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冴えない中年営業マン、異世界へ転生する++  作者: 4ris4k4
~第一章~中年は異世界へいざゆかん
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領主の書斎にて

~リディに大変なことが起きる数日前の話~


「ミント石鹸はいかがでしたか?」


「もう凄いわよ!大反響でいつ売ってくれるの?って色んな方々に問い合わせを貰ってるわ」


そうベルティーユ夫人は当時の反応を思い出し、興奮ながらに話してくれた。


「色んな人からお願いって言われて、もう私も鼻が高いわ!」


「それは良かったです」


「それで追加の石鹸はいつ入ってくるの?」


「いや~それがですね、丁度そのお話もさせて頂ければと思いまして、今日は伺ったのです。」


「生産能力か?」


「はい、ミント石鹸は通常の石鹸より原材料から工数が増えますで、流石に今の子供3人体制では週産20個程度になります」


「まあ、それは全然足りないわね!私も欲しいし」


「ゴホン、分かったから。で、お前の考えは?」


いつまでも夫人に話をさせると本題に辿り着かないので、しびれを切らしたドミニケが本題へと流れを戻す。


「はい、製法を領主様に公開し、製法の使用料を出荷数量毎に頂ければと」


「ほう、製法を公開するというのか?自ら製法を手放すとはな」


「はい、結局自分達で持ってても作れる量は限りがありますし、更に数量を積み上げるには、生産の移管を行うべきだと」


「ふむ、相変わらず小賢しいな。で、それでお前は使用料として幾ら欲しいんだ?」


そういって眼光鋭くドミニケはエロワを見た。


「1割はいかがかと?」


「何?1割だと?貴様、そんなに低くて良いのか!?」


予想外の数字だったのか、ドミニケは驚き思わず机を乗り出し、そう言った。


「はい、使用料は出荷数量に対してですので、今後契約内容に変更がなければずっと発生します。それに、やはり製造自体は領主様が管理しますので、寝てる間に2割も3割も取れば最初は問題ないかもしれませんが、そのうち含むようになるのではないかと。何より石鹸はあくまでとっかかりに過ぎず、領主様とは今後ともよろしくして頂きたいので、そこらへんを加味した上で1割と考えております。」


「ふっ、そうか。まあ確かに貴様にとってはわしとは仲良くしておきたいだろうな。ふむ、、、わかったそれでこちらは特に問題はない」


「はい、ありがとうございます。」


「それで、具体的にはどうするのだ?」


「領民に手伝ってもらいます。まあ、あとは重罪人ではない軽犯罪を犯した方々など、、、」


「まあ犯罪者を使うというのはまあありふれているが、農民にも手伝わせるだと?それでは農作物の収穫量が減るじゃないか?」


「僭越ならが領主様、農作物は産業、つまり人々が生活するうえで必要とされるものを生み出したり、提供したりする経済活動においては、一番低いところにあります。」


「一番低いだと? どういうことだ?」


「はい、一番低い、低いというのは語弊がありますが、こうピラミッドの形をイメージした場合に、一番下の基礎となる産業だと考えてください。一次産業と呼ばれるものは、農業の他に、林業、漁業など、つまり自然を相手にするものを収穫したり、狩猟をしたりです。一方で、その上に位置するのが二次産業です。二次産業は一次産業で取れた材料などを加工したものがメインになります。」


「なるほど、では陶業や鍛冶屋は二次産業になるのだな?」


「はい、その通りでございます。当然、陶業や鍛冶屋が販売する製品は一次産業のオーツ麦などと比べ物にならないくらい高い値段で取引されていますよね?」


「それはそうだ、素人が簡単につくれるものではないからな」


「はい、では石鹸は何次産業になりますか?」


「二次産業ね!」


それまでずっと黙って聞いていたベルティーユ夫人が合点がいったとばかりに答えた。


「はい、そのとおりでございます。 では、農民ですが、果たして石鹸を作るのと農業を続けるのは領主様にとっても農民にのってもどちらがよろしいのでしょうか?もっとも農民が農地をこよなく愛し、農地に生まれ農地に死ぬというポリシーをお持ちでなければですが」


