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第116話 もうロリコンでいいや

「私……ロリコンですか……?」

「今のところ話を聞く限りは」


 シスターノーラは首をゆっくり頷きながら肯定した。


「で、でもでも、聞いてくださいよ!!」

「はい、聞きましょう」


 異議あり!! というやつである。ここで弁明しておかないと私は聖職者目線からもロリコンという事になってしまう。そうなったらもうロリコンの汚名からは逃れることは不可能だ。


「そのデートの時、彼女は子供だけど子供ではなかったんです!」

「ほうほう、それはどういうことですか?」


 シスターは興味深げに続きを促す。


「彼女は、一時的に成長する魔法薬を飲んでいましたので、実年齢は3歳でしたが見かけは14歳の美少女だったのです!!」

「なるほど……」


 お、これは効いたか? シスターは顎に手を当てて何やら考え込んでいる。


「――つまり自分に好意を抱いている3歳の幼女に、高価な薬を飲ませて大きくして、デートに連れまわした、と」

「のおおおおおお!!!」


 悪化してる!! 悪化してるよぉぉ!! 字面だけ見たら完全に犯罪者じゃない!! いかん! これはいかんぞぉぉ!!


「ち、違うんですよっ!! その薬、その子のお母さんが『私とデートしてきなさいっ』って用意してくれたんです!! 私は無実なんです!!」

「ふむ、まぁそれなら……」


 許された!


