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冴えない中年営業マン、異世界へ転生する++  作者: 4ris4k4
~第一章~中年は異世界へいざゆかん
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呼ばれてないのにじゃじゃじゃじゃ~ん

ドン!


「やめろー!!!!」


マルク(エロワの父親)が勢い良くドアにタックルし突き破る。


「な、なんだてめえは!?」


いきなり開いたドアの奥から野郎は驚きのあまりリディに抱きつきながら、そう叫んだ。


「その子を離せ!」


う~ん、やはり危険なシチュエーションになると、興奮からなのか言語が単純化されるのか?言葉の応酬は、警察◯4時の刑事と犯罪者のやり取りのようだ。


俺は、玄関の扉の外から様子を伺っていた。


前世に見たアメリカのゾンビ映画の「ゾンビランド」のゾンビから生き抜くためのルール17


”英雄になるな(DON'T BE A HERO)"


11歳の子供が意気揚々と成人男性に立ち向かうことが出来るのは漫画や映画の世界だけだ。


だから俺はこの起こるべくして起きた事態に対して、素直に大人を頼ることにしたのだ。


「クソ野郎はどこだ?」


そんなことを考えていると、後ろからよく知った人に声を掛けられる。


「家の中にいます。エタンさん、すみません、非番なのにありがとうございます」


そう、領主様の館の門番のエタンさんだ。


「気にすんな、お前には世話になってるからな。それに今回は領主様からも言われてることだ」


「はい、ありがとうございます」


「2対1だ、諦めろ!」


「ちきしょ!なんなんだ!俺はコイツの親に金を払ってんだぞ!」


「いやいや、本人が嫌がっているだろ?ワラ教においても処女に対する強姦は重大犯罪だぞ!」


「ちきしょう! ちきしょう!」


「大分興奮しているが、お前さんは対価を払って親から買おうとしたことになる。素直に従えば、情状酌量の余地はある。ただこれ以上、ゴネるなら刑罰は重くなるぞ?」


「ちっ、畜生!うっ、う~」


そういって男はリディを解放し、その場に座り込んだ。


残念ながら、ここは前世の時代ほど発展している訳ではない。地球の中世ヨーロッパの時代と同じで、人の命は現代ほど守られている訳ではない。今回も両親と取引が成立している。親が子を売り払ったのだ。


この部分だけを切り取れば、残念ながらこの時代においては罪に問えるかも疑わしい。


しかし、それは一般人に対してだ。


エタンさんは素早く野郎を縛り上げ立たせる。


「ほら、歩け。」


「お父さんもありがとう」


「気にするな、リディちゃんを助けられて良かったよ」


そういってやさし眼差しで俺の頭を撫でる。


「じゃあエロワ、俺はコイツを牢屋に入れてくる。まあ処理は明日の朝からだな」


「はい、本当にありがとうございました」


「おう」


そういってエタンさんは野郎を連れて牢屋のある領主の館へと向かっていった。


「さてと」


今もガタガタと震えて、地べたに座り込むリディに向き合う。


「間に合って良かったよ、リディさん」


そういって優しく彼女に語りかける。


「うっ、わ~ん、こ、こわがっだよ~!!!!!」


そういってリディさんは俺に飛びついて、泣きじゃくった。


そりゃあそうだ、あともう少しで取り返しのつかないことになっていたのだから。


「もう大丈夫だから、ね」


そういってリディさんの背中を擦ってあげる。


しばらくそうやってあやし続けた。


マルクは、同じ子供の俺に任せた方が良さ道だと判断したのか、少し離れたところから俺たちを見守っていてくれた。


「落ち着いた? とりあえず立てる?」


「う、、ん」


そういって彼女を支えながら立たせる。


「まあ、色々と動くことはあるんだけど。良かったら今日はうちに来ない?」


「い、良いの?」


さすがにもう遠慮さえ出来ないのだろう、申し訳無さそうにそう聞き返してきた。


「勿論だよ。良いよねお父さん?」


「ああ、勿論だ。というか逆に一人でここにはいさせられないよ」


「だってさ」


「あ、ありがとうございます」


そういってリディはマルクに対してお礼を言う。


「さ、行こう」



~自宅の玄関先~


「ただいま~」


「お帰り、さ、リディちゃん。お湯沸かしたから湯浴みしてきな」


そういってコリンヌがリディの方に手を掛けて、湯を張った桶の方へ誘導する。


勿論、この家に個室なんてものはないからただの仕切りスタンドで隠しているだけなのだが。


移動際にさっとリディに


「あっ、良かったらこれ使ってみて。ミントの香りには鎮静効果、、、まあ心を落ち着かせる効果があるからね。あ、これ一応、領主謹製だから内緒ね」


そういって雰囲気を和ませるために、茶目っ気たっぷりに言ってみた。


「ありがとう」


「うん」


「さて、とりあえず俺たち男は庭にでも出てるから」


マルクが気を利かせて外に出るように促す。




~しばらくして~


「あっ、エロワ君、ありがとう。もう大丈夫、マルクさんもありがとうございました」


「子供はそんないちいち気を使わなくて良いよ」


そういってマルクが話しかける。


「どうでしたミント石鹸」


「ありがとう、とっても良かったわ。大分落ち着けたわ」


「それなら良かった。まあ、もう今日は寝よう。詳しくは明日からだ」


「リディお姉ちゃん!、ねえ、ねえ一緒に寝よ!」


ナイスタイミングだクロエ!


「うん、一緒に寝て良い?」


「勿論だよ!ずっと一緒に寝たかったんだ!」


クロエはリディさんと一緒に寝られることが嬉しいのか、リディさんの手をグイグイ引っ張っている。


「さて、じゃあみんなもう夜も遅いから寝るよ!」



繰り返すが、うちは農民だ。


個室など無い。


だから必然、川の字でみんなで寝ることになる。


だから俺たちはこんな感じで寝たのだった。



エロワ、マルク、コリンヌ、リディ、クロエ





「ほ、ほんとにありがとうございます」


リディは声にならない声でそう感謝の念を言葉にした。


助けて貰っただけでなく、自分を家族のように優しくしてくれて、

もう久しくベッドで家族で寝たこともなかったが、

みんなの寝息が子守唄のように自分の心の波を落ち着かせてくれた。


そっとまぶたを閉じ、意識を手放すことが出来た。

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