”かめ”と”びん”は同じ瓶と書くことを知った
~窯元かまもと~
「ブリスさ~ん、いますか?」
「おお、エロワか?今日は領主様のあれか?」
「ええ、もう連絡が来ていたんですね。その件で今日は伺いました」
「そうか、まあ立ち話もなんだから中で話そうか」
「はい、ありがとうございます。お邪魔します」
そういって部屋の中に通して頂く。中の作りは工房以外は自分の家とあまり変わらないような間取りだった。ただ商談に使う為か、テーブルは8人は座れそうなサイズだった。
「で、新しい依頼はどんなことだ?」
「はい、今領主様のところで新しい動きをしているのですが、まずテストをしてみようという事で実験用の機材を集めることにした訳です」
「なるほどな、でうちで作れるようなものも必要だと?」
「はい、口頭でお話するよりも絵で書いた方がイメージし易いと思いますので」
そう良い持ってきた縄編みのバッグから陶板とチョークを取り出す。
縄編みのバッグは、いつもフラフラ出かける俺を見て、母のコリンヌが渡してくれたバッグだ。
「陶板か、お陰であのあと領主様からも何個か注文が入ってな、助かったよ!」
「いえいえ、まあ文字が書ける人が限られているので注文量は少ないかもしれませんが、識字率が上がるに連れて需要も増えると思いますので、頑張ってください。」
「おう、そうだな」
「ああ、でも近いう、もう1回注文を出したいと思います。今度はもっと大きいサイズのをですね。だいたい1000mm×1500mmくらいですね」
「おお、それはでかすぎるぞ、ウチじゃ焼けれないなあ」
「もちろん、1枚フルサイズで焼ければ良いんですけど難しいでしょうね。だから4分割の500mm×750mmを4枚でどうかなと」
「おお、それれなら何とか行けそうだな。必要になったら言ってくれ」
「はい、ありがとうございます。さて本題なんですけどね。こんな感じのですね、、、」
そういってタライの様な底が浅い平鍋だけど釣り針のような形状が通せる突起つきの土鍋を描く。そうイメージ的にはすき焼きに使う鉄鍋の様なイメージだ。
灰汁を作成した際に、個人で作る程度ならば手で作業できるが、ある程度大きな量を作成するにはハンドリング(持ち運びのし易さ)も考慮しなければならない。天井から鎖で吊るして、移し替えにあまり労力を使わないようにしたい。
「なるほどな、ただこの形状だとこの突起の部分で重さに耐えられず壊れそうだな。こうした方が良いかも知れんぞ」
そういって、ブリスさんが付け加えてくれる。
「ありがとうございます。そこらへんはプロにお任せします」
「そうか、で、どれくらい作るんだ?」
「まずは予備を含めて4個ほど頂けないでしょうか?」
「4個だな、分かった問題はない。1周間程時間貰うが構わないか?」
「はい、大丈夫です」
「了解、請求は領主様へするよう仰せ使っている」
「ありがとうございます。」
「良いってことよ、こちとら新しい注文が入って嬉しいんだ。これからも宜しく頼むよ!」
「いえいえ、こちらこそ宜しくお願い致します。今後とも色々案件は出てくると思いますので」
「へへ、そうかよ。じゃあ、今後のお近づきにだな。ほらこれ持ってけよ」
そういって、棚に置かれていた素焼きのコップを4つ取り出して渡してくれる。
「ええ?良いんですか?悪いですよ」
「へへ、どうって事ねえよ。別買ってきたわけじゃなくて俺が自分で作ってるからな。直接金が掛かった訳じゃねえからよ」
「そうですか、では遠慮なくいただきます。ではこちらもこれを代わりに差し上げます。」
「これは石鹸だな?でも何かいつも見ているのと違うぞ、、、っそれに匂いも、、、良い匂いがする」
「それは開発中の商品です。まだ市場には流れていないのであくまでブリスさんの家で使用して下さい」
ブリスさんに渡したのはテスト用で作った自作で、勿論パケ家の紋章などは入ってないバージョンだ。
「おお、うちのカミさんが喜びそうだな、ありがとうよ!」
「いえいえ、では失礼します」
「おう、またな」
、
、、
、、、
~その晩の自宅の晩餐時~
「ん? なんかコップがあたらしいな」
そういって昼間にブリスさんから貰った素焼きコップを手に取りまじまじと見るマルク
「エロワがブリスさんの所から頂いて来たんですって」
「ブリスさんところがか?コップなんてそんな簡単に貰えるものじゃないだろう、何したんだエロワ?」
「昼間に領主様の商談の件で、訪問したんだよ。前に陶板を作ってもらったんだけど、その後、領主様からも注文が貰えたとお礼を言われてね、それでその流れで頂いたんだ」
「へえ~、お前は凄いな。安くないぞこれは」
「よく出来てるよね」
「クロエも新しいコップ!」
クロエも新しいコップを使えて嬉しいようだ。
前世のときからだが、俺は素焼きが好きだ。この素地のザラザラ感に温かみを感じてしまう。
それぞれ自分の新しいコップの感触を楽しみながら、楽しく晩餐を頂いた。




