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第149話 姉妹ハーレム!?

「――なんてことがあってさ」

「へぇぇ、そりゃまたなんというか」


 私にお茶のおかわりを入れてくれながら、モニカが私の話に相槌をうつ。

 話しているのは、先日あったクラリッサとマリアンヌの件についてだ。

 私は近況報告がてら、モニカの事務所を訪れていた。百合子作りをする時は普段私の部屋に来てもらっていたけど、こうしてやってきて資料を見ながら会社の状況を聞くことも大切なことなのだ。一応共同経営者的な立場にいるわけだし。

 とは言っても私は経営には一切ノータッチで、モニカの好きなように全部任せているんだけれど。

 だって私経営とか全く知らないし、たった2年で国内有数の会社にまで育て上げたモニカの手腕は全面的に信用しているからね。素人が口を出してもろくなことにはならないだろうし、私はあくまでも異世界デザインの提供だけを行っているのだ。

 まぁその異世界デザインで破竹の快進撃を成し遂げたのだから、やっぱり異世界デザインは極まっているよね。


「でも、マリアンヌってもう法的にはクラリッサの義理じゃなくて本当の娘なんでしょ?」


 モニカもお茶を飲みながら私に聞いてくる。


「そうなるのよね」


 私は答えながらお茶を一口飲むと、その芳醇な香りが鼻をくすぐり、舌に広がる調和のとれた渋みと酸味からこのお茶が極上品であることがわかった。

 やっぱり繁盛している会社は違うなぁ。


「とは言っても、血の繋がりは無いわけだから継承権とかは下の方になるんだけどね、クラリッサと私の娘が生まれたら自動的に継承権が1つ下がるはず」

「その辺はシビアだねぇ」


 私もそう思ったけど、血のつながりを大事にするのは貴族のお約束的な物だから仕方ないらしい。

 でも優しいクラリッサのことだから、血を分けた実の娘とも分け隔てなく愛してくれることだろう。現に今も猫かわいがりしているわけだしね。

 ただあまりに可愛がり過ぎているせいか、どうもマリアンヌが幼児退行しているような感じがするのよね……。

 こう、娘として愛され過ぎてるがゆえに、魂年齢は200歳以上のはずなのに精神年齢が肉体年齢である10歳前後相当になってきていると言うか。いやそれ以下か?

