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第148話 それなんて特殊プレイ?

「えっと、ここはどう?」

「くっ、くすぐったいですっ」


 私はマリアンヌの体を、隅から隅までじっくりと撫でまわしている。

 別にいやらしいことをしているわけではない。ホムンクルスとして生まれ変わったマリアンヌの体は初期には不具合が出ることもあるので、定期的な検査を国から義務付けられているからだ。

 決してこのロリな体を楽しんでいるとかそう言う事では断じてない。うむ。

 しかしまぁ極上の素材を親となったクラリッサが張り切って集めてくれたおかげというかなんというか、見事な肌つやである。

 触った手のひらに伝わるのはしっとりと吸い付くようにきめの細かいお肌で、クラリッサが見ていなければ思わず「はむっ」と食いつきたくなるほどに魅惑的だ。


 外見は10歳程度かつ肉体年齢は0歳ながら、魂の年齢は200歳以上だというまさに究極の合法ロリである。

 合法も違法もそもそもそんな法律はこの世界に無いけどね。


「あああっ……マリアンヌ、なんて可愛いのかしら……」

「お、お母さまっ、こんなとこ撮らないでくださいっ」

「何を言うんですの? これも大事な成長の記録ですわっ」


 法的にクラリッサの娘になったマリアンヌが、写し絵――動画撮影用の魔道具――を手にして興奮気味に我が子の撮影を続ける母、クラリッサに抗議をする。


「で、でもっ、この恰好、ちょっと恥ずかしいですっ……」

「いやいや、これは点検だからね、何も恥ずかしいことなんてないんだよ」


 私はそう言いながらさりげなくマリアンヌの腕を上げさせて、その腋が写し絵にしっかり写るようにする。

 検査がしやすいようにキャミソールにショートパンツだけの格好のマリアンヌはそれだけで顔を赤く染めてしまう。


「う~ん、ここはどうかな?」

「ひゃんっ!!」


 その露わになった腋につつつと指を這わせると、可愛い声が出た。


「ああっ……くすぐったがっているマリアンヌ、可愛いですわっ」


 我が子が点検される様を撮影しながら、クラリッサは身をクネクネさせていて、その姿をさらに後ろでレフ版を持っているシンシアが呆れ顔で見ていた。


「はぁ……お嬢様ほんとにマリアンヌちゃんのこと好きですねぇ」

「大好きですわ!! もう目の中に入れても痛くありませんもの!」

「最初はあんなに怖がってたんですけどね~。私的にはお嬢様が怖がってくれる方が楽しかったんですけど~」


 流石は自分のお嬢様をいじるのを生涯の喜びとしていて、日夜研究に励んでいるシンシアである。歪んでいて実にいい。


「今でも幽霊自体は怖いですわ。でも、マリアンヌはわたくしの娘になったんですし、ホムンクルスとなって幽霊でもなくなりましましたし、文字通り怖いものなしですわっ」


 クラリッサはそう言いながら、悲しいほどに凹凸の無い胸を張る。横から見たらさぞ美しくなだらかな曲線を描いているのだろう。

 クラリッサと学園で会って3年目になるけれど、一切何もまるで全く成長していないことはこの私が断言できる。だって日々直に点検しているからね。

 しかし機能的には問題ないんだろうけど、赤ちゃんは大変そうだなぁ。いや、何がとは言わないけど。


「ちぇ~、何か別の手を考えないといけませんね~」


 そう残念そうに言うシンシアが首を振ると、そのおむねのたわわもゆさりと揺れた。

 こっちは初めて会った時から3年で更なる飛躍を遂げており、せめてその1%でもクラリッサに行っていたらどんだけクラリッサは喜ぶだろうとは思ったけど、中途半端よりはむしろ完全な絶壁の方がクラリッサらしいなと思い直す。


