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冴えない中年営業マン、異世界へ転生する++  作者: 4ris4k4
~第一章~中年は異世界へいざゆかん
19/78

初営業だ!

ついに初営業だ!


「二人ともこれまでありがとう。二人が手伝ってくれたから今日から石鹸を売ることができるんだ。どうなるかは分からないけど、一先ずお礼を言う」


「もうお兄ちゃん!そんなの言わなくても大丈夫だよ!」


「おう、そうだよ水臭えな、なんか背中がぞわぞわするぜ!」


「これは3人でやらなければ出来なかった事だ。これは大切な事だ。まあ、この大切さはまた追って話をするとして、今日の働きだがアルバンは家の手伝いがあるだろ?」


「いや、基本的に俺は営業の片づけがメインだから手伝えるぜ、まあ親に呼ばれたらそっちの方を手伝わないといけないがな。つっても隣だからな!」


そして屋台の横から


「エロワちゃんとクロエちゃん頑張ってね!何かあれば遠慮なく私に言ってね!」


「ありがとうございます、モニクおばさん」


「ありがとう、モニクおばさん」


「さて、石鹸をこれから売るわけだが、石鹸は銅貨7枚とする。そして、使える回数だが、まあ人によって使う量はちがうからあくまで目安だがな、大体1個で30回くらい使える。」


「わかった」

「わかった~!」


「そして石鹸は全部で17個だ。無くなったら今日の営業は終わりだ。まあ、今日が初めてなのだから、実際にやってみて、問題が起きればその都度どうするべきかを考えていこう。今日は初めてだからトラブルはあると思うが、それは当たり前なのだから気にせず今日は楽しもう!」


「おう!」

「うん!」


「よし、じゃあ営業開始だ!エロワは販売担当だ。欲しいお客さんがいれば値段を教えて、銅貨と石鹸を交換する役だ。アルバンもエロワと一緒で良い、初めてだから今日は俺が何をするかを見ていてくれ」


「了解」


そういって、俺は通路に出る。そして、道行く人に対してこう大声で話しかける。


「さあ~いらっしゃいいらっしゃ!世にも不思議な水で洗えば立ち所に汚れが落ちてしまう不思議な塊、その名も石鹸!1個銅貨7枚だよ!見ていってください!」


そういって拍手をする。


注目して貰えなければ売れる可能性はゼロだ。


当然通り征く人たちに呼びかけても、物珍しそうにこちらを見るが俺たちの屋台には足を止めてくれない。


「う~ん、個別に声を掛けるか」


「すみません、そこのお姉さん」


「ん?何だい?って良く見たらコリンヌとこの坊やじゃないか」


「おはよう! フェベおばさん!」


ナイス妹よ!


「おはようございます。フェベおばさん」

さっとクロエのフォローに乗っかり挨拶をする。


「あんたたちここで何してるんだい?」


「実は石鹸というものを洗うものを販売してるんです」


「ものを洗うだって?灰汁と何が違うんだい?」


「まあ一番の違いは、もっときれいに落とせるってところですかね。まあ多分、話しても分からないと思うので、ちょっとこっちまで来てください」


そういって屋台(ござの上)までフェベおばさんを連れていき、


「ここに桶があるんですけど、実際に使ってみましょう。先ず手をこうやって濡らして、それから石鹸で2,3回手の中で回転させてください。」


「こうかね?」


「はい、そしたら今度は手と手を擦り合わせてください。勿論、こすればより汚れが落ちます。」


「擦ったよ」


「はい、そしたら水で洗い流しますね」


「おお、ん?あらまあ、手がキレイになったわ!私の手って白かったのね!」


「はは、はい。まあなかなかキレイに洗えないですからね。灰汁は汚れは多少落とせますけど、同時に手も荒れると思いますし」



「へえ~、これは凄いわね。洗えるのは手だけなの?」


「いえ、基本的には全部に使えますよ、髪にも体全体にも、それに衣服にも。まあちょっと量的に衣服を洗うのは勿体ないですけど」


「う~ん、そうなのね」


「はい」


「お値段はいくらくらいなの?」


「はい銅貨7枚です。」


「あら、結構高いわね」


「はい、ただこれを高いと思うか、安いと思うかはお客様次第でしょうね。少なくともこれで髪を洗えば、大分さっぱりしますし、体もキレイに洗えますので」


「そうねえ~、う~ん分かったわ、1個ちょうだい」


「はい、ありがとうございます!」


そういってフェベおばさんは腰に下げた財布から7枚を取り出し、俺に手渡す。


「ありがとうございます!」


そして俺はクロエに銅貨を渡して、石鹸を取り、フェベおばさんに手渡す。


「ありがとうね」


「はい、こちらこそありがとうございます。」


そんなやり取りをしていると。


「フェベ、ねえその石鹸というのどんな感じなの?」


よこから見知らぬ女性がフェベおばさんに話しかける。


「あら、ペラジーじゃないの。この石鹸?さっき使ってみたけど、良いから買っちゃったわ」


「へえ~、ちょっと手を見せて」


そういってペラジーさんはフェベの手を見て触ったりして何やらぶつぶつ言っている。


そして


「ちょっと、坊や、私も一つ頂いてもいいかしら」


「あ、はい! ありがとうございます!」


そんな感じで、ぽつりぽつりと待ちゆく人の目に留まり、石鹸が売れていく。




そして




「ふう~、今日はこんな感じかな?もう時間的にお客さんも来ないでしょ」


「そうだな、俺たちもいつもこれぐらいで店じまいだな」


「よし、じゃあ2人ともお疲れ様!今日の営業はこれにて終了だ!」


「おお~”わあ~”」


そういってお互いを称えあう。


「それで、今日売れた個数だが、、、14個だ!想像を超えて良かった!」


「おおそんなに売れたのか!?ああ~でもあと少しで全部売れたのにな~!」


そういって悔しそうにするアルバン


「まあ、そうは言っても、このド田舎の市場だからな。そもそも全体的に人が少ないのだから、これでも良しとしようじゃないか。」


「ああ、そうなのか。わかった」


「さて、14個売れたから14個×銅貨7枚=98枚だ!」


「おお~」


「でだ、この内、40枚は利用料だ。そして20枚はアルバン、残りの38枚が俺のだ(内部留保と妹分含め)。クロエ、お前も頑張ってくれたからちゃんとあるぞ」


※分け前は切り上げで、アルバンには若干多めにあげている。


「ありがとう、お兄ちゃん!」


「おお、俺こんなに貰っても良いのか?」


「勿論だ、内臓と労働の対価だ」


「おお~やったぜ!」


「それとだ、石鹸が残ったな。ひとり1個づつ分けよう。ものを売るときはなるべき自分をキレイにしなければならない。もし俺たちがモノを買う時に、ものを売ってる人が汚かったら嫌だろ?」


「ああ、なんとなく買いたくないかも」


「そうだろ?じゃあその石鹸で体を洗う習慣をつけていこう」


「おう分かった!」


「良し、じゃあ今日は解散だ!」


「おう、お疲れ~」


今日は大成功だったぜ!






----------俺の資産----------

銅貨:38枚




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