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第127話 天然小悪魔合法ロリシスター

「は~、彼女さんとデートですか~。いいですね~」


 そう言いながらぽやんとした表情を浮かべているのはシスターノーラだ。

私は世間話ということで教会に来ていたがそれは口実で、実際のところは彼女を口説きに来ていたのである。

 もちろん今すぐ落そうとか考えているわけではないけれど、冬休み前には彼女にしてしまいたいと考えている。

 そういう訳でまずは地道にじわじわと攻めていこうというわけである。


「で、どうですか? 楽しかったですか?」


 女の子同士の愛を司る神様に仕えているだけあってこのシスターも例外なく恋バナが大好きで、それまで話していた前座の世間話とは食いつき方がまるで違う。

 この前したシンシアとのデートの話題になったとたん、手にしたホットミルクが入っているマグカップを、ぎゅっと握りしめながら私の感想を今か今かと待ち構えているのだ。

 身を乗り出しながら目をキラキラとさせ、その様はまさに恋に恋する少女そのもの。とても24歳の合法ロリとは思えない。


「はい、楽しかったですね~。普段はその子が仕えているお嬢様……ああ、この子も私の彼女なんですけど、そのお嬢様と一緒に3人でデートしているので、2人っきりって言うのはとても新鮮でした」


 私はシスターと同じホットミルクをコクリと飲み、にっこりとシスターに微笑みかける。

 私は自分の微笑みが女の子に対して極めて有効な武器であることを良く知っているので、まずは笑顔笑顔なのである。

 その笑顔を向けられたシスターは、頬に手を当てて恥ずかしそうに顔を逸らす。

 こういう初心な反応がいいのよねぇ、耳年魔なわりに純情なところが実に可愛い。


「どうしたんですか? シスターノーラ?」


 我ながら白々しいが、こういう積み重ねが大事なのだ。


「い、いえ、なんでもありません」


 おほんと咳ばらいを1つして赤くなった顔をごまかそうとしているけど、その仕草がお姉さんぶった子供にしか見えないところもなかなかオツなものだ。

 ……しかしシンシアといいミリーと言いシスターノーラといい、最近ロリっ子ばっかりと遊んでるなぁ、私。 


「そうそう、デートの時にその彼女がですね、首輪を持ってきたんですよ」

「く、首輪ってあの首輪ですよね……? もう彼女さんに贈っていたんですか?」

「はい、彼女全員に贈っています」

「ぜ、全員……」


 シスターがごくりと息を呑む。そのほっそりとした首筋は思わず見とれるほど美しく、さぞや首輪が似合う事だろう。

 この子にはどんなのを贈ってあげようかなぁと妄想を広げていると、シスターは身を乗り出しながら「それでそれで?」と続きをせがんできた。


「あ、それでですね、その子が『首輪とリードを付けてデートしたいんです』って言ってきまして」

「まぁまぁまぁ、最近流行りの『首輪デート』ですね? ここにも何人かそのデートをしたって子が来たんですよ。羨ましいですよね~」

「あ、百合神的にはそれオッケーなんですね?」


 街中で女の子に首輪を付けさせ、更にリードを引きながらデートするなんて、現代人的にはなかなかに背徳的な行為のような気がどうしてもしてしまうんだけど、


「はぁ、オッケーも何も……首輪を贈るというのは最上の愛情表現ですし、それを付けてデートしても我らが百合神がお咎めになる要素はどこにもありませんが」

「そ、そうですよね~」


 ううむ、エメリア達が私の前で当たり前みたいに首輪をしているのには慣れたんだけど、まだその状態で人前に出ると言うのには抵抗があるのよねぇ。

 どうしてもいけないことをしているような気になってしまう。そのぶんドキドキもするから、むしろいいことなのかもしれないんだけど。


「まぁもちろん伝統的には首輪は人前では隠すのがマナーではあるんですが、伝統というのもまた時と共に変化していくものです」

「そういうものですかね」

「そういうものです。何よりもですね」