「いやぁそれにしても……」

「なんですか?」


 マリアンヌの体をしげしげと眺める。


「いや、結構大きいなって思って、年の割に」

「も、もうっ、アンリエッタのえっちっ……」


 マリアンヌのそれは、年齢と比較してもかなり発育がいい部類だ。同学年の子達と比べたら間違いなくナンバーワン、チャンピオンの座を射止めるのに疑いない。

 ぶっちゃけ母親であるクラリッサでは勝負にならないレベルなのだ。


「こ、こうなったのはアンリエッタのせいなんですよっ……わかってるくせにっ」

「い、いやぁ、それはそうなんだけどね」


 あれからマリアンヌの体を精査して分かったこととして、この体のデザインは私が望んだことであることがもう確定していた。

 儀式の大本を司る魔力供給役である私の深層心理の願望がこういう体形になるように望んだから、強引に式が書き換えられてしまってこうなったらしいのだ。

 そんなつもりはないんだけどなぁ。


「まったくもう、アンリエッタはえっちですわっ」

「えっちですね~」


 凸凹主従まで私をえっちだと言ってくる。目の前の事実を見るに、否定できないのが悲しい。


「そんなに大きなお胸がいいんですの? アンリちゃんおっきな子ばっかり嫁にしてますものねっ」

「いやいや!? そうは言うけれど、ルカだって最初はペタンコだったし」

「まぁそれはそうですけど、いまではたわわじゃありませんの! それもアンリちゃんのせいですわっ」


 私のせいだとしたら、同様に愛しているクラリッサも大きくなってないとおかしいのでは? いや、言うと怒るから言わないけど。


「それにほら、シスターノーラに至ってはクラリッサと同レベルでしょ?」

「あんな子供と比べないで欲しいですわっ」

「大人だよ!? シスターノーラは!?」


 シスターノーラは外見こそ子供だけど、実年齢は大人である。


「わかってますけどっ、でも見た目はどう見ても子供じゃありませんのっ」

「それは否定しないけどっ」

「まったくもうっ……」


 ぷりぷりとしながら自分の胸をクラリッサはさする。


「まぁまぁ、ほら言うじゃない? 子供が出来たら大きくなるって」

「……!! そ、そうですわよね!! まだわたくしにも希望が……!!」


 クラリッサの顔に希望が満ちる。そして、その希望が打ち砕かれたときに見せる顔、それがたまらない……って顔をしているのが一目でわかるシンシアである。

 クラリッサの後ろに立っているからクラリッサからは見えないけれど、シンシア、物凄く嬉しそうな顔してるよ?

 つくづくいい性格をしているメイドである。


「あ……」


 そうしていると、話をしながらも私に点検されていたマリアンヌが何かに気付いたように声を上げた。

 そしてすぐに頬を染めてしまう。


「どうしたの? 何か変なとこあった? あったら言ってね」

「ああ、いえ、そうじゃないんです、その……お胸のことで」

「お胸?」


 マリアンヌが顔を真っ赤にしながら、なにかごにょごにょと言いたそうにしている。


「どうしましたの? お母さまに言ってごらんなさい?」

「いえ、でも……あの……」

「いいから、遠慮することないですわ。わたくしはあなたのお母さまなんですのよ?」

「でもっ……」

「何でも言っていいんですわよ? ささ、どうぞっ」


 手を広げて、母性溢れるオーラを発しながらクラリッサが諭すように我が子マリアンヌに告げる。


「で、では、その……」

「なんですの?」

「お、お母さま、もうすぐ赤ちゃんできるじゃないですか?」

「そうですわね」


 クラリッサは優しくお腹をさする。だからそこにはいないと言うのに。

 でももう少しでそのお腹に宿るのは勿論私の子供だ。それはマリアンヌもだけどね


「そ、そうなると、その……お、おっぱいが出ますよね?」

「それはそうですわ、だって赤ちゃんはそれを飲んで大きくなるんですもの」

「そ、それで……その……私ってお母さまの娘ですよね?」


 んんん??? あの、も、もしかして、マリアンヌさん?

 私とシンシアはピーンと来たけど、クラリッサはまだ気づいていないようだ。


「勿論ですわ! 可愛い可愛いわたくしの娘ですわ!」


 再度、クラリッサが無い胸を張る。何度見ても可愛い。


「で、ですから……その……」

「はっきり言うといいですわっ」


 クラリッサから促されて、しばらくためらっていたマリアンヌが覚悟を決めたように顔をあげた。


「わ、わたしっ……!!」

「うん」

「…………お、お母さまのおっぱいが飲みたいですっ……!!」

「…………………………はい?」


 予想してはいたけど、当たってしまった。それなんて特殊プレイ?


「だ、ダメですか……?」

「だ、ダメってことはありませんけど!? いえ、でも何と言いますか、その……!?」


 クラリッサはあくまでも純粋に、母親としてマリアンヌを愛していたのだ。その娘からの突然のお願いに、クラリッサはかなり面食らっていた。

 ちなみにシンシアは大うけしたのか床を転がりまくってバインバイン跳ねているのだった――


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