石鹸の価格
「母さん、どうだった石鹸?」
「凄いわね、この石鹸っていうの?髪もお肌もさっぱりしたわ」
「コリンヌ、見違えるほどだ」
「やだわ、貴方恥ずかしいわ」
いやいや、両親の惚気とか恥ずかしすぎるわ。
「で、父さん、石鹸は完成したのでいよいろ来週お店を出したいんだ。申請をお願いできる?」
「ああ、分かった。こちらで事前に申請をしておくよ。ところでこの石鹸というのは、幾らで売るつもりなんだい?」
「色々考えたんだけど1個銅貨7枚で考えてる。」
「銅貨7枚?それはちょっと安すぎないかい?」
「う~ん、まあ本当はもっと取りたいんだけど、いきなりぽっと出の子供が、そんなに高い値段のもを売っても余計な問題が起こりそうなんだけど」
「確かに、子供だけで儲けてるなんてことになったら良からぬ事を考える人は出てくるかもしれないね」
「まあ、それにこれはあくまで始まりであって、これだけを売りたい訳じゃないんだ。むしろ、ここは割り切ってお客さんが試しやすい価格に設定して、町のみんながキレイになるっていうところを目指しても良いんじゃないかなと」
「なるほど。エロワはまだ11歳なのにそんな事を考えているのか?凄いな」
「そんなことないよ、それにこれは簡単なスタンダード版だからね。応用はいくらでもあるから」
「?そうなのか」
「うん、まずは石鹸というものをこの村に広げる。そこからでいいかな」
「そうか、しっかり考えたんだな。明日早速申請を出しておくよ」
「ありがとう、おとうさん!」
「ああ」
「ゴホン、ところでコリアンダ」
「何~貴方?」
「その~なんだ。久しぶりにどうだ?」
「あらやだ!子供の目の前で何言うの!?も~」
そう言いながら母さんは赤面する。
勘弁してほしい。仲が良いのは結構だが、おませな俺は意味が分かるってもんだ。
というか、この壁の無い空間で一体何をするというのか?
まさか、お外で?
うむむむ。
初出店の日は確実に近づいている。