取り調べ
目覚めると白い天井が見えた。
「千尋ッ!」
勢いよく起き上がるとカーテンで仕切られていてカーテンわわ開けると保健室の様な部屋に中年の男性がソファーに座り雑誌を読んでいた。
「おー。起きたか。何があったか話聞きたいからちょっと待ってろ」
「千尋は!?」
「お前の弟か。病院だよ」
「どこの病院!?」
「はぁ。その前に話聞かないといけないから大人しくしてろ」
溜息を吐かれた。男性は面倒くさいと言った表情で電話を掛けた。
「井上さん?起きたよ。弟弟って五月蝿いんだわ。…おー。分かった」
男性はスマホの通話ボタンを切ると再び雑誌を読んだ。
千歳はウロウロと部屋の端から端を歩いた。
「ちょこまか五月蝿え!!」
「いだっ!」
雑誌が千歳の頭にクリーンヒットした。千歳は落ちた雑誌を拾うとアダルト雑誌で綺麗なお姉さんが淫らな姿で写っていた。
「…わぉ」
「お前も一応男なのか」
男性はまじまじと千歳の顔見た。千歳はオレンジ色に染めた髪に整った顔立ちでぱっちり二重に綺麗な瞳で鼻は高く唇は小さく小顔で色白。スタイルも良くて身長は170センチはあるだろう。アイドルやモデルと言われても納得の出来る美人系イケメンだ。
「俺の長所顔だからね。はい」
「清々しいな」
千歳は雑誌を男性に返すと男性は受け取り雑誌をペラペラと捲り読んだ。
「そう言えば!?ねぇ俺、黒い箱持ってなかった!?アレ大切なの!」
「玉手箱の事か?あれは井上さんが持ってるよ。アレお前がか?」
「…秘密です。ここは何処ですか?」
「秘密」
「うぜぇ」
「お前口悪いな」
男性は笑った。千歳は髭を剃ればかっこいいのにと思ったが何も言わなかった。
「本当ここ何処?」
「それは井上さんに聞いて」
「誰だよ井上さんって」
千歳はソファーの肘置きに座った。
「テレビ観ていい?」
「勝手にどうぞ」
千歳はテレビのリモコンを取り点けた。丁度日曜日の12時からのサスペンスがやっている。
「ねぇ。お腹空いた」
「お前案外図々しいな。キッチンにカップ麺あるから食えよ」
「やったー!」
千歳はキッチンに向かいケトルでお湯を沸かしてカップの味噌ラーメンをお湯で注ぎ2分待ってベッドに座り食べた。
「お前ここで食うんじゃねぇ!汚すな!ソファーに座って食え!」
「はーい」
千歳は怒られてソファーに移動して食べた。
「おじさん、名前は?俺神谷千歳」
「…平井賢吾だ」
平井は煙草に火をつけて吸って吐いた。
ガラガラガラとドアが開いた。カップラーメンを持ったまま振り向くと背の高い20代後半くらいの男性と眼鏡を掛けたイケメンが入って来た。
「神谷千歳さんだね?」
「はい」
千歳はカップラーメンを置いて立ち上がった。
「食事中悪いね。事件の事を聞きたいんだがいいかな?」
「はい」
「俺は井上でこっちは橘だ。何が起きたか覚えてる?」
井上が言うと隣にいた橘と呼ばれた眼鏡の男性が会釈をした。
「はい。俺は自室でゲームしてたんですけど凄い音がして降りたら両親死んでて父親を踏む千年卿って奴が両親を殺しました。見た目は中年の男性でオールバックでスーツとハットを被っていてステッキを待った格好でした」
「千年卿と鉢合わせしてどうやって君は逃げれたんだ?」
「…白面の君って呼ばれた人が助けてくれました」
「そうか。それで現場で君が持っていたモノだが何か分かるかな?」
男性は黒い箱を開けようとした。
「開けないで!!」
「これが何か分かるのかい?」
「…白面の君が弟の魂保存してくれた」
一瞬静かになった。
「魂を?玉手箱にはそんな効果があったのか…いや白面の君だから出来たのか。それで戻す当てはあるのか?」
「仙蛇のおじじって妖怪を探せって…信じないだろうけど私は真面目に言って…」
「大丈夫。俺らはその専門家だからね」
千歳の発言を遮り井上は言った。
「えっ。もしかして警察じゃなくて陰陽術師の人?」
井上と橘は顔を見合わせた。
「そこまで知ってるのか。どこで知った?」
「白面の君が教えてくれた。妖怪を退治出来る人間がいるって」
「白面の君とはどこで?」
「昨日家に引っ越してきた家にいた。前の持ち主の事も知ってたみたいだから多分住んでたと思う。あの家霊道が通ってるから食料いっぱいあるんだって」
「成る程。それで視える君が助けられた訳か」
「あと変な白面貰って被ったら銃が出たから千年卿を撃った」
「当たったのか!?」
「一発だけ。後は防がれたけどその一発も撃ってどうぞっていう感じ」
「もしかして部屋の氷の花は君がか?」
「うん。撃った場所から氷が生えた」
「…これは良い拾い物をしたな」
「確かに。ですが決めるのは彼ですよ」
井上と橘が話した。
「君うちの学校に通わないか?」
「どこの学校?」
「天神高校夜間部」
「学校は昼がいい」
「うちが経営する学校の夜間部は陰陽術師専用の学校なんだよ。陰陽術師として育成しながら働かせる。大体の妖怪は夜活動するからな。陰陽術師になれば仙蛇のおじじも早く見つかるかもよ?」
千歳は少し悩んだ。
「俺両親亡くなったんで保護者がいないから沖縄の婆ちゃん家に戻らないといけないと思うんですが」
「それならコイツが後見人になるよ」
井上は橘を指指した。
「は?私がですか?嫌ですよ」
「自分好みに育てればいいじゃん。千歳君イケメンだし」
「育てていいなら俺が後見人になってやるよ」
「あなたに渡すと何されるか分からないので却下です!」
橘は平井に向かって言った。
「ならお前が引き取ればいい」