こんにちは、新しい家族よ
気が付いたら目の前には天井があった。
「エロワ!?エロワ!、ねえ貴方エロワが起きたわ!」
「お兄ちゃん!、お兄ちゃん!」
目が覚めたと思ったら、そういう声を聴き、体を揺さぶり続けられる。
「や、やめて、頭が痛い」
「ああ、ごめんなさいエロワ」
上手く喋れずかすれ気味そう呟くように言うと、揺れは止まった。
無事、転生を果たした、、、と言っても良いのだろうか。
「おお、エロワ目を覚めしたのか!」
目の前の薄汚い中年は涙を零しながらそう言う。
ああ、これが俺の新しいか家族なのか。
薄汚い中年の横に、これまた薄汚い女性、そして爪先の先には小さい、これまた薄汚い少女が笑顔で何かを言っている。
どうにも薄汚すぎて、どんな顔をしているかさえも良くわからない。
そもそも頭も痛いし、体も何故か痛く起き上がることも出来てない。
「だめ、まだ動いちゃ駄目よ」
そういって母親らしき女性に起き上がろうとするのを制止される。
「馬車に弾き飛ばされて、塀に衝突したんだ。それから五日間も昏睡状態だったんだぞ」
なるほど、それで頭も体全体も痛いのか。
起き上がることを諦め、再び天井を見る。
天井を見るが、やはり汚いし暗い。
「お兄ちゃん! 大丈夫?」
薄汚い少女が心配そうに覗き込むように俺に話しかけてくる。
心配そうな顔に俺は何とか声を吐き出す
「ああ、大丈夫だ。心配するな」
「うん、早く良くなってね!」
そういうと左手に握られる感触を感じる。
心なしか痛みが和らいだ気がした。
目を閉じる。
そうすると海中に沈むような感じで意識が遠ざかるのを感じた。