「なるほど、たしかに双方にとってメリットはありそうだな」


「はい、最終的には契約をかわさせて頂けれと思いますが、ミント石鹸には動物の油脂と、ミント葉などが必要になりますので、それぞれに仕事が生まれます。領民で仕事を分担すれば、石鹸の生産量があがれば収入が増え、領主様の領地に多少なりとも潤いをもたらしてくれるのではないかと思います。」


「全くもって貴様が、農民の子だとは思えなんな。まあ詮索はせんがな。身の振り方には気をつけるが良い」


「お心遣いありがとうございます。ただ私は本当に農民の子ですので」


「分かったとりあえずそういうことにしておく」


「ところで領主様」


話が終わったとばかりにソファを立ち上がろうとしたドミニケにそう話かける。


「なんだ、まだ何かあるのか?」


もう結構長い時間話し込んだ為、やっと一息つけると思ったのだろう、面倒くさそうにまたソファに座りなおすドミニケ。


「はい、実はご相談させて頂きたいことがございまして」


「、、、言ってみろ」


「はい、実は私奴の家の隣に住む家族に一人娘がおりまして、名をリディと申します。気立ての良い子でございます。」


「それがなんだ?」


「実は残念ながら、ご両親が毒親、失礼、毒親と言いますのは毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、または子どもが厄介と感じるような親のことを言いまして、はい、その子の両親がそのような親でございます」


「それでわしに面倒を見ろと?」


「はい、恐れながら」


「、、、、残念だな。貴様は頭が切れるから評価していたが、そんなことを考えるとは所詮まだまだ餓鬼だな。残念ながらそんな不遇の状況は平民だろうが貴族の間でさえ良く聞く話だ。そのよく聞く話について、わしが都度そのような境遇の子を引き取れというのか?そんなことをしていたら我が家はとっくに破滅しているだろう!」


「はは、仰ることは至極当然でございます。はい、もちろんこのリディが”どこにでもいるありふれた不遇の子”であるならば、ですね。」


「なんだと?」


「そういえば、以前お渡しした陶板の使い心地はいかがでしたか?」


「なんだ、急に話題を変えやがって!陶板はたしかに使い勝手が良い、お陰で大分山積みの仕事が多少なりともマシにはなった。しかし、今はそんな事を話しているのではないだろ?」


「はい、ではこのリディが僭越ながら領主様の”その仕事を”を手伝えるとしたらどうでしょう?」


「どういうことだ?俺はいま少し機嫌が悪い、要点を言え!」


「はい、ですからこのリディは数字の計算ができます」


「な、なんだと!? 農民の子がか!?」


「はい、勿論必要とあらば領主様の目の前で計算を披露させましょう」


「それは本当なの!?あなた、それが本当なら雇用を検討すべきよ!仕事が終わらないからって私まで手伝わされているんですから!」


「まて!、まだわからん!そんなに直ぐには決められんだろう! エロワ、雇うかどうかは会ってから決めるとしよう」


「はは、誠にありがたきお言葉!」


「ふん、じゃあもう良いな?」


「ああ、申し訳ございません。最後に関係して1個!」


「はよ申せ!」


「おそらくですが、この毒親達、私奴の予想があっていれば良からぬ事を企むのではないかと心配しております。しかしながら私奴は所詮はただの11歳、大の大人には敵いませぬ。そこで、その時には是非、領主様のお力をお借りしたく。」


「そういうことか、おいエタンはいるか?入ってこい!」


「失礼いたします。エタンです。ここに」


「クロエに荒仕事が必要な場合は、こいつを支援しろ」


「はっ、承知いたしました!」


「これで良いか?」


「はい、本当にありがとうございます」


「まあ、先行投資としてやろう、その分しっかり働くが良い」


「はは、承知いたしました。」



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