騎士一行が道を通る
今日は出社日(市場)だったので、妹と市場に向かう。
やはり道はただ土を均しただけなので、砂埃は立つわ、汚いわで歩くだけでも億劫である。
「ねえねえお兄ちゃん、今日も石鹸沢山売れるかな~」
「まあどうだろうな、大分村の中に行き渡って来たからそこまで数量は増えないだろうね。ただ、それとは別に領主様との取引も始まるから収入は増えるだろ」
「そうなんだ!お兄ちゃん凄いね!」
「まだまだこれからだよ」
そんな話をしながら歩いていたら、後ろからドス、ドスと体重のある動物があるく音が聞こえてきた。
振り返ると馬を引き連れた一行がやってくる。
馬に乗れるということは少なくともそれなりの身分なのだろう、つまらない事で不興を買ってもつまらないな。
「ほら、クロエ。俺と同じように地面に膝をつけろ」
「うん、わかった」
クロエは素直に俺に言われたとおり腰を下げる。
そうして、馬車が過ぎるのを待つ。
しかし、馬車はいつまでも通り過ぎないどころか、よりにとって俺たちの前で立ち止まった。
「おい、そこの子供よ」
声を掛けられてしまった。。。
「はっ、私奴でしょうか」
「うむ、面を上げよ」
「はっ、ありがとうございます」
そういって面を上げ、馬上を見上げる。そうすると鎧に身を包んだ超美人な女性がこちらを見下ろしていた。
「お主は何者だ?」
「何者と問われましても、この通りしがない農民の子であります。」
「ふふっ、沢山の村を回ってきたが、お前みたいにいきなり道端で膝まづく奴など見たことはないわ」
「ええ?お偉方がお通りの際は、面を上げてはいけないのでは?」
「それは国王がお通りになる場合だが、このような村ではそのような習慣がないのだから気にはされん。まあ、一行の目の前に飛び出して道を塞ごうものなら切り捨てられるかもしれないがな」
「はあ、そうでしたか」
「という訳でお前が私の注意を十分引く動きをしたことは理解したか?」
「はは」
「それでお前は何者だ?」
「いえ、それは先ほど申し上げましたとおりただのあり触れた農民の子です。」
「お兄ちゃんは、この間馬車に轢かれてからおかしくなっちゃんだよ!」
「おい、こら勝手に話すな!」
いきなり横からクロエが言い出したので、頭を下げさせる。
「ほお、馬車に轢かれたのか、それから変わったと」
「はい、自分にはそんな自覚はないのですがどうやらそのようです」
「なるほど、まったく理解はできんが、長旅で皆疲れているので勘弁してやろう」
「はあ」
「ところでだが、この村の教会はどちらだ?」
「ああ、教会でしたらこの通りをこのまま突き進んで、小川を越えた右手にございます。」
「そうか、助かった。我々は2,3日はこの村に滞在するであろう。縁があればまた会おうぞ」
「はあ、ご縁がございましたら」
「面白い奴だな。まあ、良い。ではな」
そういって手綱を引き前に進みだす。それに釣られて周りの従者たちも動き出す。
「ふう、とりあえず何事もなくてよかった」
「お兄ちゃん、早く市場に行こう!」
「ああ、そうだな」
変なところで時間を取られてしまった。アルバンに怒られそうだなと思いながら、市場へ急ぐのであった。
しかし、騎士は初めて見たな。というか女騎士が存在するのか。美人だったな~。




