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初めまして、鷹出筑前と申します。
此度が処女作ということで至らないところもあるやもしれません。
どうぞ、楽しんでいただければと思います。
ジリリリ……ジリリリ……
けたたましい鐘の声が部屋中に鳴り響く。それは止むことなく俺の耳を劈く。
(ふざけんなよ。俺まだ2時間しか寝てないんだよ)
微睡みの中悪態をつく俺『天利 洋人』は、掛け布団からにょろにょろと腕だけを出し、目覚まし時計が置いてある方へ手を向かわせる。
幸いにもすぐそこに置いてあったため数秒と経たずにアラームを止められた。しかし、体はどうにも言うことを聞かず、鉛のように鈍く、小人に押し上げられる様な感覚で上半身を起こしていく。
『……はぁ、初めてクリア出来なかったか』
俺のこの言葉は昨夜のチェスゲームのAI対戦に対してだった。
俺は何故だか、物心つく頃からチェスが強かった。これまで幾度となく対戦を行ったが、同年代でも、大人でも、ましてや大会にまで出場しているプロの人にだって1度も負けたことは無かった。それが続いた中学2年生の時、俺はAI対戦に興味を惹かれ、それに没頭し始める。最初は生温く相手にも及ばなかったが、ここからがAIの利点。俺の戦い方を学んで一戦一戦重ねる度に強くなっていくんだ。そして3年が経った昨夜、初めて俺はAIに負けた。悔しい、と言うよりも安堵が勝った感覚だった。
『洋人ー!早く降りてきなさーい』
わずかながら高揚していた体を震わせ、制服を来てリビングへと向かう。
『洋人、昨日もまた随分と夜更かししたものね』
この人は『天利 晴代』。俺の養母、所謂育ての親である。
『いや、昨日初めてAIに負けてさ』
『あら、なんて珍しいんでしょ。じゃあ今夜はカツ丼ね』
『意味合い逆なんだけどなぁ』
どこか抜けてて、それでいてとても優しい母親。俺は、熟く恵まれているなと、感じていた。
『そうそう、お腹空いたでしょ?はい、朝ごはん出来てるわよ』
そう言ってダイニングテーブルに皿を並べていく。そこには自家製の食パンに綺麗な丸型の目玉焼き、綺麗な色合いをしたサラダとサポート役に徹するウインナーがいた。
どれもこれも、とても美味しそうだった。
『さ、早く食べて学校行かないとね』
『うん。……ありがとう、晴代さん』
『ん?辛気臭いわね、どうしたの?』
『いや、やっぱりありがたいなぁと思って。俺を拾ってくれたこと』
少し照れくさくなり、目を逸らしてしまう。晴代さんは驚きながらも優しく微笑み、そんな事ないと言った。
『私だって、洋人と会えてよかったって思うもの。1人になった私に色んなもの、大切なものを貰ったもの』
『は、恥ずいって』
『ふふ、洋人、もし何か私に頼みたいことがあればなんでも言ってね?私は貴方の“母親”だから』
母親。血など繋がってなかろうが、晴代さんは俺の母親。それがどれだけ嬉しいことだろうか……
『そうだなぁ、じゃあ──』
その時……
ピコン!!ピコン!!
ほぼ同時に2人の携帯が音を鳴らす。
『ん?なんだ?』
『あら、私にも』
携帯を持ち上げ、通知欄を見る。そこには、一通の見知らぬメールが届いていた。
『…メール?』
『洋人も届いたの?』
『うん。知ってるアドレス?』
知らないと、晴代さんは横に首を振る。俺達は若干警戒しながらも、そのメールを開いてしまう。
件名には何も書いておらず、本文には、一本のURLだけが貼られていた。晴代さんに尋ねるとどうやら同じ内容らしく、ここでもまた警戒心が上がった。
(…単なる迷惑メールか?でも、こんなに質素な迷惑メールあるか?)
怪しいと思いながらも、指は自ずとそのURLへ向かっている。そしてやがて指はURLをタップして、あるサイトが開く。
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パンパカパンパーーン!!!
おめでとう!!君はアタリ!
生還だよ!!
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……なんだ?このふざけた文章。舐めてるのか?
ともかく、迷惑メールだってことはわかった。それにしても、アタリってなんだ?ガチャかなんかか?それに生還って?
『あら、ハズレですって』
すると目の前に居た晴代さんからハズレの言葉が聞こえた。
『え、晴代さんハズレたの?』
『ええ。ほら』
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残念、お前はハズレだ。
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俺のとは違い、荒々しい文章だった。
『な、なんだこれ?』
『さぁ?私にもどうだか……』
その時に、俺の手がリモコンに当たり、偶然テレビがついてしまった。うちは朝はいつも視聴予約しているニュース番組がある。今日とてその視聴予約は万全だ。テレビがついたらその番組が映るようになっている。
『み、皆さん!!生きてますか!?』
しかし、そこから聞こえたのは、ニュースを読み上げてくれるキャスターの声ではなく、女性アシスタントの焦りに焦った悲鳴にも近い声だった。
『皆さん!先程送られているはずのURLは絶対にタップしないようにしてください!私たちもURLを押してしまい、桐間キャスターがハズレを引いた途端に、頭を──』
俺の目が画面を捉えた。そこには──
『突如として現れた巨大な狼の頭に喰い千切られてしまいました!!!』
血塗れになって叫喚していた女性と首から上が無くなって女性側にへたりこんでいるスーツを着た男性の体があった。
その瞬間、俺は体が氷河期のように冷たくなった。




