第195話 【個別エンディング コーデリア、ディアナ】 いいぞ、もっとやれ
「おおっ、アンリエッタ、来てくれたんじゃなっ」
「いやそりゃ来るでしょ。なんてったって今日はコーデリアとディアナさんの卒業式なんだし」
コーデリアがこの学園に入学して3年たち、今日この日コーデリア達はついに卒業するので、その卒業式に出席する前にこうして会いに来ている。そして卒業するという事はこの学園の伝統として――
「ほれ、アンリエッタ、見るがよい。そなたの子は順調に育っておるぞっ」
――卒業生たちの多くはそのお腹を大きくしていた。それは私の妻となるコーデリアとディアナさんも例外ではない。
「見るがいいって、2日前も見たでしょ」
「それより大きくなっておるのじゃっ」
よ、よくわからん。でもお腹に抱えている身としては私よりはるかに我が娘の成長がわかるとかそう言うのだろうか。
「ふふふ~楽しみじゃのう。この子も早くお母さんに会いたいと盛んにお腹を蹴っておるぞっ」
コーデリアはそう言いながら目を細めて、その大きなお腹を愛しそうに撫でている。実に美しい光景なんだけど、ここでひとつ言っておかないといけないことがあるのだよ。
「ねぇコーデリア、今更なんだけどさ」
「なんじゃ?」
コーデリアがきょとんとした目でこっちを向いた。その顔はとても愛くるしさに満ちている……そう、愛くるしいのだ、未だに。
「あなた前にこう言ったよね? 『わらわの姉上もばいんばいんじゃから、楽しみにしておれ』って」
「言ったのう」
「でも……コーデリアって、その……」
「なんじゃ?」
「……いまだにロリだよね」
「そうじゃのう」
そのコーデリアの言葉通り、コーデリアの体は私と初めて会った頃からほとんど大きくなっておらず、ロリ体形のまんまだった。
それでいてお腹は私の子供を宿しているおかげでしっかりおおきく膨らんでおり、そのアンバランスさがかなり背徳的でたまらない感じになっている。
「まぁあれじゃの、わらわの母親……先代の女王陛下は、それはもう見事な体をしておったがの? わらわを産んでくれた方の母親が、その……こういう体形でな?」
「つまり?」
「わらわはそっちに似たようじゃ、はっはっは」
はっはっは、なるほどねぇ、だからこんなロリなのね。実に今更だけど。
「じゃがまぁそうは言うがの? そなた、わらわのこの小さな体好きじゃろ?」
「うん、好き」
大好きです。しかし、その……何と言いますかね? 背徳感が半端ないと言いますかね? その背徳感を薄めるために、この子が成長するまで待っていたんですけど……それ全く意味なかった!!
「結果オーライというやつじゃのっ」
「それもそうだねぇ」
まぁ私にロリコンの称号がまた一つ加算されただけだからね! はっはっは。
「そう言えば、まだ私女王陛下に挨拶とかしてないけど、本当にいいの?」
「ああ、かまわぬかまわぬ」
「いや、でも女王陛下だよ? その妹を嫁に貰うんだから、ちゃんとご挨拶くらい……」
「行かん方がいいな。そなた多分帰れなくなるぞ?」
「えっ」
なにそれ怖い。
「だってな、考えてもみよ。わらわがそなたに一目ぼれしたんじゃ、わらわ以上の魔力を持つ陛下がそなたを見たらどうなるか……」
「あっ」
「絶対にそなたを嫁にしてハーレムに入れようとしてくる……いや、むしろ陛下がそなたのハーレムに参加したいとか言いかねん」
「そ、そうなるとどうなるの……?」
「当然、そなたに王位が譲られることになるのぅ。なにせ現女王が嫁に来るのじゃから。そなた、女王になりたいか?」
ノン!! 絶対にノン!! そんなの困る!! 私は貴族として楽しくやっていたいのだ!! なので丁重にご遠慮させて頂こう。
「じゃからの? 陛下の方からもそなたに会うわけにはいかんと言われておるのじゃ。陛下も自身が一目惚れしてはまずいと思っておるんじゃろうな」
「まずいなんてもんじゃないよぉ」
「ま、それにの」
コーデリアがその大きなお腹を揺らして、トテトテと私の側に歩み寄ってきて、そのまま私にぴったりと寄り添う。
「陛下にはそなたを渡したくないしのっ」
んもぉ!! 可愛いなぁもう!!
「アンリエッタのハーレムの中で王族はわらわだけじゃ。という事はじゃぞ? わらわたちの娘がいずれ女王になる確率がかなり高いというわけじゃ……次の王は王女の産んだ娘たちの中で魔力の高いものが選ばれるからの」
あ、そう言う仕組みなんだ。別に現女王の娘限定ってわけじゃないのね。
「この子は必ず物凄い高い魔力を持って生まれてくる。そしてわらわ達の娘がいずれ女王になる……楽しそうじゃとは思わんか?」
「ん、まぁそれは確かに」
そう言うのちょっとワクワクするよね。あれ? でもそうなると……
「ディアナさんの産む子供は女王候補にはなれないの?」
「んむ。そうなるの。あくまで次の女王たる資格は、『王女が産んだ娘、もしくは女王の娘』に限られておるからの。わらわの子を宿しているとはいえ、このディアナの子には継承権は無い」
「そうなりますね。でも私は愛しの殿下のお子を頂けただけで幸せですから」
ディアナさんはそう言いながら、満足げにお腹をさすっている。ちなみにお腹に宿っているのは私の子供ではなく――
「もう2人目だもんねぇ」
「うふふっ、これもアンリエッタ様が後押ししてくださったおかげです」
「コーデリアもやるよねぇ」
「ま、まぁのっ!!」
コーデリアは顔を真っ赤にしながら「えっへん」とその無い胸を逸らした。
ディアナさんはその望み通り在学中にコーデリアとの間に既に一子をもうけており、そしてお腹に2人目がいるというわけだ。
ディアナさんも卒業後に私の嫁になる予定なんだけど、在学中は存分にコーデリアとだけいちゃいちゃしていたらしい。実にキマシタワーだ。
「この子を産んだら、次はアンリエッタ様の元に参りますので、よしなにお願いいたしますね?」
「ええ、任せてくださいよっ」
「20人以上の妻のいるアンリエッタ様のお手並み、今から楽しみですねっ」
そんなことを言いながら、ディアナさんはちらりと隣の殿下を見ると、その殿下は頬を膨らませる。
「むぅ~っ。た、確かに経験では負けるかもじゃが、ディアナを世界で一番愛しておるのはわらわじゃぞっ」
「ええ、もちろんわかっていますとも、殿下っ」
「う、うむっ!! わかっておればよいのじゃっ!!」
だから人をダシにしていちゃつくのは……いいぞ、もっとやれ。ご馳走様っ。
「おっと、そろそろ式が始まるのぅ。――終わったら、即結婚式じゃからのっ、アンリエッタっ」
コーデリアがにかっとした笑みを浮かべて、私にギュッと抱き着いてきて、そこにディアナさんまで加わってくる。
「私も、楽しみにしてますからねっ」
「はいはい、わかっていますとも。じゃ、私達は観客席で見ているからね。行ってらっしゃい」
「うむっ!」
「ではではっ」
そして2人はその日、正式に私の妻となった。
――余談だが、そのコーデリアの産んだ女の子はのちに王国史上最大と言われる百合ハーレムを作り上げた女王になったとのことである。