに思い至り思わず足が早くなる。
そのまま部屋に入りテーブルの上にある箱を手に取る。
「どれどれ、ふむ?これはなんだ?小さな葉っぱが見えるな。それと、、、これはパケ家の紋章か?ずいぶん面白いことをするもんだな」
見ながら匂いを嗅ぐと
「おお、これはミントだな?良い匂いだ。これで浴槽に浸かればリラックスできそうだな。良し!早速試してみよう!」
そう思うが吉、その場で服を脱ぎ始める。
「まあ!お嬢様!なんて端ない真似を!奥様が見ましたら卒倒してしまいます」
「おお、すまんすまんついつい野外にいるときの癖で」
「そんな癖は入りません!脱ぐのでしたら浴室の中でお願いします。もとより私がいるのですから私にお世話させてください!」
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ざぶ~ん
ゆっくりと浴槽に浸かる
「はあ~生き返る。この瞬間の為に野外活動をしているようなものだな」
「何をとんでもない事を仰っているのですか」
「そういうな、外ではこの様な温かいお湯に浸かる事などほぼ有り得ぬ。外では3日に1回水浴びができれば幸運よ、男性陣に至っては一週間は風呂に入らぬからそれはもう、、、阿鼻叫喚ものだよ」
「さようですか、しかしそんなにお辛いならお辞めになられれば良いのに」
「そういうと思ったよ、しかしそれでも私が辞めないと分かっているだろう」
「それはそうですが」
「もっともだな、この石鹸と出会ってから大分良くなったのだ」
「凄くいい匂いがしますね、これは何なのですか?」
「これは石鹸と言うらしい。パケ家の領地を訪れたときに暇つぶしに訪れた市場でだな、何と子供がこれを作って販売していたんだ」
「子供がですか?」
「ああ、エロワという少年なんだがな、この少年がまた不思議な奴でな。」
「どう不思議なのですか?」
「丁度馬に乗った私がやつの眼の前を素通りしようとしたらだな、コイツが横にいた妹を引っ張って地面に頭をつけて私が通るのを待っていたんだ」
「それは奇妙ですね、あのような辺鄙な場所の子供がそんな行動にでるなんて」
「そうだろ?私も気になったから声を掛けたんだ。そしたらそいつはつい最近馬車に轢かれて寝込んで、それから色々思いつくようになったらしい。もっとも本人は過去に誰かに教わったと主張しているがな。気にはなって領主にも聞いてみたが、やはり農民の夫婦から生まれた正真正銘の農民の子らしいのだが」
「それまた不思議なこともあるものですね」
「ああ、で話を戻すとだなこの石鹸もこの子供が作ったのだ。もっとも私が買った時はここまで匂いもついておらず葉っぱなど洒落たものもついてはいなかった。これは本当に良いものだな」
「はい、ミントがいいですね」
「こんな良いものを貰ってしまってはな。あとでお礼の文でもしたためよう」
「めずらしいですね、普段はあまり繋がりを持とうとしないお嬢様にしては」
「まあそうなんだがな、不思議と今後も関わりになりそうな気がしてな」
「左様ですが」
「ああ、後で文を書くからそれをパケ家に届けるよう手配してくれ」
「はい、畏まりました」
私はそれからしばし夢見心地でバスタブに浸かった。