 だからなのか、母親であるクラリッサのおっぱいを飲みたい、なんてぶっ飛んだことを言い出したんじゃないかって私は考えているんだけど。


「で、クラリッサはなんて言ったの?」

「保留中だって」

「まぁそりゃそうだよね」


 クラリッサはマリアンヌのことを娘として溺愛しているけれど、それでもそんなことをお願いされたらそりゃ戸惑うだろう。

 それにもしかすると、そんなことをしたら娘としてではなく女の子として愛してしまうかもしれない、そのことを恐れているのかもしれない。


「なかなか難しい問題だねぇ」

「まったくね。……それはそうと、そう言うモニカこそ、マリアンヌのこと好きなんじゃないの?」

「ううん……好きには好きだけど、私の好きはあくまでも友人としての好きなんだよね」

「そうなの?」


 それは結構意外だった。嫁達で集まった時はいつも一緒に座っているし、よく2人で遊びにも行っていると言うから、てっきり女の子として好きなんだと思っていたんだけど。


「それにほら、私の魔力容量って人並でしょ? だから私が結婚できるのって1人だけなんだよね」

「ああ、そっか」

「なら、愛しいアンリエッタと結婚するに決まってるよね」


 そう言いながら、モニカはお腹を優しくなでる。

 お前もか、モニカ。お前さんもそのボケをしてくるんだな。もう嫁達の定番ジョークよね、それ。


「最初は跡取りだけでもいいから欲しいってアンリエッタに詰め寄ったんだよねぇ」


 モニカはカップを口に運びながら、しみじみとした顔になる。


「そう言えばそうだったね」

「告白したその時は、まさか私がアンリエッタの嫁になれるとは思ってなかったよ」

「そうなの?」

「そりゃそうでしょ。だって、その時の会社ってまだ大きくなり立てだったし、大貴族の令嬢であるアンリエッタとは全く釣り合ってなかったんだよ?」


 釣り合うとかそう言う事、気にすることも無いと思うんだけどなぁ。でも貴族社会ってそういうものなんだろうか。


「まぁでも、アンリエッタの魔力容量がけた外れで良かったよ。こうして無事、百合子作りも順調に進んでいるわけだしね」

「そうだねぇ」


 その点は本当に良かったと思う。何故かはわからないけれどこの溢れんばかりにある魔力のおかげで、こうして嫁をいっぱい持てるのだから。

 魔法において多大な功績を成したものが貴族に列せられるこの国において、貴族は基本的に魔力容量が多い。

 ゆえに貴族は2人から3人、大貴族になるとそれ以上の嫁を迎えるのが当然になっているけど、それでも多くて5人程度だ。

 それが私の嫁は今9人、しかもミリーが大きくなったら嫁にする予定だし、そのミリーの生まれたての妹や、まだ生まれてもいないクラリッサとシンシアの娘まで私の嫁になるかもしれない。

 こう考えると、本当に魔力が大量にあって良かったと思う。


「あ、そう言えば聞いたよ? クラスの子の中で嫁になりたいって子が大勢いるんでしょ?」

「うっ、ど、どこでそれを」

「ルカから。ルカとクラリッサが頑張って5人にまで絞り込んだっていうのに、アンリエッタが逃げ回ってるって愚痴ってたよ」


 そ、それは確かにそうなんだけど、ここのところ忙しかったからね、テッサ先生のところでの短期集中合宿とか。


「アンリエッタの魔力容量からすれば、まだまだ余裕だよね?」

「ま、まぁそれはそうなんだけど」

「ほんと、つくづく信じられない容量だよね。どれくらい空きがあるの?」

「ううん……多分あと20人追加してもまだ余裕だと思う」

「20……!? それはまた、なんというか……王族も真っ青だね」


 王族……そう言えばこの国って魔法王国なんだから、その王族は魔力が多くて当たり前よね。という事は当然嫁も多いわけで。


「今の女王陛下は確か……お妃様が17人だったかな?」

「多いね!?」


 それはなかなかのハーレムだ。というか流石王様、貴族とは桁が違う。


「だよね、でも女王陛下のハーレムが凄いのは、その嫁が全員妹や姉ってことだよね」

「……は?」

「え? 知らないの? 有名な話だよ?」


 マジで!? 姉妹ハーレム!? 何それ凄い。


「確か実の姉妹と、腹違いの姉妹たちのほとんどを嫁にしたはず……その影響で今この国では姉妹結婚が流行っているんだよね。」

「ひょぇぇぇぇ」


 凄い人もいたものだ。しかし姉妹百合かぁ、それもいいよねぇ。


「アンリエッタにも妹いるよね?」

「そりゃね」


 私の母も例にもれず嫁は大勢いたし、その嫁達との間の娘が大勢いる。私はその長女というわけである。

 帰省のときには会っているけど、そこまで仲がいいというわけでもないんだよねぇ。悪くもないけれど。


「どう? 妹たちをハーレムに加えるのもアリなんじゃない?」

「考えたことも無かったなぁ……でも、アリかもね」


 それから私はモニカとの楽しいひと時をおおいに楽しみ、その日はモニカの家に泊まった。


 ――後日私は、実家に手紙を出してみた。その内容は「私の嫁になりたい妹たちはいるか?」と母にさりげなく聞く物だったけど、それに対する返事は、


『7人全員が嫁になりたいと言っている。今度帰省時にじっくり話し合いなさい』


 ――というもので、まさかの返事だった。どうしよう。



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