信者第二号
今日も日課の石像への祈りを行う。
簡易な祠ではあるが、毎日しっかり拭いて埃が積もらない様に心掛けている。
それから石像様も丁寧に拭いている。
拭いていると不思議と心が落ち着く。
エルティア様は元気だろうか?
不遜ではあるが、あの空間にただ一人閉じ込められていると思うとなんだか暗い気持ちになってしまう。
相変わらずエルティア様に関する情報は入手できていない。
そもそもこんな小さい荘園の中なのだから情報入手は難しいだろう。崇拝されているのはワラ様でありそれ以外が存在しない。いればいるで異教徒扱いになるのか。
そんな事をぼんやり考えながら像を磨いていると後ろから
「ねえ、お兄ちゃん、いつもそれに祈ったりしてるけどそれはなあに?」
「たぶん、だけどエルティア様だ」
「エルティア様?」
「馬車に轢かれただろ俺?多分その時に俺の命を救ってくれた方だ」
勿論、正確には別世界で死んだ俺の魂を拾い上げこの世界に定着させてくれたのだがそんな事を言っても通じないのでこう説明する。むしろあながち間違ってはいないだろう。
「でも首がないよ?それでもなんで分かるの?」
「まあ間違ってる可能性もある。ただな俺はそう感じるってだけだよ」
「じゃあ、私も祈る!」
「どうした急に?」
「だってお兄ちゃんを助けてくれた方なんでしょ?じゃあ私にとっても恩人だよ!」
「そうか、ありがとうな。でも祈るならこっそり祈れ」
「なんで?」
「お前も知ってるだろ村の教会は誰を祀っているんだ?」
「ワラ様」
「じゃあ、エルティア様に祈ったら?」
「わかった、こっそり祈る」
やっぱりこいつは賢いな。
いずれ大物になったりして。
「よし、こんなものかな」そう言い自作祭壇に戻し祈る。
横でクロエも見様見真似で祈る。
「?」
その時に一瞬だけど温かい何かに包み込まれた感じがした。
そう心が安らぐような懐かしいような。




