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第191話 【個別エンディング ミリー】 最っ高……ですっ!

「どうママ? 私きれい?」


 部屋の中央で、ウエディングドレスの裾をつまみふわりと回って見せたミリーが微笑みながら、私達に問いを投げかけてくる。


「すっごく綺麗よっ……!!」

「うんっ、綺麗だよっ……!!」

「えへへ~」

「どう? アンリエッタ、綺麗でしょ?」


 あまりの可憐さに呆然として言葉を失っていた私は、テッサからウエディングドレスの裾を引かれてはっと我に返った。


「う、うん。綺麗だよ、ミリー」


 その言葉を絞り出すのがやっとなほどに、目の前にいるドレス姿のミリーは輝いていて、親譲りの容姿を120%受け継いでいるミリーはまごうことなき完璧な美少女だった。


「嬉しいなっ。私、ようやっとアンリエッタママのお嫁さんになれるんだねっ」


 ミリーはそう言うと、首に巻かれた私からの贈り物である首輪を愛おしそうに撫でている。

 そう、今日は私とミリーの待ちに待った結婚式の日なのだ。

 思えば初めて出会ってから10年以上、ミリーの両親であるアリーゼとテッサを嫁にしたことによって娘となったミリーを、こうして嫁にする日が来たことに感慨深いものを感じてしまう。

 

「初めて会った時はあんなに小さかったのにねぇ」

「えへへ、でも私、綺麗になるって分かってたもんね?」

「それはそうだけど」


 魔法の成長薬を使ってたびたびデートしていたこともあって、ミリーのこの成長後の姿は既にもう何度も見ていたけれど、いざこうして実年齢相当のものを見ると、やっぱり美しいと思う。


「アンリエッタママ、私のこといっぱい、い~っぱい可愛がってね? 私、これまでずっと我慢してきたんだからっ……私、早くママの赤ちゃん欲しいのっ」

「はいはい、それはもちろんよ。……ところでさ」

「何? ママ?」

「その、アンリエッタ『ママ』ってのやめてもらっていいですかねぇ? 何か久しぶりに聞いた気がするんですけど」


 戸籍上は私の義理の娘でもあるミリーだけど、4歳の時に私と婚約してからは『アンリエッタ』と呼ばせてきていた。それなのに、いざ結婚式の今日になってママ呼びを再開するとは一体どういうことなのか。

 なんかこう、ママって呼んでくる子を嫁にするってなると背徳感が凄くて、その……ドキドキしちゃう。

 そんな私の反応を楽しむように……というか完全に楽しんでいる感じで、ミリーがペロッと舌を出した。


「だってぇ、テッサママが『アンリエッタはロリコンだからこう呼んだ方が絶対喜ぶよって』。……どう? ママ、ドキドキする? ママって呼んでくる義理の娘を嫁にする気分ってどんな感じ?」


 はい、テッサ、ギルティ。


「テッサ? ちょっとお話があるんだけど」

「ま、待った!! だってその通りじゃん!? アンリエッタロリコンでしょぉ!?」


 確かにドキドキしてるけど。それはそれとしてギルティだ。

 テッサの奴、ミリーが結婚可能年齢までキス以外一切手を出さなかった私に対してなんてことするんだ。後でたっぷり夜にお仕置きしてやろう。


「いやぁ、でもアンリ、実際ママ呼びは萌えると思うよ?」

「黙れ現役ロリコン」

「ひどっ!?」


 今さっき部屋に入ってきたルカが「ひどくない!?」って周りに賛同を求めてるけど、周りは静かに首を振る。

 いやだって、側にそんな子を立たせていたらそんな反応されても仕方ないと思うの。

 その、そんな子というのが、ルカの隣に私やミリーと同じくウエディングドレス姿で立っている女の子で――


「まぁ、ルカはロリコンだよね~」

「ナデシコまで!?」


 ――私の娘である、ナデシコだ。


「私の妻までいじめるぅ~」

「いや、ルカに関しては弁護の余地はないなぁ」


 私がそう言うのも無理もないと思うのだ。だってナデシコってばその体はほとんどホムンクルスみたいなものなので、外見はまだまだ子供みたいなものなのである。にもかかわらず、ルカと結婚して既に8人の子供をもうけているのだ。こんなロリっ子とだよ?

