初営業の帰り道にて
「ねえねえ、お兄ちゃん今日はすっごく楽しかった!」
「そうか、それは良かったな~」
「うん!自分の作ったものが売れるなんて凄い嬉しいよ!」
「ああ、そうだな。だが、これはまだ始まったばかりだ。これからもっと楽しくなるぞ?」
「そうなんだ!わ~い楽しみだ~」
そういって元気に走り回るクロエを見ながら俺は一人考える。
くそ~、営業を開始したのは良いが記録を取りたい。にも関わらず紙がねえからな~紙を作りたくても今の環境じゃ労力も時間も掛かり過ぎてしまう。
何かしらパピルスの様なものでも生えてたら良いんだがな、しかし残念ながらそんな都合の良い植物は辺りを見渡した限りでは生えていない。というか、草木もそんなに生えていない。
う~ん、やはり石板とかになるのかねえ、でもあんな薄い石板を作る技術があるのかも微妙だしな。まあ、粘土を焼き固めて土版とかのほうが未だ望みはありそうだな。
村で窯業やってないか調べる必要があるな。
そんな事を考えながら道を歩き、とある家の前を通りかかった時に、家の門の横で蹲る少女を発見する。
「リディさん」
そうやって少女に話しかける。
「え?ああ、エロワ君」
そう言って顔を見上げ話しかけているのが俺だと分かると、衣服で目元をゴシゴシした後に立ち上がり、俺たちに近づいてくる。
「今日はどうしたの二人ともお出かけ?」
「ううん、リディお姉ちゃん、今日は初営業~っていうのをね市場でしたんだよ!」
「はつえいぎょう?」
「ああ、すみません。石鹸っていう体とかを洗うものを作りましてね、それを今日初めて市場で売ったんですよ」
「へえ~凄いわね!そんな事できるんだ!」
リディさんは本当に驚いたようでへ~とかは~とか言っていた。
「なんか、蹲ってたみたいですけどどうしたんですか?大丈夫ですか?」
「ううん、大丈夫だよ、、、何もないよ、、、、」
そういって消え入る様に呟いた。
今の俺にはどうする事もできないけど
「あっ、そうだ。石鹸1つ余ってるんで良かったら使ってみてください」
「えっ、そんなこれ売り物でしょ?そんな、受け取れないわ」
「良いから良いから、ご近所さんってことで。それにこれ使うと多分、気持ちが少しは軽くなると思いますので」
「そ、そんな。でも本当に良いの?」
「はい、別に買ったわけじゃなくて自分で作ったものなんで。その代わり使ったら感想教えてくださいね」
「うんとね、うんとね、リディお姉ちゃん石鹸はね~」
そう言ってクロエがリディさんに石鹸の使い方を教えている。
あなたの悲しみが少しでも洗い流されますように




