神谷
『あぁあああ!!!!!!』
刀を一心に振り下ろして狼達と対等する。刃が肉を切り裂いていく感触を感じながら、俺はただ切り倒していく。
『洋人!危ない!』
透の声で後ろを振り返る。そこには既に飛びかかって来た狼が目の前に。一瞬で遅れて構えようとするが、間に合わない。だが、狼は俺に牙を立てることなく頭が弾けて伏せられた。
『洋人の背中は私が見てるから!』
透が助けてくれたのだろう。透の持つ二丁拳銃から硝煙が噴き上げている。
『おい、ぼけっとしてんじゃねぇぞ。狼の数も減ったから強行突破だ。さっさとあの女連れてこい』
『…分かった』
神谷さんはドアの影で縮こまっていた。ただ小さくて、震えていた。そんな姿を見た俺は、“既視感”を覚えた。
『……神谷さん』
名前を呼ぶと肩を弾ませ、ゆっくりと顔を上げた。その目には玉露の様な涙が溜まっていた。
『さぁ、行こう。もう時間がないから──』
突然、神谷さんは俺に抱きついてきた。あまりの出来事に俺は少しよろけてしまいしりもちをついてしまう。
『か、神谷さん?』
耳元で神谷さんの小さな嗚咽が聞こえる。
『私、怖いの……私に優しくしてくれた人達、皆死んじゃうから……』
『…え?』
『だから、死なないでください…もう、優しくしてくれた人が死ぬのは、見たくない』
俺は戸惑いながらも、その小さな背中をさする。徐々に“既視感”が大きくなるが、その正体はわからずにいた。
『……分かった。俺は死なない。勿論、透だって死ぬことはない。あいつはフィジカルバカだから。だから、安心してくれ』
『…ほんと?』
『あぁ。だから、早く行こう。このふざけたゲームをクリアして、みんなで生きよう』
神谷さんは小さく頷き、お互いに立ち上がる。未だ握る手を引いて進む。
『……ふぅん、お楽しみみたいだった様だね!』
そう悪態をつく透。めちゃくちゃ不機嫌だった。それと着てる服が血塗れな故に、余計に怖い。
『遅くなった。もう狼はいないのか?』
『うん。ここにいたのは全部倒せたかな?あの進藤って人は先に行っちゃったよ』
進藤──一体あいつはなんなんだ?妙に戦い慣れていた。それに、俺たちが来ることを知っていたし、このゲームの真相を知っていそうだった。
『後、東には正解エリアは無いってさ。エリアなのかルートなのか、どっちが正解なんだろうね?』
正解エリア?なぜエリア?
『とりあえず、進藤の言うことを信じるなら、残りは会議棟だけだ。時間ももう残り少ない。行くぞ』




