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第108話 外堀が完全に埋まった

「うううっ……こんなの不公平ですわっ……あんまりですわっ……」


 まだ3歳の女の子が、将来的にこんなにもたわわに成長するという事実を目の当たりにしたクラリッサが、ぐしゃりと床に崩れ落ちた。

 なにせ私のハーレムメンバーは大きめの子が多いから、クラリッサのコンプレックスは相当なものなのだろう。

 でもそんなに気にすることも無いと思うんだけどなぁ。お胸に貴賎無しなのだし。


「まぁまぁ、クラリッサも胸以外は完璧なんだしさ、元気だしなよ」

「慰めになっていませんわ! それにルカには言われたくないですわよ!?」


 クラリッサの肩をポンと叩きながら慰めているルカだけど、そのルカは最近特にお胸が育ってきているのだ。おなじペタンコ仲間だと思っていたクラリッサからしたら裏切られた気分らしい。

 2人共平等に接しているのにここまでの差が出るのは、全くもって残酷である。


「ぐぬぬ……ルカったらこんなにおっきくなっちゃって……何でですのっ……仲間だと思ってましたのにっ……」

「いや~私もびっくりだよ。アンリと付き合ってからぐんぐん育っちゃって。やっぱアレかな、アンリのおかげかなっ」


 えへへと笑いながら胸を張るルカがとても可愛い。そのゆさりと揺れるお胸を羨まし気にガン見するクラリッサもまた可愛い。


「わたくしだってアンリちゃんとシンシア、2人も付き合ってますのにっ……ここでも不公平ですわっ……」

「2人じゃ足りないのかなぁ? じゃあ私が3人目として立候補しようかな~……なんちゃって」

「も、もうっ、冗談はおよしになってっ……」


 冗談めかしてはいるけど、実際のところルカって結構クラリッサのこと好きだよね? クラリッサもまんざらでもなさそうだし、この2人も将来的に結婚したりするのかなぁとか考えていると――


「んぅ~苦しい~」

「え」


 ――私の膝に乗っかっているミリーが何やら窮屈そうにしていた。

 イチャイチャしている2人に見とれていて忘れていたけど、この子の急激に育ったお胸は既にキャミ状態になっている元ワンピースに締め付けられていたのだ。


「もう脱ぐ!」

「ちょ!?」


 ミリーはそのキャミ状態になった元ワンピースに手をかけて今まさに脱ごうとして――


「わーーー!! ミリーちょい待った!!」

「え~? なんで? お胸苦しいもん!」

「と、とりあえず待って!!」


 3歳の倫理観は、ここで服を脱ぐのもなんとも思わないようだ。いや、女だらけだし、悪いことは――いやいや、女同士で恋愛するのが当たり前だとそうでもないのか……?

 と、とにかくダメなのだ。他の子は娘としか思ってないからともかく、私はまずい。

 誓約があるから、変な感情を抱こうものならそのまま私の嫁一直線になりかねない。私にだって分別(ふんべつ)ってものくらいあるのだ。


「え、エメリア、とりあえずミリーをあっちで着替えさせてきて!!」

「別にここでもいいと思いますけど? 私達の娘なんですし」

「そ、それはそうなんだけど、ほら、教育的にね?」

「はぁ、わかりました」


 私がこの子と将来的にとは言え結婚するかもしれないとか流石に言えない。3歳とかロリコン以下じゃないか!! ドン引きされるわ!! 光源氏も真っ青よ!!

 いや魔法世界の倫理観からすればそうでもないかもしれないけど……未だ私は前世の倫理観からは抜け切れていないのだ。体つきがどうあれ3歳児によこしまな感情を抱くのはいかんだろう!?

 ただでさえあまりの可愛さに理性が大気圏外に投棄されようとしている中、ここで踏みとどまらないと確実に罪を犯してしまいそうだ。

 私の女の子好きは私が一番よく知っているのである。こいつはマジであかんやつだと私の経験が告げてくる。


「あ、でも下はともかく、上をどうしましょう? 流石に私のではサイズが……」


 言われてみれば確かにそれはそうだった。

 エメリアは最初から規格外に大きかったけど、私と付き合うようになってから更なる成長を遂げていたのだった。それはもう、まるで成長していないクラリッサをあざ笑うかのような無慈悲な成長具合なのである。


「そうよね……じゃあ私のでいいから。たぶん同じくらいでしょ……」


 想像するな……!! 想像するな私……!! 冷静になるのだ……!!


「ママの!? わぁい!!」


 私のを着せてもらえると聞いて、飛び跳ねて喜ぶ少女ミリー、いや、危ないから、跳ねたら私の理性とか色々危ないからやめてくれぃ。


「もう、娘なんだし、気にしすぎですわっ」


 危機管理から手で目を覆い隠す私を、皆が怪訝そうに見ているのが空気で伝わってきた。ま、まずい……疑われている……? いやいやまさかそんな……


「そうですよ~。娘なんですよ~? ……まぁそう思ってないなら違うでしょうけど~。そんなことありませんよね~」

「まさかそんな、はっはっはっ」


 ――シンシア、怖いわ。この子何でもお見通しなんじゃない?


「出来ましたよ~」


 そしてちょっとして、隣の部屋からエメリアに着替えさせてもらって出てきた少女ミリーは――


「――なんで!?」

「え? だってお嬢様、お好きですよね?」

「す、好きだけど……大好きだけどさぁ!!」


 でも何でそのチョイスなの!? エメリアも気付いてやってるの!?


「それにこの子も、どうしてもこれがいいって言いまして」

「ママがこれ大好きだって、ママ達から聞いてたんだ~」


 そっちかぁ!! この子、私の好みを知っててこれを……!! ミリー、恐ろしい子……!!


「まぁまぁまぁ……!! なんて可愛らしいのかしら!!」

「こ、これは可愛い……!!」

「おお~、これは新しい妹が増える予感がしますね~」


 周りも大絶賛である。褒められた少女ミリーは照れくさそうにしながらスカートの裾をちょいと摘まんでふわりとその場で回ってみせた。

 その優雅な振る舞いに、私も含めて一同が感嘆のため息を漏らす。


「どう? ママ、可愛い?」

「う、うん、凄く可愛いよ~」

「わぁい!! やったぁ!!」


 そう、ミリーは……メイドの格好をしていたのだった。

 私の弱点を突く、実に的確な攻撃である。


「じゃあママ、これでデートしよ?」

「ふぇ!?」


 コツコツとパンプスを鳴らしてゆっくりと近づいてきたミリーは、私の手をそっと取りながらメイド服デートのお誘いをしてきた。

 ま、マジで!?


「まぁこれだけ高価な魔法薬を使ったわけですし、デートしてあげないのも可哀そうですわ」

「そうだね。可愛い娘の頼みなんだし、聞いてあげなよアンリ」

「ですね、メイド服デート、してあげてくださいお嬢様」

「楽しんできてくださいね~。ごゆっくり~」


 あかん、外堀が完全に埋まった。


「わ、わかったわ。デートしよっか……?」

「わぁい!! ママとデートだぁ!」


 ――いやでもまずいってぇ!! この子可愛すぎるのぉ!!

 私、逮捕されちゃう!! いやこの世界に捕まえる法も無いんだけど! こう、前世の倫理観的にあかんでしょ!?!?


 そうして私は私の理性を試される、娘とのメイドデートに出発したのだった。

 頑張れ私!! 負けるな私!! 負けたら嫁一直線だぞ!!



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