ようこそお越しくださいました
少年の教えに従い、村中の通りを進み小川を越えたあたりに確かに教会が見えた。
教会の前にたどり着く頃には教会から人が出てきて我々を出迎えた。
「これはシャルロット様、ようこそ我が教会へ」
「うむ、トマス司祭も見たところ息災で何よりだ」
「はい、お陰様で穏やかに過ごさせて頂いております。長旅でお疲れでしょうから、どうぞ中へお越しください。」
「うむ、礼を言う」
そう言い従者の手を借りながら馬から降り、教会の中へ足を運ぶ。
「トマス司祭殿、先ずは主にお祈りを捧げたい」
「勿論でございます。こちらへどうぞ」
そう断り、礼拝堂の奥の女神像の前で跪きしばらくお祈りをする。
その後、立ち上がり、側楼から外へで、横の小さな建物へ入る。
「シャルロット様、既にお荷物は従者の方々が来賓用の部屋へお運びになられました」
「うむ、そうか忝い」
「お前たち、一先ず解散だ。出発までは各々しっかり休息を取り給え。と、そうだすまないが休みに入る前に一つ頼まれてくれ。ドミニケ殿にシャルロットが来たと、ついては明日の午前にご挨拶に伺いたいと」
「はっ、承知しました。ではこれにて失礼致します。」
そう従者たちに告げて、目の前の粗末なテーブルに腰を掛ける。
そうすると司祭殿は2杯のコップとワインを手に持ってきた。
「すまないな、頂くとしよう」
そういい注がれたワインを口に含む。
爽やかな酸味が突き抜け、その後に濃厚な果汁の香りが口の中に膨らむ。
「うまいなこのワインは」
「はは、ありがとうございます。こちらは2年と若いですが、この若さを感じるのもまた一興かと」
「確かにそうだな、力が湧くようだ。ところで最近は特に何か問題はないか?」
「はい、お陰様で収穫も例年通り、盗賊も今年はまだ来ておらず平和のままです。」
「そうか、領主の方はどうだ?」
「ドミニケ様ですか?真面目なお方でとくに問題は無いかと、重税を掛ける訳でもなく、民を虐げるようなこともされません」
「そうか、それは何よりだ」
「外の方はいかがでしょうか」
「ああ、そうだな。最近の状況で言えば、周辺国家の動きにとくに怪しい変化はないようだと国境を警備する貴族は連絡が王都に入っているようだ。隣の貴族領ではだな、、、」
そんな感じでお互いの持っている情報を交換し、状況の把握に努めた。
「まあ、そんな感じだ」
「はは、お陰様で良く分かりました。何分、王都から離れており、なかなか周りの情報が入って来ずありがたい限りです。」
「うむ、こちらもピケ領では問題がなさそうなので何よりだ」
「話も大体聞き終わったし、少し酔いを醒ます為に散歩でもするとしよう」
「はは、ここらへんは特に何もございませんが、酔いを醒ますには心地よい風がでておりますね」
「そのようだな、少し歩いたら戻ってくる」
そう言い、扉の方へ向かっていく。