「それで、キスをされてときめいてしまった、と」

「そうなんです……そりゃあ私は女の子大好きですよ? もう彼女も8人いますし、その子達のことを愛しています」

「8人……!? う、羨ましい……」

「でも、まさか3歳の子にキスされてドキドキするなんて……そのことに愕然としたんです」


 いくら体が大きくなっていたとはいえ、実年齢3歳だよ? いくらなんでもねぇ。

 前世で付き合ってた子の中で一番若かったのが、確かその時11歳だったはず。とは言え11歳にしては発育のいい子で目の前のシスターよりはだいぶ見た目は大きかったけど。


「そうですか……でも、あなた自身はそのことにどう思っているんですか? 本当に娘としか見ていないんですか? 実は女の子として見ているのでは?」

「うっ……そ、それは……」


 どうだろう……実際会って間もないわけではあるんだけど、でも凄く可愛い子だっていうのはわかる。

 デートしてもみても楽しかったし、将来あれだけの美少女になるのが確定しているなら……と思わなくはない。


「た、多分好き……なんですけど……」

「じゃあいいじゃありませんか」

「でもでも、やっぱり年齢が……」

「今すぐその子に手を出したいと思うわけじゃないんでしょう? ……まさか」

「とんでもない!!!!」


 そんなことあるわけないじゃないか。3歳の姿のミリーはあくまでもかわいい私の娘だ。ただ、14歳のミリーが猛烈に可愛いってわけなのだ。


「じゃあ今は健全なお付き合いをすればいいのでは? そこに何か問題でもありますか?」

「そ、それはそうですね……」

「それに、今はあなたが好きでも将来的にどうなるかわからないっていうのが恋というものですよ。これは私自身の経験ではなくあくまで見てきた経験での話ですけど」


 それもそうなのだけど、でもあの時のミリーからは並々ならぬ固い決意のようなものを感じたのだ。

 たぶん彼女は私以外に目もくれず、誓約を果たすだろうと言う確信のようなものがある。


「あの……これは内緒にして欲しいんですけど」

「これはも何も、全部他人には決して漏らしませんよ」

「あ、はい、で……私、彼女と魔法誓約を結んでるんですよ。彼女の母達から頼まれまして」

「誓約?」


 私はシスターに誓約について説明する。


「はぁはぁ、なるほど……それは多分本気ですね。多分母親達にも根回ししたうえでその誓約を準備してもらったんでしょう」

「ありえる……」


 ミリーはどうも凄く賢いというかしたたかというか、とても3歳とは思えないようなところがある。

 本気で私の嫁の座を狙っているのだろう。末恐ろしい3歳児である。


「あああ……ロリコン確定かぁ……」

「大丈夫ですよ。我が主もこうおっしゃられておいでです――」

「なんてですか?」


 シスターノーラは慈悲深い笑みを浮かべると、やや芝居がかった仕草で両手を広げてこう言った。


「――『小さい子が好きなんじゃない、好きになった子がたまたま小さかっただけなんだ』と」

「それロリコンの常套句ですよね!?」


 思わず突っ込んでしまった。しかしロリコン上等とは随分とロックな神様である。


「百合の愛の前にはすべて平等なのです」

「平等すぎるのもどうかと思いますけど!?」

「いやいや、百合神の司祭などやっていますと、本当にいろんなケースの話を聞くんですよ。守秘義務があるので詳細には話せませんが、この程度の悩みなんて軽いものです」

「義理の娘である3歳児からの愛の告白で悩むのが軽いんですか!? 他の悩みってどんだけなんです!?」


 聞きたいような聞きたくないような……でもやっぱり聞きたいかな?


「例えば――実の母とその姉、いわゆる叔母ですね、その2人を同時に愛してしまった、とか」

「おうふ……」


 それはまた、とんでもない話だ……。


「迷いますよね~。どっちを嫁にするか」

「そこ!?」


 そこで悩むの!? おかしくない!?


「実の母の場合は結婚出来ませんから事実婚になりますが、叔母とは結婚できますし。それはもう悩んでましたね~」

「そういう問題じゃないような!?」


 叔母とは結婚できるのも驚きだけどね!? もう色々とぶっ飛んでる世界である。


「あ、でもこの前3人目の子供が生まれたって知らせがありました」

「!?!?!!?」

「いやぁ~こういう出産とかのお知らせをしてもらえるのって、司祭冥利に尽きますよね。相談に乗ったかいがあったというものです」

「ど、どっちと結婚したんですか……?」

「そこは守秘義務ですので」

「そこなの!?」


 ボーダーがわからん!! 基準どうなってるんだ!?


「頭が混乱してきました……」

「まぁまぁ、愛はいろんな形がありまして、それは全て美しいのですよ」


 そうかな? そうなんだろうか? なんかいい感じでまとめようとしてない?



「しかしそうですか……そんな3歳児にもときめくという事は……」

「え?」


 何かに気付いたのか、シスターが妙にもじもじとし始めた。いったいどした?


「こ、こんな私でも……美味しそうに見えるんでしょうか……」

「ほぇ!?」

「子供が大好きなオオカミさんと、こんな密室で2人きり――ああっ、そんなっいけませんっ……でもっ……」


 別に子供が好きなわけじゃないよ!? たまたま好きなったのが3歳児だったってだけで――あ、これさっきの話のまんまだ。神様いいこと言うなぁ。

 その耳年魔シスターは、あらぬ妄想をしているのか顔を真っ赤にして頬に手を当てている。


「いやいやいや、いきなりそんなことしませんよ!?」

「そうですか……? でも先輩方はこうやって相談室で彼女を見つけたって言ってるんですけど……。相談しているうちにいい感じになって、そのまま食べたり食べられたりって」

「どうなってるんだ聖職者」


 もしかしてこの外に音が漏れないようにする魔道具、そういう目的……? いやいやまさかそんな。


「いやその、シスター確かに可愛いですけど、こういうのはまずお友達からですね……」

「私、可愛いですか? こんなちんちくりんなのに?」

「はい、可愛いです」


 確かに見た目は完全なロリだけど、もう私ミリーの件で、もうロリコンでいいやって思うようになったしね。シスターのおかげで吹っ切れたし。


「シスターはとても魅力的な女性だと思いますよ」

「はうっ……そ、そんなこと言われたの初めてですっ……」


 世間の女性、見る目無いなぁ~。それともマジでロリコンがいないのか?


「あ、あの、実は私もあなたのこと、凄く好みで……」


 シスターは手を胸の前でいじいじとしながら、モゴモゴと呟く。


「もしかして、それで声をかけてくれました?」

「いやいや、それは無いですよ?だってあなた最初会ったとき、土手で頭抱えてましたよね?」


 そう言えばそうだった。あくまでも善意から声をかけてくれたのだろう。いい人なんだろうなぁ。何か一緒にいるとあったかい気持ちになると言うか。


「また、お話しに来てもいいですか?」

「ええ! もちろん!! ぜひぜひ来てくださいねっ!!」


 こうして私は、10人目のハーレム候補を見つけたのだった。

 もうミリーがハーレム入りの前提だけど……

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