 そこでシスターは少し言葉を区切る。


「愛する人から贈られた首輪ですよ? 見せびらかしたいと思うのは当然です。

それに『私はこの子のものなんです』って世間の皆様に見てもらうなんて凄く――」

「凄く?」


 シスターはあらぬ妄想をしているのか、両の手で自分の体を抱きながらモジモジとしている。

 その恥じらう顔の造形はどう見ても子供なのに、不思議と年相応の色気を感じさせた。


「――ドキドキしますよね」

「お、おおう……」


 ちょっとドキッとした。こういうロリっ子がこんなセリフを言うなんて、こっちこそドキドキしてしまう。


「あ、それでそれで、どんなデートだったんですか?」

「え、まぁ普通ですね。本屋さんに行ったり、服屋さんに言ったり、ご飯を食べたり……」


 ご飯を食べるとき以外は私が首輪リードをずっと握っていたこと以外は実に普通のデートだ。

 その首輪リードが普通ではないんだが。


「それから?」

「え? いや、まぁその、それからはその……」


 いやぁ、その、ちょっと言いにくいよね~と考えていたら、シスターは「あっ」という顔になった。


「百合子作りですか?」

「違うよ!?」


 思わずため口になってしまった。いや、似たようなものではあるんだけどそっちはやってない。


「はぁ、そうなんですか? デートの最後は百合子作りで決まりって、同僚も言ってたんですけど」

「ま、まだ学生ですから!!」


 それはまだ早いのである。学業に差支えがあるしね。

 しかしよくよく考えてみたら恋愛相談に山ほど乗ってきたシスターなのだ。こういう話題には慣れているんだろう。実に普通な顔をしている。

 こっちが微笑みかけると照れるくせに、なかなか手ごわい。


「えっと、そういうシスターも、首輪デートしてみたいんですか?」

「そ、それはもう、私だって女の子……って年でもないんですけど、それでも憧れますよ。素敵な女性から首輪を贈られて、それを付けてのデート……いいなぁ、とは思います」


 シスターはそう言いながら、チラと私の方を見てくる。

この合法ロリシスターと首輪デートかぁ……しかし、どうみても小学生ほどの容姿にシスター服、この子に首輪を付けて街中を歩くと言うのはさすがの私もかなりの勇気がいるな。

前世だったら1発でタイーホである。


「えっと、首輪デートって言うのはその、愛し合う2人でするものなのでアレですけど、どうでしょう? 試しに私と普通のデートをしてみるって言うのは」

「い、いいんですか!?」


 ものすごくあっさり食いついた。



「あ、でも私、デートするようなおしゃれな服持っていないんですけど……」

「シスターには今の服が一番似合ってますよ」


 シスターはやっぱりシスターだから可愛いのだ。


「ささ、じゃあ行きましょう」

「ふえっ!?」


 そっとシスターの手を握ってあげると、それだけでシスターは素っ頓狂な声を上げて真っ赤になる。百合子作りとかの話題は平気なのに、このギャップがたまらない。


「え!? い、今からですか!?」

「何かご予定が?」

「い、いえ……ありませんけど……」

「じゃあ決まりですね、私とデートしましょう」

「は、はい……お、お願いします……」


 手を繋いでゆっくりと立ち上がった私達は、出口のほうに歩いて行く。


「あ、あの……」

「なんですか?」


 シスターが急に立ち止まり、頬を染めながらうつむいているので私はゆっくりと次の言葉を待っていると、意を決したように顔をあげて私を見つめてこう言った。


「わ、私、えっと、その……は、初めてなので、優しくしてくださいね……?」

「………………」


 ――それはデートが初めて、という意味なんだろうけど、どう聞いてもあっちの意味にしか聞こえない。なんというか、天然な小悪魔系だわこの子。

 私は胸の高ぶりを抑えながら、その天然小悪魔合法ロリシスターの手を引いて街へと向かったのだった。



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