鍛冶屋のセヴラン
ファンタジーといえば鍛冶屋
鍛冶屋といえばファンタジー
そんな物語の中心とも言える鍛冶屋だが俺の物語では未だかつて出番はなかった。
実は毎日のように目の前を通過はしていたのだが、どっちにしろ手元の資金で何かが手に入るとは思えなかったので今までスルーしていた。
しかし、今回は石鹸を作る際に油脂を煮込むための鍋を調達する必要があり、いよいよこの未開の地に脚を運ぶことになったのだ。
大丈夫だ請求書はお館様のところへ行くのだから。
しかし、こうしてよくよく鍛冶屋を見ると、塊鉄炉も設置されている。古い記憶を辿れば、このような炉の高さが1メートル程度の規模のものはルッペ炉というらしい。(英語の鉄塊を指すbloomをドイツ語でluppeと呼ぶことかららしい)
原理としては、1メールほどの高さの炉を予め木炭で加熱した状態で、炉の上から酸化鉄と木炭を1対1の比率で炉内に落とす。そうすると、木炭の不完全燃焼から一酸化炭素が発生し、それが酸化鉄中の酸素を奪うことにより金属の鉄ができるのだと。これが最終的に炉の底部に落ちて、落ちた者同士が集まり合い、スポンジ状の塊鉄となる。
あとはイメージが付きやすい、加熱してハンマーでひたすら叩くという作業から鉄が生まれるという訳だ。
従って、当時の手間を考えれば鍛冶屋で鉄製品を買うというのは車を買うのと同じくらいの勇気が必要だったに違いない。
そんな事をぼ~っと鍛冶屋の前で考えていた。
考えていたのだが、いきなり
「おい!ガキが邪魔なんだよ!」
と鍛冶屋の店主からお叱りを受けてしまった。
「すみません、農民の子、エロワです。今日はお舘様のご紹介により、伺った次第です」
「おお、お前がエロワか?先ほど、領主様の使いの方が、お主が来た際には良く取り計らうようにお達しがあった」
「はい、その内容に間違いはないと思いますので、どうかひとつよろしくお願い致します。」
「おう、そうか。名乗りが遅れたが俺はセヴランだ。で用事とはなんだ?」
「はい実は領主様にて新しい試みを考えており、その試みをトライするに、鍋が必要ですので、その鍋を作って貰えたらなと」
「鍋か?まあ鍋は作ったことある。どれくらいの大きさだ?」
「そうですね直径に直しますと100cmほどあればなと思いますが、可能でしょうか?」
「う~ん、それは無理だ。いまんところ俺のところで生成できる鉄は数キロ程度だ。材料が足りなくなる。できたとして、60cmくらいが限界だな」
「そうですか、それでしたら60cmでも構いません」
「そうか、すまんな。これ以上の鉄塊を作りには水車小屋など別の動力が必要になるからな。今のところ俺達の村で数十キロタイプ鉄塊の生産できないな」
「いえいえ、まあ対処としては複数60cmの鍋を揃えれば良いわけですから。それで先ずは1個発注したいのですが、納期はどれくらい掛かりそうですか?」
「まあ一週間くらい見てくれれば」
「分かりました。ではお手数ですが、宜しくお願い致します。」
「おう、分かった!」
さて次は窯元か