 これをロリコンと言わずに何と呼ぼう。

 しかもルカって私、クラリッサ、シンシアの嫁であることに加えてこのナデシコまで嫁にしており、今もなおラブラブのあっつあつなのだ。

 現に今ウエディングドレス姿のナデシコのお腹は大きく膨らんでおり、そこにはやっぱりルカとの子供が宿っている。もう9人目ですよ奥さん。

 まぁいまだにロリな外見のノーラとラブラブな私も人のことは言えないんだが……

 で、そんな人妻なロリっ子で私の娘のナデシコがどうしてウエディングドレスなんて着てここにいるかというと、私の嫁になるため――では勿論ない。だって私の実の娘だからね、ナデシコ。

 では誰の嫁になるかというとですね。


「わぁ~ナデシコかわいい~」

「えへへ~。ミリーもきれいだよっ」


 ――そう。ミリーの嫁になるのである。


「子供の頃からの約束だもんね~」

「ね~」


 2人はトテトテと歩み寄り、ドレス姿のまま抱き合う。これだけ見ると一見ロリと美少女の百合百合なのだけど、そのロリの方が人妻で既に大勢の子持ちってところがなかなかに良い。


「こんな可愛い人妻を嫁にできるなんて、ミリーは幸せ者だねぇ」

「うんっ、私、同時に2人も奥さんができるんだもん、幸せ過ぎて怖いくらいっ」


 つい今年結婚可能年齢になったミリーが私と結婚するのに合わせて、かねてから結婚の約束をしていたナデシコとも一緒に式を挙げてしまおうと、今日この私、ナデシコ、ミリーとの合同結婚式と相成ったのである。

 私はミリーと、ミリーは私とナデシコと、ナデシコはミリーと、というなかなかに複雑な関係である。

 ちなみにホムンクルスはその成長速度の関係上、戸籍上人間だけど結婚年齢に制限はない。なのでルカのようなロリコンにはホクホクなのである。このロリコンめ。


「この子を産んだら、次はミリーの子供を頂戴ね?」


 ナデシコが、その大きなお腹をさすりながらミリーに微笑む。容姿的にはまだまだ子供なのに、その笑顔は完全に母親の風格を漂わせているのがなかなか面白い。

 いやまぁ8人もの子持ちだから当然だけど。


「うん、任せて!! 私初めてだけど頑張るから!!」

「うふふっ、楽しみだなぁ~」


 こんな外見はロリなのに、その言動とのギャップが何ともたまらない。いや、私は娘には欲情しないけどね? 可愛いなぁとは思うけど。


「私はアンリエッタママから赤ちゃんを授けてもらえるし、ナデシコには赤ちゃんを授かってもらえるし、もう最高っ」


 ミリーはそう言うと、ナデシコの手を引いて私のもとにやってきてそのまま私の腕の中に納まった。


「えへへ、ママ、愛してるよっ」

「だ、だからママは勘弁して~」

「だぁめ、だってママ凄くドキドキしてるもん。だからしばらくはママ呼びだよっ」


 う、うへぇ~まいったねこりゃどうも。


「ふぅ~ん、じゃあ私もママって呼ぼうかな~」

「ろ、ロゼッタまで!?」

「だって私もあと数年でアンリエッタ『ママ』と結婚するんだし~」


 ミリーの妹で、私と結婚が内定しているロゼッタもニンマリとほほ笑んでいる。あんな赤ちゃんだったこの子もまぁ小悪魔的に育ってしまい、私はこの子からの挑発を躱すので精一杯な毎日を送っていた。

 でもノーロリコン、ノーロリコンよ。あと少し、逃げ切れ私!!


「で? どう? アンリエッタ? 義理の娘を2人共嫁にするご感想は?」

「最高に決まってますよね~?」


 テッサとアリーゼがニマニマ笑いながら意地悪く聞いてきたその質問に私は――


「最っ高……ですっ!」


そう答えて笑ったのだった――


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