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第114話 百戦錬磨の合法ロリ

「あれ? でもシスター……ええと」


 おかしいぞ? よくよく考えたら私、このシスター知らない。学園のシスターなんて真っ先にチェックするところだし、ましてやこんな合法ロリシスターなんて目立つ子がいたら覚えてないわけがない。


「ノーラです。シスターノーラと呼んでくださいね」

「あ、はい、シスターノーラ、あの、失礼ですけどあまりお見かけしたことがないような……」

「それはそうですね。だって私、産休でお休みすることになった後輩の代わりとして、つい最近ユリティウスに来ましたので」


 道理で見たことがないわけだ。

 でもなるほど、そう言われると休み前の終業式でそんなことを聞いたような気がする。確かシスター同士で結婚していた婦婦だったはずだ。

 ……シスター同士で結婚、うん実にいい響きだ。

 その代打が、この合法ロリシスターというわけか。


 ちなみにここの教会で祀られている神様はいわゆる『百合の神様』で、女の子同士の恋愛成就に大変ご利益のある神様らしい。

 土日や放課後などには片思いの女の子や、更に愛を深めたい百合ップル達でごったがえしているそうな。

 私は行ったことないけど、クラリッサとかは私と付き合う前まで物凄い熱心に通っていたらしい。可愛い。


「ところでどうしたんですか? うら若き乙女がこんな昼間から土手で頭を抱えているなんて」

「いやぁ……その……」

「先ほども言いましたが、何か悩みがあれば私が聞きますよ? 人生の先輩でもありますし、迷える子羊を導くのも私達の務めです」


 そう言いながらシスターノーラは胸に片手を当てて優しく微笑む、が、本人的には大人のお姉さんのつもりなんだろうけど、どう見ても子供が背伸びしてお姉さんぶっているようにしか見えないのが実に悲劇である。

 さっきの『誠の言葉』が無ければ私は今でも彼女を大人だとは信じられないだろう。だってその声色まで完全に少女のそれなんだから。

 合法ロリとは彼女のためにあるような言葉である。まぁこの世界、違法ロリも無いようなんだけどね。そもそもそういう法が無いし。


「何と言いますか、えっと……少々お恥ずかしい悩みでして……」

「お恥ずかしい悩み……ということは、恋の悩みですね?」


 ズバリである。とは言ってもこの年代の悩みなんて十中八九恋の悩みに決まっているのだが。


「それならばぜひぜひ私に相談してくださいな。こう見えても私――百戦錬磨なんですよっ」

「えええ!?」


 ちょっと自慢げにシスターが微笑んでいる。

 その子供っぽい笑顔は実に可愛いんだけど、この容姿で百戦錬磨だと……?

 この世界の女性はロリコンばかりなのか? いや3歳児にキスされて不覚にもときめいてしまった私が言えた義理でもないんだけど。


「凄いですね……」

「そうなんですよ。私にかかればちょちょいのちょいです」


 ちょちょいのちょいだとぅ……確かにそっちの趣味のある女性なら確かにイチコロだろうけどさぁ。


「ち、ちなみにど、どれくらいご経験があるか聞いてもいいですか……?」


 さすがにちょっと失礼かな、答えてくれないだろうなと思いつつ好奇心に負けた私は聞くだけ聞いてみることにした。


「そうですね……年20人として、もう150人以上ですかね」


 答えてくれるんかーい!? いや、え!?


「ひゃ……150……!?」


 なにそれ!? モンスター過ぎない!? 私なんか足元にも及ばないじゃない!!


「そ、そんな数の女性と関係を……凄いですね……」

「そうですね。彼女達とはしっかりと信頼関係を結んでいます」

「信頼、ですか」


 なるほど、まずは信頼を得ることが女の子を落とすための極意である、ということか。流石は百戦錬磨、いいことを言う。


「そうですよ。まず何よりも信頼です」

「メモメモ……」

「でないと相手は心を開いて相談してくれませんからね」

「ん?」

「え?」


 相談?


「相談……ですか?」

「そうですよ? 恋愛相談です。私、こう見えても成就させてきたカップル数は若手随一なんですから」

「………………」

「偉大なる百合神に仕える司祭として、女の子の恋愛相談に乗ることは私達最大の役目で――あれ? どうしました? 変な顔して」


 ――経験ってそっちかい!? びびったわ!!


「いえその、百戦錬磨何て言うから、てっきりそっちの意味かと……」

「そっちの意味ってどっちですか?」

「いや、ほら、その……」


 合法ロリシスターは不思議そうに小首を傾げている。や、やばい、こういう子にセクハラするの……凄いワクワクする。


「――150人斬り、みたいな?」

「……………………!?」


 やや間があって、シスターはその意味に気が付いたのか顔を一瞬で真っ赤にした。


「ち、ち、ち、違いますよぅ!! 百戦錬磨っていうのはそういう百戦錬磨ではなくてでして……!!」

「いやぁ~見た目に寄らず凄いなぁ~って思ったんですよ~」


 たーのしーい。こんな堂々と(見た目が)子供にそっち系の話を振れるなんて、何て楽しいんだろう。合法ロリって最高である。


「夜な夜なシスターのもとに訪れる女の子達、そして百戦錬磨のシスターはその悩める子羊達に愛を教えてあげる……ううん、いいですねぇ~」

「もうもうもう~~~~っ!!」


 さっきまでのお姉さん風な振る舞いはどこへやら、顔を真っ赤にしながら私の胸をポコポコと叩いてきた。可愛い、とても23には見えない。


「ひゃ、150人だなんて……わたし、まだ誰ともお付き合いしたことないんですよっ……」

「えええ!?」

「わ、悪かったですねっ、こんな子供な見た目ですから!! 仕方ないんです!! もう諦めているんですからっ!!」


 いやいやいや、何を言っているのだ? こんなに可愛い子を放っておくなんて、この世界にロリコンはいないのか?

 ――いや、私はロリコンじゃないよ? 可愛いとは思うけどもうちょっと上がストライクゾーンだ。ホントですよ?


「ううう……見た目が近いからか、子供からの愛の告白は受けるんですけど……流石に年の差がありますし……」


 ぐさっ!!!!


 今の私にはクリティカルな話題だった。しかも多分シスターが言う年齢差なんてものじゃない。だって私が愛の告白をされて、更にキスまでされてしまった相手は3歳なのだ。

 ……改めてなんて年齢差だ。年の差以上に相手の年齢が問題なわけなんだが。


 でもという事は、この人ほど相談相手としてふさわしい相手はいないのかもしれない。


「あ、あの……ご相談に乗ってもらってもいいですかね……」

「え? 百戦錬磨でない私でいいんですか?」

「いやいや、そんないじわる言わないでくださいよ~」

「冗談です。これでおあいこですね」


 シスターはそう言いながらぺろりと舌を出した。意外と茶目っ気もあるようだ。可愛い。


「それではこんなところもなんですから、教会に参りましょうか」

「え、あ、はい」


 そう言うと私はミリーの件で相談をするべく、トテトテと可愛く歩く彼女の後を追ったのだった。



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