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千年卿



階段を降りるとソファーの前には黒いハットとスーツを身に付けたオールバックの中年の男性が右手で千尋を引き摺り左手にはステッキを持って父親だったモノを足で踏みつけて遊んでいる。


目眩がした。


恐怖。怒り。悲壮感。全てが混ざり千歳は笑った。


「アレ?まだ人がイタのかい。君僕のコト視えるノ?」


「…ねぇ。弟を離してよ」


『ヤダ』


ハットを被った妖怪は半月の形の笑みを浮かべた。


「君じゃ勝てないよ」


気付くと食卓テーブルの上に白髪の妖怪が座っていた。


「白面の君じゃナイか。久しぶリ〜」


「あんた仲間かよ」


「種族は同じだけど仲間ではないかな」


「何?君たタチお友達」


「そうだよ」


「まさか」


白髪の妖怪と千歳はハモったが意見は一致しなかった。


「勝てる方法教えようか?」


「教えて」


「これ使いなよ」


白面の君は千歳に自信が付けている白面を投げた。白面は千歳の肩に打つかり地面に落ちたので未央は落ちた白面を拾った。


「これをどうしろと?」


「着けて自分の武器を想像して」


「武器?」


「刀でも銃でもなんでも」


「白面ヲ貸すなンテ粋なことヲすルネ」


ハットを被った妖怪はケタケタと笑った。


千歳は白面を被ると白面は千歳の顔に染み込む様に消えた。千歳は目を閉じて創造した。


千歳の右手には銀色にグリップはワインカラーで一輪の金色の薔薇が描かれている。千歳は両手で躊躇いもなくハットの妖怪に向かって撃った。


〝バンッ〟


衝撃音と共にハットの男のスーツのお腹の辺りに傷口が出来たが平然としている。


「これしき平気☆…ではないみたい」


傷口から花の様に氷が広がった。千歳はチャンスとばかりに銃を何度も撃つが全てステッキで遮られた。


撃てば撃つほどの脱力感。疲労が広がり遂には膝を地面についた。


「ウーン。星2かな。傷口から氷が広がるのは良い案だケドまだまだ心が弱イね」


ハットを被った妖怪は千尋を離すと千尋は血溜まりの上に落ちた。


「千尋ッ!」


千歳はよろよろと起き上がるとハットを被った妖怪はリビングのドアを開けた。


「千年卿、彼見逃すの?」


白髪の妖怪がハットの妖怪に聞いた。


「もう少シ強くなったらよリ美味シそうだと思ッテ☆またネ」


千年卿と呼ばれたハットの妖怪は出て行った。


「千尋ッ!ねえ!目覚ましてよッ!!」


千歳は千尋を抱き寄せて千尋の身体を揺らしたが千尋が目覚める気配はない。


「彼魂1つ喰われてるよ」


「喰われてる?……じゃあ死んだ…のか?」


千歳は呆然として目の前が真っ暗になった。


「魂は3つあるから1つくらい無くても平気だよ。最低1個あれば生きれるし。ただ少し記憶は失うけどね」


「なら目覚めるの!?」


千歳は白面の君を見て言った。白面の君は部屋の隅っこに移動して黒い箱を開けて何かを入れる素振りをした。


「何してるの?」


「弟君の2個目の魂入れてる。はい」


白面の君は黒い箱を千歳に投げた。千歳は慌てて片手でキャッチをした。


「戻してくれないの?」


「仙蛇のおじじっていう妖怪がいるんだけどそいつなら綺麗に魂を戻せるよ」


「どこにいるの?」


「それは分からないけどこの前は東京にいたよ」


「この前っていつ?」


「50年くらい前」


「待って。あんた何年生きてるの?」


「千年卿よりは長生きだよ」


「千年卿は何年生きてるの?」


「最低千百年から千二百年くらい」


「だから千年卿なのか」


「彼、元は人間で貴族出身だったから当時の人達は橘卿と呼んでて月日が経って千年卿になったんだよ」


千歳は納得した様に首を縦に振った。


「とりあえず仙蛇のおじじを探せば良いのか」


「おじじは人間にも優しいから気分が良ければ叶えてくれるよ。あとおじじは甘党だからお菓子で釣れる」


千歳は千年以上を有に生きる白面の君がおじじと呼ぶ妖怪はどれだけ生きてるのかと考えたが分からなかった。


ふと急に眠気が未央を襲った。


「白面の力分けてあげたんだから有意義に使ってね。あっ、もしかしたら妖怪になるかもだけど」


「はぁ!?何言って…る…」


千歳は千尋を抱きしめたまま眠った。


「いやー私ったら良いコトしたなぁ」


白面の君は窓を開けてそのまま消えた。




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