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プロローグ

・。。・。。・。。・。。・。。・。。・。。・。。・。。・


私はとても幸運で幸福な人間なんだろう。


命の危険がほぼなく、周りに合わせて労働をこなす・・・


ただそれだけで生きることに事欠かない。


物と人が飽和し、宗教に縛られないそんな国に生を受けたことは、


私の人生で最初の幸運だといえるだろう。


そんな場所で過ごす私に信仰心など芽生えるはずがなかった。


・・・・・あのときまでは。


・。。・。。・。。・。。・。。・。。・。。・。。・。。・


「ふっ・・・うぐぅ・・・」


男はトイレの個室から唸り声をあげながら体を震わせながら震えていた。

男にとってはイレギュラーな事態。恐ろしい腹痛が男に襲い掛かってきていた。

グルグルと腹部から音が鳴り十分ほどその場から動けずにいた。

そんな状況に陥ってしまったからだろうか?

男は無意識に信仰心もないのに祈ってしまった。


「(神様!どうか!この腹痛をどうにかしてください!)」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

次の瞬間、男の視界からすべてが消える。

つい先ほど存在していた床も壁、天井、一切合切のものが視界から消えていた。

・・・・ただひとつを除いて

男の目の前には、拳ほどの黒い球体が浮かんでいて、男を品定めでもするように周りをグルグルとまわったのち、目の前でピタリと止まった。

そうこうしているとどこからともなく声が聞こえてくる。

どうやら声は黒い球体から聞こえてくるようだった・・・。


「聞こえているか・・・人の子よ・・・」


「えぇ・・・聞こえていまが・・・」


男は戸惑いながらも謎の球体に返事をした。


「すいません、差支えがなければあなたが何者か教えていただけませんか?」


「・・・上位者。其方等の世界では神と呼ばれている。」


「その神様が私にいったい何の御用でしょうか?」


「人の子の信仰心が年々減ってきている。・・・いや、そもそも信仰すら怪しい状況なのだ。挙句、腹痛や勝負所で無責任に祈る始末だ。信仰心すらないものをなぜ助けねばならないと信仰心のないものを捨てて置いたのだが・・・・・。」


「信仰心が少なく我々の力が弱まっていく始末だ。どうにかしようにも我々には人の子の意思を量ることはできぬ。よって、偶然信仰心のない祈りをささげたおぬしが選ばれたのだ。」


「なるほど・・・」


「何故人の子たちは信仰心を持たぬ?」


「うーん。そうですね、やっぱり信仰心なしでも生きていける世の中になったからではないでしょうか?」


「ほほぅ・・・」


「昔と違って現代では飢えることもないし、娯楽にもあふれていますし。」

「時代の流れってやつではないでしょうかね?」


「なるほど・・・つまり人の子は危機的状況に陥れば信仰心を取り戻すと?」


「え?いや・・・」


「では、決まりだ。お前を神の使徒とし、力を蓄えさせてもらうぞ・・・」


「(目の前にいるの八百万の神様の一柱だと思ってたけど、もしかしてこいつ邪心じゃね?)」


「さぁ、この世界に混沌を巻き起こすために使徒となった人の子よ・・・。新しい命を受け取るがいい。」


「ちょ、ちょっと待ってください!」


「さぁ、私を、神々を精々楽しませろ。」





「(今神様に祈ったら助けてもらえるのだろうか・・・)」

そんなことを考えながら男の意識は暗転した。

Twitter:@etidan555

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