とある日の裏庭で見つかった顔の削られた石像
「痛~」
思わず声が出る位痛い頭の表面をさする。領主様の館から帰った夜、クロエが母に泣きついて事態が発覚し、母親には泣かれ、父親からはゲンコツを思いっきり貰った。
「ふん!お兄ちゃんが悪いんだよ!」
「もう分かったからいい加減機嫌を直してくれよ~。今度また別のおもちゃ作ってあげるからさ、な?」
「ほんと?絶対だよ?約束だよ?」
「ああ、わかった約束だ」
「それじゃあ、わかった。もう怒らない」
「サンキューな心配してくれて」
「だって妹だもん!」
これだけ心配してくれる妹をもつのは兄冥利に尽きるな。全く心配かけないようにというのはできなさそうだから、極力心配かけないようにしよう。
「あれ、ねえねえお兄ちゃん!ちょっとこっち来て?」
「なんだ?大きいケラを見つけたとかそんなのいらないから」
「違うよ! ちょっと来てよ」
「ったくなんだよ~」
俺は面倒だが腰をあげて妹に近寄る」
「ねえ、お兄ちゃんこれ何?」
「ん? なんだこれは。」
何か白い硬い形状のものが土から覗いている。自然にできたようなものではなく人工物のようだ。
「とりあえず掘ってみるか」
そういってクロエに代わり、問題のものを掘り起こそうと物体の周りから少しずつ土を取り除いた。
「これは、、、、女性の石像の様に見えるな。だが首から上がないな」
その15cmほどの高さの石像は、首下のフォルムから女性の像と判断できる。引き続き、土を掘ってみたが頭部を見つけることが出来なかった。
しかし、なぜだか分からないが顔も分からないその石像はなんだが懐かしいような温かい気持ちにさせる。
これは、、、、もしかしてあの女神様の像なのではないだろうか。
根拠など全くないのだが、なぜかそう思えてしまうのである。
「なあ、これ兄ちゃんにくれないか?」
「え?まあ、別に良いけど。お兄ちゃんお人形さんがすきなの?」
「ちげーよ! まあなんでも良いだろ」
そういって俺は石鹸で優しき石像を洗い、付着した泥などを丁寧に取った。
「ふ~汚れを寄ったら一層なんだか神々しさを感じるようになったな」
それから俺は家の中の適当な場所を確保して、その石像を祭ることにした。
~晩御飯のとき~
「なあ、エロワ、あの石像はなんだ?」
食事中に気になったのかマルクはそう聞いてくる。
「あれは裏庭でクロエが見つけたんだ。何かしらない?」
「いや、初めてみたな、母さんは知ってるか?」
「いいえ、知らないわ。でも首がないなんてなんだか怖いわ」
「いやいや怖いものじゃないから」
「まあお前の好きにすれば良いとは思うが、あまり表立って崇めるようなことはしない方が良い。この村にも教会があって善の女神ワラ様を信仰しているのだから。万が一教会に知れれば面倒なことになるかもしれんぞ」
「わかったそこは気を付けておく。ありがとう親父」
両親も知らないということは両親が住む以前からあそこに埋められていた事になるな。
それから、なぜか俺は以降毎日首の無い石像に向かって祈りを捧げるようになった。
とは言っても日々の感謝を伝えるだけだが。




