仕立て屋エミールおねぇさま〜マーペリア・外伝〜
セシルと私は、合同結婚式をすることにした。せっかくなので、セシルとお揃いのドレスにしたい。
私達はいつもの城下町の仕立て屋へと行った。
その仕立て屋のマダムは、昔は辺境伯領軍に所属してた。「夢は捨てられないのっ!」と言って軍を退役して、城下町にお店を開いた『ピー』をお持ちのエミールおねぇさま。おにぃさまというと蹴られるのよ。元軍人の蹴りはとても痛いの。
「あら!いらっしゃぁ〜い」
「おねぇさま、こちらセシル、私の旦那様の側近の方の奥様よ」
「まあ!噂の子に来てもらえたなんて、嬉しいわぁ!」
「わ、私、噂になってるんですか?私、何かしちゃました?」
セシルが真っ青になって震えてしまった。
「男たち、みんなを袖にしたセシルちゃんでしょう?もう、小悪魔ちゃん!」
セシルの腕を、右手の人差し指で『ツン』とした。左手は、軽く握って自分の頬に当てている。うん、私の目を細めて見れば、可愛いかもしれない。デカイけど。
「それより、ドレスの注文です。披露宴のドレスです」
「デザインは決まっているの?」
「まだ、何も。セシルとお揃いのドレスにしたいんですよ」
「んもぉ!おばか!お揃いなんて、似合うわけないじゃなーい」
「どうしてぇ?」
「ここ・がっ!ち・が・う・からよっ!」
おねぇさまは、私の胸の辺りを、太い人差し指で『ツンツン』した。私は、最初の『ツンツン』から後ろに下がっているのに、追いかけてきて、『ツンツン』していくの。私への『ツン』は痛い。そんなに強調されたくなかったわ。悲しい。
「まあ、わかったわ。私に任せておきなさいっ!じゃあ、二人の採寸をしましょうねぇ」
〰️
2ヶ月後、連絡をもらい、仕立て屋へと仮合わせに行った。
「ぎゃあ!あんたっ!たった2ヶ月で、どれだけ太ってるのよっ!」
私にドレスを着せようとしたエミールおねぇさまが、怒っています。
「えー!セシルと同じ生活だよ?」
「あんたは、軍の野生児でしょうがっ!そんな女が、花屋の可愛いお姉さんと同じ生活したら、こうなるわよっ!」
私のお腹の少しのお肉を『ギュッ』と摘まむ。もう、泣いちゃうよっ!ほんとのほんとに痛いからっ!
「私は、ドレスを直すつもりはないからねっ!あんたがダイエットしなさいよねっ!」
セシルは、一発オッケーだった。解せない。
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